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君と紡ぐ二人の時間
作者: 豆狸 チェリー  (総ページ数: 17ページ)
関連タグ: 豆狸 チェリー 
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10~

*3*


第 1 章 (中編 )
〜出会い〜

「よし。準備できたし、いくか。」
今、俺が向かっているのは、次元転送装置があるおっさんのところ
である。

次元転送装置とは、死神が人間界へいくために必要なものであり、
また、そこにいるおっさんから、命を狩りとる人間の名前が載った
リストをもらう。


面倒なことに、人間界へ行くときには正装を身に纏わなければならな
い。

簡単に説明すると、黒いスーツみたいなものに、黒いブーツ、
自分の身長の倍はある大きな鎌。

鎌は、お決まりのものかもしれないが、この鎌はあくまでも護身用
の鎌であり、この鎌で人間の命を奪うわけではない。

しかし、人間はこの鎌をみると、必死に助けを求めるのだ。

俺は、その無様な姿が滑稽でしかたがない。


そんなことを考えいるうちに、目的地へと着いた。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「おお、来たな凍夜、これがリストだ。」

「おっさん、どうも。」

「 今回の狩り人は、野村 順平。 43歳のサラリーマン。んで、
妻1人、子供2人の4人家族だ。死因は、事故死。」

「 じゃあ、 サクッとどんどんやって。」

いつものようにリストをもらい、おっさんに狩り人、つまり死んだ
人間の場所へと、送ってもらう。

「いくぜ! 3、2、1・・・飛ぶぜ!!」

しかし、この感覚にはいつになっても慣れない。

重力が全身におもりをつけ引っ張るような気持ちの悪い感覚。

なぜ、人間界へ行くときにこんな思いをしなければならないのか。

あのルールもめんどくさい。

仕事以外での人間界へ行くことは禁止だが、あそこまでするのか?
ふつう・・・

また、くだらないことを考えているうちに、人間界へ着いた。

何かが燃えている焦げ臭い匂い、生々しい血痕が、道路に
張り付いている。

うるさい野次馬ども。


泣きわめく女と子供。



そんな中・・・1人のサラリーマンがポツンとただ1人で立っていた。


まさか・・・


「おい、お前、野村 順平か?」

「 なぜ、私を知っているのですか。・・・まさか!?」


「あーーっ そのまさかだ。」

「大きな鎌に、黒い服装・・・たっ助けてくれ!!!

俺にはまだ、やらなければならないことがあるんだ!!」

「 そんなの、知らねーよ。お前の寿命は決まってんの。ここで・・・

ENDだよ。」

パチンッ

「はい、回収〜。 終わった。」

しばしの静寂。今、俺の手にあるのは、野村 順平の魂だ。

こんなちっぽけなもんで動いてるんだもんな。

人間って本当に醜くて、汚らわしい、くだらない生き物だ。


早く戻って、飯くって、寝よう。

ゴロロッ

不快な音が耳に響いた。

「やばい、 早く戻んねーと!!」

急いで魂をしまって飛び立った。

なぜ、急いでいるのか、それは、死神にはそれぞれ引き寄せてしまう

自然の力があり、ある者は、太陽の光、ある者は、雨の力、ある者は
台風の風など、それぞれみな、強大な力を体にひきよせてしまうのだ

死神にとって、それほど恐ろしい現象はない。

急げ急げ急げ!!

しかし、天は俺を見捨てた。

ピカーンッ!!!!!

俺は、雷をまともにくらってそのまま落下した。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

どうやら、頭をひどく打ち付けたらしい。
幸い、植木があり、大事にはならなかった。


が・・・



俺は、初めて天を恨んだ。

?「 あの〜。だっダダダダダダ誰ですか!?」



そう、君との出会いは、こんなにも最悪だった。

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