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罪人の娘 「end」
作者: 水沢麻莉衣  (総ページ数: 27ページ)
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10~ 20~

*4*

あたしには嫌いなものがある。
それは。

人の幸せ、つまりは他人の幸せである。
これは勿論海斗の幸せを除いて、だ。
あいつは可愛いからな。
ふっ。

「気持ち悪いわね、お母さん」

…失礼なやつがいる。
なんだ。

ミルカはめんどくさそうに白い髪の少女に目をやる。
彼女は白川ミズホ。

正真正銘、白川のお姫様、とされる少女である。

そして、ミルカの娘でもある。
これを整理すると少々めんどうなので、今は伏せておくとしよう。

「ミルカちゃあ〜ん、おかえりー」

白い髪の白衣を着る男。
彼はミルカの夫であり、正真正銘の白川の若であった者である。

「うん、ああ」

素っ気ない返事をすると、夫はふてくされた。

ほんとにめんどくさいな、おまえ。
だまれ。

「おかえりーは大事なんだからねっ!」

かってにいってやがれ。
うざいから。

こいつは白川の若である。
あたしはこいつをふかくにも愛した。
こいつもあたしを…愛した。

あたしを罪人の娘とも知らずに。

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