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僕は名のない公園で青空を見上げる【完結】
作者: 桜音 琴香  (総ページ数: 40ページ)
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10~ 20~ 30~

*28*

登校中に、平野に話しかけられた。最初は嫌いな
先生の愚痴や雑談だったが、その内に
徳光部長とかをりの話に変わった。
「なあ、あれって復縁すると思う?」
「僕には分かんないけどさ、復縁はしないと思う」
すると、平野は頷きながら上を向いた。
なにか考え事でもしているのだろうと思い、
話しかけないでいると平野は俯いて告白した。
「俺、3組の夏島さんが好きなんだ」平野は
頬を朱に染めており、恥ずかしそうだった。
「夏島さんって、夏島かをり?」
分かっているが、聞き返した。平野はかをりが
好きだとか、そんな素振りを見せなかったからだ。

「うん、先輩と別れた今なら慰めてあげたりしてさ」
そう言いかけて、平野はあっと声をあげた。
「かをりちゃんが水沢のこと好きって、
本当なのかよ」僕は石ころを蹴って、
さあな、と笑った。

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