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恋乃手紙
作者: 伊吹吹雪 ◆u2YjtUz8MU  (総ページ数: 61ページ)
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*16*

美術室に着いた。
「必要な色って何だっけ?」
私が聞くと、俊は
「青、白、黄色、赤、黒。」
と答えた。
俊も落ち着いたみたいだ。
美術室には他の学年とかも居て、若干ざわついている。
「筆とハケとローラーと絵の具用のバケツもだよね?」
私は、ポスターカラーと道具をポンポンとバケツに入れた。
バケツは大きかったので、余裕で入った。
…私だけで良かったじゃん。
「ごめん、あんた手ぶらになっちゃう。」

「全部貸せ。」
俊が言って、私がなんか言う前にバケツをひったくる。
「いいってば。美術室行くって言ったの、あたしだし。」
「俺の格好がつかない。女子だけに持たせるとか。」
「あたしの格好もつかないよ!」
なんて、くだらない言い争いだ。
「…じゃあ、ハケと筆だけ持って」
俊が、私を見つめる。
カァと顔が赤くなる。

どうか、教室に着くまでに、この顔が戻ってますように。

教室に着くまでに、俊と私は、一言も話さなかった。


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