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8月2日。【赤葦×菅原】
作者: 大和 撫  (総ページ数: 17ページ)
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10~

*5*

歩いている内に、見覚えのある場所に来ていた。 俺の通っていた母校、梟谷学園高校の体育館だ。ボールをつく音や、声。懐かしい音が聞こえた。 どうせ何もすることなんてないんだと、しばらくそこにいようと思った。
「ナイッサー、もう一本!!」
「ナイスキー!!」
「カバーカバー!!ラストー!!!!」
日々渡る部員達の声。
(俺は、あの時の熱意をどこに置いてきたんだろうなあ)
そんな事を考えて過ごしていた。
菅原さんはバレーを楽しめと言った
もちろんプレッシャーが完全に消えることは無かったけど 少しだけ心が軽くなった気がした。 また、少しだけバレーがしたいなと
思っていた時だった。
『菅原さん?』
彼に似た人を見つけた。
(いやいやいや、違うだろ。烏野ならまだしも、県外の体育館になんているわけ...)
ふと、その人と目が合ったような気がした。
目が見開かれる。 何故か、胸が傷んだ。
『菅原さん』
声をかける。聞こえないなんて分かっているけど。
『...久しぶりです、菅原さん』
やっぱり、目が合ったのは気の所為だった。
『菅原さん。』
手がすり抜ける。
『どうして...』
随分と昔に捨てたはずの気持ちが
何故か 溢れて止まらなかった。
(なんだ...全然諦めきれてないじゃないか)
いつか、彼に初めてあった水場
もう彼と向き合う事は出来ないのだ

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