完結小説図書館

<< 小説一覧に戻る

恋乃手紙
作者: 伊吹吹雪 ◆u2YjtUz8MU  (総ページ数: 61ページ)
関連タグ:
 >>「紹介文/目次」の表示ON/OFFはこちらをクリック

10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~

*48*

文化祭当日。
合唱発表会が終わり、自由に回る時間となった。

麗子と俊は、係と委員会で、それぞれいない。
有季と私で、最初行動することになった。

廊下は、生徒の親が来ているはずなのに、生徒たちでごった返していた。

「見て見て有季!あたし達のクラス、ポスターも新聞も金賞だよ!」
「みんな頑張ってたもんな。」
「有季は喫茶係だよね?」
「うん。昨日、集まりがあって、注文の聞き方とか先生たちに教えてもらったけど、案外簡単そうだ。」
「へえ。」
と話しながら、私たちは教室を出て行く。

「次はどこのクラス行く?」
「…」
有季は答えない。
「有季?」

有季はそのままひと気のないところへ歩いていく。
それにとりあえずついていく。

「何でそっち行くの?」
それまで、前を見てずんずん歩いていた有季が、振り返った。

「なあ、澄怜。」
「うん?」

「もう一回だけでいいから、俺が、お前の一番そばにいる人間に、なってもいいかな?」
そう言っている有季は、本当に真剣な顔でこちらを見ていた。


47 < 48 > 49