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銀の星細工師【完結】
作者: 妖狐  (総ページ数: 135ページ)
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三章 幕間

「たすけ、て。……キース、お兄ちゃん……」

 真っ赤に染まった自分の手が、ただ肉の塊《かたまり》を握りしめている。
 それは今まで彼女であったもの。けれど今は妙に生暖かくて息がつまるほどの異臭を放っている。
「あ……ああぁ……嘘だろ?」
 散らばった洋服の布きれと、血がへばりついたナイフ。
 口からは乾いた空気が出し入れされる音しか漏れず、なにも聞こえない。

 この世で一番愛おしかった。
 ただ守りたくて、自分の命より大切だった。

 けど、コレハナンダ?

「あああ……うわあああああああああああああ――!!」
 
 ドス黒くて目も当てられないほど醜い化け物が自分に憑《と》りつき、涙は蒸発して消えた。
 俺は自らの手で、ずっと守ると決めた相手を

 殺してしまった。

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