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ヤシノキ町物語 第一話
作者: アルセ  (総ページ数: 109ページ)
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*90*

????.同・小西家のヨット

  デッキ。
  慎重に屋根から降りるモモ。

モモ「(一息つき)危機一髪だったね」

リカ「もう一人も無事みたい」
  と、セーターを見せ・・・手渡す。

モモ「(大喜びして)良かったぁ〜」
  と、大事そうにセーターを抱き締める。

リカ「・・・(ポツリと)さっきはゴメンね・・・」

モモ「え?」

リカ「そんなに大切な物だなんて知らなかったから・・・」

モモ「アッ・・・!」
  と、気付く。

リカ「安物なんて言ってゴメンなさい」
  と、頭を下げる。

モモ「そんな・・・アタシの方こそ、そんなこと知らなくて当然なのに・・・わかりっこないなんて言って本当にゴメンなさい!」
  と、頭を下げる。

リカ「ううん、私の方が悪いんだから」

モモ「ううん、アタシの方が悪いんだから」

リカ「私の方だよ」

モモ「アタシの方だよ」

リカ「私だよ」

モモ「アタシだよ」

リカ「私!」

モモ「アタシ!」

モモ・リカ「(ムゥーッ)・・・」
  と、数秒間・・・顔を見合わせ・・・プッ!と、笑い出す。

モモ「(フフフ)おかしいね」

リカ「(フフフ)何やってるんだろう」

モモ・リカ「・・・」
  と、また・・・お互いの顔を見合わせ・・・アハハと、笑いあう。

リカ「私にもあるの」

モモ「え?」

リカ「大事なセーター、(寂しそうに)お揃いの」

モモ「・・・?」

リカ「(弾けるように)さあ、帰ろうっ!皆が待ってる」

モモ「戸惑いながら)う・・うん」

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