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*3*
第 1 章 (中編 )
〜出会い〜
「よし。準備できたし、いくか。」
今、俺が向かっているのは、次元転送装置があるおっさんのところ
である。
次元転送装置とは、死神が人間界へいくために必要なものであり、
また、そこにいるおっさんから、命を狩りとる人間の名前が載った
リストをもらう。
面倒なことに、人間界へ行くときには正装を身に纏わなければならな
い。
簡単に説明すると、黒いスーツみたいなものに、黒いブーツ、
自分の身長の倍はある大きな鎌。
鎌は、お決まりのものかもしれないが、この鎌はあくまでも護身用
の鎌であり、この鎌で人間の命を奪うわけではない。
しかし、人間はこの鎌をみると、必死に助けを求めるのだ。
俺は、その無様な姿が滑稽でしかたがない。
そんなことを考えいるうちに、目的地へと着いた。
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「おお、来たな凍夜、これがリストだ。」
「おっさん、どうも。」
「 今回の狩り人は、野村 順平。 43歳のサラリーマン。んで、
妻1人、子供2人の4人家族だ。死因は、事故死。」
「 じゃあ、 サクッとどんどんやって。」
いつものようにリストをもらい、おっさんに狩り人、つまり死んだ
人間の場所へと、送ってもらう。
「いくぜ! 3、2、1・・・飛ぶぜ!!」
しかし、この感覚にはいつになっても慣れない。
重力が全身におもりをつけ引っ張るような気持ちの悪い感覚。
なぜ、人間界へ行くときにこんな思いをしなければならないのか。
あのルールもめんどくさい。
仕事以外での人間界へ行くことは禁止だが、あそこまでするのか?
ふつう・・・
また、くだらないことを考えているうちに、人間界へ着いた。
何かが燃えている焦げ臭い匂い、生々しい血痕が、道路に
張り付いている。
うるさい野次馬ども。
泣きわめく女と子供。
そんな中・・・1人のサラリーマンがポツンとただ1人で立っていた。
まさか・・・
「おい、お前、野村 順平か?」
「 なぜ、私を知っているのですか。・・・まさか!?」
「あーーっ そのまさかだ。」
「大きな鎌に、黒い服装・・・たっ助けてくれ!!!
俺にはまだ、やらなければならないことがあるんだ!!」
「 そんなの、知らねーよ。お前の寿命は決まってんの。ここで・・・
ENDだよ。」
パチンッ
「はい、回収〜。 終わった。」
しばしの静寂。今、俺の手にあるのは、野村 順平の魂だ。
こんなちっぽけなもんで動いてるんだもんな。
人間って本当に醜くて、汚らわしい、くだらない生き物だ。
早く戻って、飯くって、寝よう。
ゴロロッ
不快な音が耳に響いた。
「やばい、 早く戻んねーと!!」
急いで魂をしまって飛び立った。
なぜ、急いでいるのか、それは、死神にはそれぞれ引き寄せてしまう
自然の力があり、ある者は、太陽の光、ある者は、雨の力、ある者は
台風の風など、それぞれみな、強大な力を体にひきよせてしまうのだ
死神にとって、それほど恐ろしい現象はない。
急げ急げ急げ!!
しかし、天は俺を見捨てた。
ピカーンッ!!!!!
俺は、雷をまともにくらってそのまま落下した。
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どうやら、頭をひどく打ち付けたらしい。
幸い、植木があり、大事にはならなかった。
が・・・
俺は、初めて天を恨んだ。
?「 あの〜。だっダダダダダダ誰ですか!?」
そう、君との出会いは、こんなにも最悪だった。