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第9話「親衛隊の逆襲、さらわれる仲間!」パート2
「ふう・・・」
親衛隊の一人、ヴァーミリアンは灼熱の砂漠の中を歩いていた。風でマントがたなびいている。彼女はある所へ足を運んだ。
「来たか・・・」
そこは砂漠の荒野にある岩山、その崖になっている場所だった。そこで青、緑、紫、黄色がメインのメンバーが待っていた。今、声をかけたのは青い服装を基調とする親衛隊で真面目で寡黙なセルリアンだった。
「お前達か、待たせたな」
「それでえ、どうだった?あの少年は捕まえられたの?」
ヴァーミリアンに緑の、スコップのような剣を持ち、いかにも脱力感を出しているビリジアンが成果を聞いてきた。
「結果はご覧のとおりだ。あと少しであの小僧を捕まえられると思っていたが、突然邪魔が入ってな、仕方なく引き上げることにしたのだ」
ヴァーミリアンは正直に言う。
「げえ、失敗した?そりゃあまずいっしょ!」
「ビリジアン、そう言うな。まずはヴァーミリアンが無事なことを喜ぶべきだろう」
セルリアンはヴァーミリアンを労うべきだと仲間に言った。
「まあ、同じ仲間だしねえ・・・」
「ちょっと、随分やる気なさそうに言ってるじゃない?」
何とも無気力なビリジアンにミルキーがイライラした顔をすると、グレイがまあまあと宥めていた。
「でも、次があるわ」
「そうそう、でもやっぱりあの子供はやっかいだねえ。何とか楽して捕まえられる方法はないかねえ・・・」
ビリジアンは何か知恵は無いかと考えた。
「それなら、いい考えがあるよ」
そう言うと、グレイは爬虫類のような鋭い爪が並んだ手にある物をメンバーに見せた。それは全てのものを映すことが出来る水晶玉だった。
「この水晶に何があると言うのだ?」
「まあ、見ていなさいって」
グレイが言うと水晶玉が光りだした。そこには門人とレジスタンスのメンバーが映っていた。そして門人はガーネットとオニキスに挟まれている。
「うむ、この小僧か?」
「へえ、いいねえ、二人も女の子に好かれてて・・・」
セルリアンとビリジアンが水晶から覗いている。ヴァーミリアンは何かをひらめいたのかニヤリと薄笑いをした。
「どうしたの、ヴァーミリアン。ははーん、さては何か思いついたんでしょう。憎いわね、その悪どさ、たまらないわ」
ミルキーは先程の無邪気な表情が一転、邪気がこもった表情をして笑みを浮かべた。
「そうだ、この小僧はこの小娘を慕っている。この小娘を利用すれば、ふふふ・・・」
親衛隊の策略が動こうとしていた・・・。
そして、門人達は相変わらず砂漠の中を歩いている。
「さあ、あんた達、もうひと踏ん張りよ。レジスタンスに付けばショートケーキとピッツァがあたしを待ってるわブヒン!」
アカオークはテンション高く、アジトにある大好物を浮かべて先頭を歩いていた。
「お姉様、アジトにはメロンソーダとカツ丼はある?!」
ミドリオークが嬉しそうに聞いてきた。
「ミントアイスと味噌ラーメンは・・・」
アオオークが舌なめずりして姉のアカオークに聞いてきた。
「ええ、妹達、ちゃんとあるわよブヒン!」
アカオークが言うと二人の妹オークは喜んだ。ゴブリン兄弟やはぐれオオカミ、しにたてにゃんこ、三匹のモッチ達も喜んでいた。
「ふふ、とても無邪気ですね」
微笑ましくなったのか看護師クリアはニコニコと笑った。他のメンバーも同じである。
「あれ?」
するとアクアが何かに気付いた。よく見ると向こうで布をまとった誰かが苦しそうにしているのが見えた。
「アクアさん、どうしました?」
「クリアちゃん、向こうで誰かが倒れてるよ」
「何、きっと虫歯に苦しんでるんだ!こうしちゃいられない!」
フロスティが治療用具を出して目をキラキラさせた。ブブとペリドットが慌てて抑えている。
「大変、早く助けなきゃ!」
ガーネットはその人の方へと走り出した。
「待って、ガーネット!」
門人や仲間達も走り出した。そしてその人物の所まで来る。
「ねえ、大丈夫ですか?しっかりして」
ガーネットがその布をまとった人の体を起こそうとした。すると、
「はあっ!」
するとその人物は突然何かを地面に転がした。転がって出た玉は煙を吹き出して門人達を覆った。
「うわ、何だこれ?!」
「ちょっと、あれ〜なんか・・・」
「眠たいぜ・・・」
門人やアカオーク、アカゴブリンは激しい眠気に襲われた。
「何だか眠い・・・」
「いけま、せん。睡眠ガスです・・・」
ブブが堪えていたが眠気に逆らえず倒れてしまう。シオンは睡眠剤が入っているガスだと気付くが、倒れてしまう。他のメンバーも倒れていった。
「ふふふ、こんなありきたりな作戦に引っかかるなんてねえ、レジスタンスの奴等もおバカさんだ・・・」
布を取るとその人、親衛隊のビリジアンはガスマスクを外してほくそ笑んだ。そして仰向けに倒れているガーネットを見つけると、彼女を抱えて、連れ去っていった・・・。
「ううん・・・」
煙が晴れて門人達が目を覚ました。
「ううん、なんだったのよ・・・」
「よく寝たモチ・・・」
「モチ・・・」
アカオークとアブリ、ミズモッチも起きた。
「はあ、何だったの、あれ?」
ペリドットが何かに気付いた。
「ペリドットさん、どうしたんですか?」
「どうしたにゃ?」
「大変、ガーネットちゃんがいない!」
クリアとしにたてにゃんこが聞くと、ペリドットはメンバーの一人、ガーネットがいないことに気付いた。
「何だって、ガーネット・・・ガーネット!!!」
門人は慌てて辺りを見渡した。しかし彼女の姿はどこにも見当たらない。
「うん、これは?」
オニキスがある物を発見した。一行が走るとそこには一機のメカモッチが置かれていた。
「メカモッチだね、何でこんな所に?」
フロスティが持って調べると、
『ふふふ、ようやく起きたかな・・・』
メカモッチから音声と同時にシルエットが映った。それは親衛隊のヴァーミリアンだった。
「こいつは?!」
オニキスが睨む。門人も彼女が誰なのかすぐに理解した。
『小僧、私の声が聞こえるかな?』
門人が見ていると、ヴァーミリアンは話を続けた。
『お前が何よりも愛している小娘は私が預かっている。返して欲しければ、小僧、お前一人で来い。この小娘がひどいめにあう前にな』
ヴァーミリアンのシルエットが消えて、代わりにあるものが映された。
「ああ!」
「これって!」
門人やペリドット達が仰天した。そこには捕らわれたガーネットがいたからだ。
『いやーっ、門人、助けてーーっ!早く来てーっ!』
映像の中でガーネットは悲鳴を上げて少年に助けを求めていた。
「ええ、何でガーネットさんが捕まっているモチか?!」
「きっと、あの時に親衛隊が連れ去っていったのでしょう・・・」
カシワモッチが驚いていると、シオンは親衛隊の仕業だと話した。
『ふふ、小僧。お前はこの小娘を見捨てられない、助けたければ一人で来い。待っているぞ・・・』
ヴァーミリアンの映像が消えると、メカモッチは電気を散らして爆発した。
「く、ガーネット・・・!」
門人は助けようと走り出した。
「待て、行けば親衛隊に命を奪われるぞ!」
オニキスが腕を掴んで彼を止める。
「そうよ、勇気と無茶を履き違えちゃダメブヒン!」
「お気持ちは解ります、ですがこのまま一人で行っても親衛隊の思うがままです。まずは彼女をどう助けるかを考えましょう」
アカオークと参謀のシオンが冷静になるよう諭した。門人は気持ちを抑え、どうすべきかを仲間達と考えるのだった・・・。続く・・・。