完結小説図書館
>>「紹介文/目次」の表示ON/OFFはこちらをクリック
*38*
この小説の全てを読んでいるという人に向けて、今からあとがきというものを書かせて頂きます。いや、あとがきという言い方は正しくないのかもしれません。あとがきではなく、懺悔(ざんげ)、と言った方が正解かもしれません。
推理小説には叙述トリックというものがあります。読者に目に見えないことを逆手に取って、作者がいじわるな仕掛けをすることです。人物誤認、人称誤認、と様々なものがありますが、今回は性別誤認というものを使用しました。
あらかじめ言っておきますが、私はこういうトリックを使いたくて、女性愛者の話を書いた訳ではありません。これは、恋のお話です。瀬戸美桜と橘涼の、恋のお話です。それが、偶然にも生徒会の惣志郎と愛華ちゃんが携わってしまい、推理小説になってしまったというだけの話です。
女性愛者の全てが、こういう終わり方で終わるわけではありません。ひどい終わり方だと、書き終わった後に思いました。さあこれから明るい未来を描こう、過去はこんなに苦しいけれど、未来はきっと明るい。彼らの先を描こうとしたところで、私は「完」の文字を書いてしまいました。
彼らは、今もしっかりと地に足をつけて、世の中と一緒に何ら変わりない姿で回っています。私が全く気づいていないだけで、私と一緒に生活をしているのです。決して、彼らがこれからもあんな辛い人生を送る訳ではありません。この終わり方に私は小さな希望を見出しています。これは悲しい終わり方だと思うかもしれませんが、新たな希望の種でもあるということを、忘れないで下さい。彼らには、この終わり方しかなかったのです。この終わり方をして、先に進むしか道はなかったのです。なんともおかしな話で、怒りたくなるのもわかります。どうして作者自らこんな言い訳じみたことを言っているんだ。こんな終わり方にしたのは作者だろう。わかっています。重々承知しています。
だから、懺悔なのです。
彼らに向けた懺悔です。こんな風になってしまってごめんなさい、申し訳ありませんでした。私が言えるのは、きっとこれからも彼女達は強くたくましく生きていくということだけです。ちなみに続編は書きません。罪の償いとして、彼女達の物語をまた書こうか、とも思いましたが、それは少し違うと思います。彼女達の物語、ただの罪の償いの道具にしてはいけません。彼らのこれからはあなたが想像してください。絶対に、明るく強く生きていると思います。
長くなりましたが、今回のあとがきはおしまいです。久々にきちんとあとがきを書いたような気がします。
ご愛読、ありがとうございまいした。
これにて長きにわたる「奔走注意報! となりの生徒会!」、完。