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【ボカロ】君の体温【自己解釈】
作者: 日瑠音 ◆Dq9HMgSTac  (総ページ数: 12ページ)
関連タグ: ボカロ 自己解釈 君の体温 
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10~

*7*

カイト達はとりあえず、拓海とゆきに報告することにした。
「俺達、付き合うことになったんだ」
すると、二人はお祝いの言葉を並べてくれた。


カイトには拓海とゆきの進展はあまりないように見えたので、
「拓海も頑張って」
と拓海に小声で言っておいた。
でも、その時の拓海はなんだか泣きそうな顔になっていて、それ以上は話せなかった。


だって、この時カイトは知らなかった。
小波さんが、カイトの事が好きだってことが。


付き合って半年、出会って一年。
お互いを名前で呼び合うようになって二ヶ月ほど過ぎた頃。
カイトと未来で同棲することになった。
カイトの住んでるアパートからスタジオが近いらしく、そこから話が進んでいったのだ。
未来は家から本当に必要な物だけ持ち込み、後は売ったり捨てたりした。


同棲をするようになってわずか二週間。
当時未来は、大人気シンガーソングライター兼タレントとなっていた。
ある時、週刊誌に共演したことのある男性俳優との写真がスクープとして載ってしまっていた。


「な、何これ…。もしかして、共演者全員でご飯に行った時かな…」
未来が持っていたのは、マネージャーに渡された週刊誌だ。
一人椅子に座っていると、カイトが帰ってきた。
「ただいまー。あれ、未来。仕事じゃなかったっけ」
「カ、カイト。いや、無くなったの、仕事」
週刊誌を適当な所に入れようと思ったが、その前に気づかれた。


「どーしたの、それ?何持ってるの?」
「い、いや、どうでも良いプリントだから」
「なんか雑誌ぽくない?」
その時。


「もしもし、小波さん?え…週刊誌?」
ゆきからの電話だった。
だが、未来は言葉を聞いた瞬間、世界が凍りついた。

『週刊誌』

(ゆきってば、何を言ってるの!?ゆきだったら、あんなの嘘だって分かるじゃない)
カイトは電話を切ると、未来を見た。
「手に持ってるのって、週刊誌…?」
「…本当にごめんね。きっと、関係者同士のご飯会の時撮られたんだと思うの」
未来から大粒の滴が、目から落ちた。


カイトは、いつもの笑顔で
「うん、未来の事、信じてたから」
と言って、未来を抱き締めた。
だが未来には、カイトがいつもと違うことが分かってしまった。

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