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*12*
それは地下の深淵と続く階段を下りてすぐの事だ。
「はぁぁぁぁ!!」
「ふんっ!」
―ゲシャァァァァ!!
躊躇なく地下に住まう化け物達が我らに襲い掛かって来たのは。ならば我も躊躇なく斬り裂くとしようか化け物達を真っ二つに。
知識のない。食欲しかない獣達は学習などしない。先陣を切った者がどんどん斬り殺されているというのに、数だけで押し襲い掛かってくる。愚かな。それでも我が王の僕だとでも言うのか。なんと愚かで無駄な物たちだ。ならばせめてその命。我が鉈の錆にしてくれよう。
「はぁっ!」
―ブシャァァ!!
バッサバッサと目の前に、左右に、後ろに、同時に、現れる化け物達を鉈で斬下し槍で貫く。あぁつまらぬ。こやつら相手では童の遊戯でしかない。退屈過ぎて退屈しのぎにもならない。目の前は一撃で血の海となり、一瞬で辺りは肉塊の山となる。
「はぁ…はぁ…」
我に背中を預ける形で戦っていたメシアの生き残りの息が荒い。もうばてたか。この程度の準備運動にもならない、戦い程度で。
「大丈夫ですかっ?」
「うっ、うん」
振り返り一応聞いてみると奴の顔は全然大丈夫そうではなかった。疲労困ぱいといった表情で苦笑い。我に心配をかけまいとでもしているのか? それは馬鹿にされたものだな。貴様にとって我という存在は――
「こちらにっ!」
ムカつきメシアの生き残りの腕を掴んでいた。そして三字に横へ進み壁に紛れて隠してあったすいっちを起動させ、隣の壁を横へ動かせ隠し通路を出現させる。
化け物達がまた襲い掛かってくる前にメシアの生き残りを連れ中へ入り、壁を移動させ通路を塞ぐ。壁の向こう側からは化け物達の悔しそうな鳴き声が木霊している。
地下も上同様にからくりだらけだ。来たことはあまりなくとも、何処にどんなものがあるのか把握している。設計図を見れば誰だって一目瞭然のことであるがな。