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ヤシノキ町物語 第一話
作者: アルセ  (総ページ数: 109ページ)
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*35*

??.パームストア(店内)




 少年が店に入ると、明るく広々としたフロアと、大勢の買い物客(主婦や子供・高齢者など)や従業員(品出しやレジ打ちなど)そして、ゆっくりとしたテンポのBGMが出迎えてくれた・・・・・・。



リキ「(キョロキョロ)・・・」
  と、店内を見回す。

        ×      ×      ×
  鮮魚コーナー。
  新鮮で美味しそうな魚類(パック詰めにされた切り身魚や刺身など・・・)が、ビッシリ並べてあるチルドボックス・・・商品の状態をリストにチェックを入れるハルヒト。

リキ「(やって来て)店長さぁーん」
  と、息を切らして・・・ハルヒトに駆け寄る。

ハルヒト「やぁ、リキ君。(鰤の切り身パックを持って)久しブリだね」

リキ「相変わらず(ハアハア)ですね(ハアハア)。オヤジギャグ・・・(ハアハア)」

ハルヒト「今日はどうしたんだい?夕飯の買い物?」

リキ「いえ・・・(ハアハア)」

ハルヒト「お姉さんに用かい?」

リキ「違います・・・(ハアハア)リカのことで・・・(ハアハア)」

ハルヒト「あぁ、だったら家にいるんじゃないかな」

リキ「それが・・・(ハアハア)ヨットの中なんです!」

ハルヒト「(溜息をついて)またかぁ〜。仕様がないなぁ〜・・・生姜がないのはショウガナイ・・・(リストを見て)あ、本当にないや」

リキ「(興奮気味に)オレ、リカと待ち合わせしてたんです。そしたら、柄の悪い男が二人現れて・・・」

ハルヒト「(独り言で)内野に内野手ナイヤ・・・後で仕入先に電話しておこう」

リキ「ちょっと、オジサン!オレの話、ちゃんと聞いて下さいよ!」

ハルヒト「(生返事で)ハイハイ、聞いてるよ。それで?」

リキ「あれは絶対誘拐ですよ!オレ、見てすぐピンと来たんです」

ハルヒト「誘拐?」

  強く頷くリキ。

ハルヒト「そんなこと言(ユ)うかい?」
  と、オヤジギャグをかます。



 ビュウぅぅぅー。店内は一時雪と氷に覆われた銀世界と化し、少年は凍り付いてしまうような寒さを肌で感じた・・・・・・。



ハルヒト「どう?面白い、このギャグ?」

リキ「(唖然として)白熊とペンギンが見えます。オジサン、本当なんだってば!」

ジョージの声「小西さん」

ハルヒト「ジョージ先生」

ジョージ「今日のおススメは何ですか?」

ハルヒト「ウチは全ての商品がおススメですが、強いて言えば・・・この豪華刺身盛り合わせパックですね」

ジョージ「よし!一つ頂こう!」

ハルヒト「お買い上げ有難うございます」

ジョージ「ところで、今日は何匹釣れました?」

ハルヒト「は?」

ジョージ「え?さっきまで釣りに行ってたんじゃないんですか?」

ハルヒト「いいえ。ずっと店にいましたが・・・」

ジョージ「(ん?と、首をかしげ)あれ、おかしいな?」

ハルヒト「何が?」

ジョージ「いやね、買いに来る途中・・・お宅のヨットが海に出ているのを見かけたからてっきり趣味の釣りにでも・・・」

リキ「オジサンっ!ほらッ!」

ハルヒト「リキ君・・・後、お願い・・・」
  と、リストを渡し・・・血相を変え、走り去って行く。

ハルヒト「えらいこっちゃー・・・!紅茶が出世して偉いコウチャー・・・!!」




 (見えない)吹雪が二人の間に吹く・・・・・・。



ジョージ「相変わらず・・・寒いね・・・」

リキ「凍死寸前です。オレ・・・」













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