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第1話「大脱出、差し伸べられた温かい手」その二
漆黒の牢獄の中、ガーネットは少年の手を引っ張り、仲間達と共に外を目指した。
「急ぎましょう、モンスター達が騒ぎを聞いて集まってくるはずです!」
シオンが走りながら、モンスター達が守りを固める前に全速力で行こうと催促した。
「お姉さま、もっと走ってブヒ!」
ミドリオークがアカオークが自分達よりも走るスピードが遅いことを指摘してもっと早く走ってくれと言った。
「嫌だわもう、妹達よりも遅いんなんてブヒン、ショートケーキとピッツァを食べ過ぎたかしらブヒン・・・?」
「食べ過ぎた?救出に行く前に・・・?」
次女のアオオークがギロりとした目でアカオークを睨んできた。
「ごめんなさい可愛い妹達!お姉ちゃん、本当にダイエットするから!」
アカオークは走りながら両手を合わせて妹のアオ、ミドリのオークにダイエットを約束した。それを見てシオンはどうせ口だけの約束になるだろうとため息を吐いた。
「アカオーク、妹に怒られてるモチ」
「本当だモチ」
アブリモッチとミズモッチがぴょんぴょん弾みながらオーク姉妹のやり取りを見ていた。だが走る最中、騒ぎを聞いたモンスター達が駆けつけガーネット達の前に立ちはだかった。
「どうやら、お待ちかねのようですよ」
シオンが鞭を取り出した。
「軽い運動でやっちゃいますか!君、ちゃんと側にいてね!」
ガーネットは大剣を振り下ろして地面に叩きつけて、その振動でモンスター達を吹っ飛ばした。シオンも縦横無尽に鞭を振るって蹴散らしていく。
「行くわよ、妹達!」
「ええ、お姉さま!」
三色のオーク達は剣を持って剣撃をして敵を倒し、三色のモッチ達も火炎、水、葉っぱを吹いて倒していく。
「ようし、いっちょ上がり!」
敵を倒してガーネットはグーサインをした。
「待つニャ!」
そこへ、一匹の白い肌の耳がちぎれた死にかけようとしている猫が現れた。
「おいらは死にたてにゃんこ!ここは絶対に通さないニャ!」
死にたてにゃんこは仁王立ちをしてガーネット達の前に立ちはだかった。
「あれれ、今にも死にそうだけど、大丈夫なの?」
ガーネットは死にたてにゃんこの貧弱そうな姿を見て倒していいか悩んだ。
「遠慮する必要はないわブヒン!相手はモンスターよ、油断は禁物、すぐに倒してやるわブヒン!」
オーク三姉妹は剣を振るって攻撃に出た。
「ふふふ、おいらは簡単には倒せないぞにゃーん!!!」
死にたてにゃんこは体中にエネルギーを溜めるとそれを放って来た。
「ブヒーン!」
「あれーっ!」
「イヤーンブヒン!」
三姉妹は吹っ飛ばされてダメージを受けてしまった。死にたてにゃんこは更に闇の衝撃波を飛ばしてガーネット達を攻撃した。
「きゃあああああ!」
「く!」
ガーネット、シオン、モッチ達はダメージを受けて膝をついてしまった。
「く、中々強い・・・」
「はあ、はあ、息が苦しい・・・」
シオンとガーネットは闇の衝撃波の威力で立てずにいた。死にたてにゃんこは次の攻撃に出ようとしていた。門人はどうすればいいか解らずにいた。
「?」
その時、門人の手にあるものが出てきた。それは不思議な石版でよく見るとガーネット達が浮かんで矢印が無数に並んでいた。
「これをなぞれば、いいのかな・・・・」
門人は導かれるように矢印をなぞっていった。
「こ、これは?」
「何だか力がみなぎって来たよ!」
「ブヒン、あたち達もよ!」
石版の力でガーネット達のエネルギーがたまってきた。
「皆の力を、ここに!」
ガーネットはエネルギーを高めて、大剣を死にたてにゃんこに目掛けて振り下ろした。
「にゃーん!!!」
死にたてにゃんこは吹っ飛ばされて気絶してしまった。
「ありがとう、君のお陰であいつに勝てたわ!」
「やはり、貴方がこの世界に選ばれた人間だったのですね」
シオンの言葉に門人はよく解らずにいた。この世界で何が起きているのか。少年と彼等の冒険は、まだ始まったばかり・・・。