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壊れた後の物語
作者: 彩都  (総ページ数: 20ページ)
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10~

*8*

ポンポロポン、綺麗に弾き終わった彼女に拍手する僕。
その拍手に気付いて、彼女はこちらを向いた。
「良い音だ」
「なっ!?何で地下室から出れたのさ!?」
その問いには答えない。
「一体…あっ!分かった!兄様だろ!そうだろう!?」
その問いには答えない。
「何が目的さ!?金か!?金なのか!?もしくは監禁からの脱出か!?」
その問いには答えない。
「監禁なら私は君を縛って縛って従わせるまでさ!」
そんな話に興味ない。
僕は歩きながら、鈍器を探す。
ふむ、木彫りの熊か…こいつの部屋にはミスマッチだが、僕の目にはベストマッチだ。
僕は彼女の前に立つ。
「なっ何なのさ!?それで私を打つ気!?」
その問いには答えない。
僕ばっか質問を受けるのはおかしい、僕は逆に質問する。
「そういえば聞いていなかったな、君の名前は何だい?」
彼女はハァ?とした顔を披露する。
「二葉真友(ふたばまとも)…」
「そうかそうか…」
僕は聞いて安心する。
「僕の名前を知りたいかい?」
真友は良いの?と言う様な表情を作る。
壊したい、その表情を。
破壊破壊破壊!!
頭の中身はこれ以外ない。
僕は冷徹に自分の名前を告げる。
僕は自分の名前を言う。

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