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*3*
ダブルデートの行き先は映画館らしい。
正直カイトは高校生カップルの初デートかとツッコミを入れたかったが、自分では誘うことも出来なかっただろうからやめた。
待ち合わせ場所で待つこと約5分、彼女たちが来た。
「すいません、遅くなって・・・」
女優似の美人が言う。
「いいよー、俺らが早かっただけだし!それより自己紹介とかしない?」
と友人はカイトに相槌を打った。
「じゃ、俺から!俺は西川拓海ですっ!よろしくねー!」
友人はニコニコと自己紹介を終わらせると、カイトに目線を送った。
「あ、俺は有馬カイトです・・・」
カイトは緊張気味に言い終わると、逃げるように拓海を見た。
「よし、じゃ、次は女子だね」
拓海が言うと、女優似の美人が言う。
「小波ゆきです!宜しくお願いします」
ゆきがニコッと笑うと、拓海の顔が赤くなった。
長いツインテールの女性も続けて言う。
「えっと・・・、結城未来です、宜しくお願いします」
未来も緊張しているようで、言い終わってすぐに下を向いてしまった。
自己紹介が終わり、映画に向かうと、皆映画に夢中になっていた。
「うわー、超面白かったねー!この後どーする?どっか行く?」
拓海が問いかけると、ゆきが切り出した。
「カラオケとか行かない?未来の意外な姿が見られるよ!」
ゆきは大分男子二人に慣れたようで、キラキラとした笑顔を見せていた。
「え、なに言ってるのゆきちゃん!」
おろおろした未来にカイトがうなずく。
「あ、俺もカラオケで良いと思う!」
「よーし、じゃ行こーぜ!」
ゆきが言っていた意味が分かった。
未来の歌声はすばらしいもので、透き通った様な声に皆が感動していた。
「未来はシンガーソングライターなんだよ!」
ゆきが自分のことのように胸を張った。
「いや、私なんかまだまだで・・・!」
自分のことに消極的な未来に、カイトが首を振った。
「いいや、結城さんはすごい人だよ!きっと、たくさんの人を感動させられる様なシンガーソングライターになると思う!」
その瞬間、未来の目がキラキラと輝いたような気がした。
「うん、ありがとう・・・!」
これが、俺と彼女の出会いだった。