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ヤシノキ町物語 第一話
作者: アルセ  (総ページ数: 109ページ)
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*45*

○同・小西家のヨット

  デッキ。

  キャビンの屋根の上・・・船の揺れに驚くダイチ。

ダイチ「うおっ?!」
  と、バランスを崩した・・・拍子に、ポーンッと勢い良く手から飛び出し・・・リカの携帯電話が海に落ちそうになる・・・のを、凄い形相・・・で、滑り込み・・・落ちる寸前でキャッチするタイチ。

タイチ「(ハアハア)・・・」

ダイチ「ナイスパーフェクトキャッチ」

  ビシッと親指を立てるタイチとダイチ。

  携帯電話片手にゆっくりと立ち上がるタイチ。



 ところが・・・・・・



  先程の波飛沫で水浸しになったデッキ。

  うっかり足を滑らせるタイチ・・・ど派手にすっ転んだ拍子・・・に、持っていた携帯電話を手放してしまう。

ダイチ「ウッ?!」

タイチ「ソッ!?」

  クルクルと宙を舞う携帯電話・・・そのまま、海へポチャンッ!

  ブクブクと海の中へ消えていく携帯電話・・・を、呆然と眺めているタイチ・ダイチ。

ダイチ「あ・・・兄貴?」

タイチ「・・・」



 物事が常に自分の思い描いたシナリオ通りに進まないと、気が済まない完璧主義者のこのオトコは、予想外の事態に驚きの色を隠せないでいる。彼の遣り場のない怒りは海へ向けられた・・・・・・。



タイチ「(悔しそうに)マグロ捌きてぇー・・・!!」
  と、力一杯叫ぶ。

ダイチ「出た!『カツオブシ削りたい』の最上級『マグロ捌きたい』が・・・相当なダメージだな、こりゃ」










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