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君と紡ぐ二人の時間
作者: 豆狸 チェリー  (総ページ数: 17ページ)
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10~

*10*


第 3 章 ( 中編 )
恋わずらい

あいつの好きな音楽は何なのか。
好きな食べ物は? 趣味は?
好きな色は?

「 あっ・・・」

俺は今、あいつのことで頭がいっぱいだった。

「 早く明日が来ないかな・・・」

会いたくて会いたくて、時間が長く流れているかのように思えてしまう

「 ひい・・ら・ぎ。」

ボンッ 頭がもうパンクしそうで頬も熱い。
異様に喉も乾くし、真夏でもないのに暑い。

おかげでこの様だ。


「 ヤッホー! 元気ないね〜! 顔も気持ち悪・・・じゃなくて〜
可愛くて食べちゃいたいくらい赤く熟れて美味しそうだよ。」

「 氷魔、痛めつけるならもっと徹底的にだな・・・」

ゲッ 最悪、一番会いたくてしかたなくない。
大嫌いな先輩方のご登場でーす。


「 凍夜、わかりやすい表情をするな、そう威嚇するな。」

「 えーんえーん、氷魔兄ちゃん悲しー。」

「 棒読みでーす。とっとと消えてくださーい。」

いつものようにいじってくる・・・ しつこい。
だが今日はいいところに来た。
ずっと気になっていたこの気持ち。
先輩なら知っているかもしれない。
期待はしないが聞いてみる。

「 普段は役に立たない偉大な先輩方に聞くのですが。」

「 しょうがないな〜。 くそ生意気な可愛い後輩のためにきこうじゃな
いか〜。」

「 光魔兄ちゃん怖〜い。」

ムカッ
いいや、いかんいかん。
我慢だ。

「 ある人のことを考えると、頭がいっぱいいっぱいになって、
顔も熱くて、無性に会いたくなる、この気持ちはなんなんですか?」

『 えっ!? 』

二人が固まった。 俺は何かまずいことでも聞いたのだろうか・・・

「 ぷっ ぷぷっ ふふふ 」

「 それはだな〜 えっとね〜。」

氷魔先輩は笑うし、光魔先輩は何か気まずそうだ。

「 早く言ってください。」

じゃあ、言うぞと光魔先輩が小声で言う。
せ〜のまで聞こえた。

俺は期待と不安をちょっぴり含んで待った。

『 それは・・・ 恋と思われます。』

時間が止まった。 俺も止まった。
俺が・・・ 恋?

「 顔、洗ってきます・・・」

「 戻ったら、詳しくおしえてね〜」

うわ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!

「 あっという間にいなくなったな・・・」

「 光魔兄ちゃん、面白いことになりそうだね。」

「 そうだな。」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

バシャバシャッ
静かな空間に水の音だけが響く。

「 俺、死神なのに・・・」

でも、もう知ってしまったのだ。
温かい手のぬくもりも、幸せというものも、君という花の蜜の甘さも。



わかっているのに、明日が待ち遠しい。


しかし、現実はそう・・・


甘くはなかった。


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