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僕は名のない公園で青空を見上げる【完結】
作者: 桜音 琴香 (総ページ数: 40ページ)
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作者: 桜音 琴香 (総ページ数: 40ページ)
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*29*
筆を握っても、絵を思い浮かべることが
出来なかった。絵のことを考えようとしても、
かをりのことを考えてしまう。平野がかをりのことを
本気で好きだとしたら、どうなるのだろう。
平野はかをりに告白するだろう。
今日は家で絵を描こうと筆を握ったが、もう
描く気はない。時計の針が午前の2時を
指していることは知っているが、寝ようと
していない。それどころか、カフェインを体に
取り込んで目を覚まそうとしている。一度
手が絵を描くことを忘れたら終わりだ。
来年には、受験生になる。高校の進路を決めて
ひたすら勉強をする。そうなったら、
絵も描けないだろう。かをりとのことも
終わるだろう。だったら、平野のことも
気にしなくていいんではないか。
僕は自分の思考に疑問を抱いた。何故、平野のことで
悩む必要があるのか。平野はかをりのことを
好きなだけだ。僕は好きな人なんて作らない。
だから、関係ないはずだ。僕は筆先を水に浸けた。
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