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作者: 雪林檎 ◆iPZ3/IklKM (総ページ数: 23ページ)
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最終章 第1話;「幸せになろう、君と一緒に。」【思い描く君との未来。】
今日は私の誕生日パーティだ。
私は、まるで青空のような青色のドレスを着て壇上に上がる。
「俺の事を倒れる最後にとどめを刺した藤花、約束通り願いを叶えよう!!」
皆が私に注目する。
「私は―――……お父様が生きている限りボスになることを望みます。」
というと、お父様は目を見開いてからフッと笑う。
「その願い、叶えよう!!」
皆がわぁっと万歳して喜ぶ。
「………待った、俺と藤花の婚約は破棄になった。」
穂高の声が凛と響く。
お父様は厳しい視線を向ける。
「どういう事だ、藤花。」
お父様と皆には実は言えてない。
怒ってる。
「―――……親がつべこべ言う事じゃないと思うぜ。俺達は話し合って決めたんだ、藤花は好きな奴がいるし、俺にはしたいことが山ほどある。だから、藤花を俺は幸せに出来ない。」
と負けじと穂高もお父様の事を睨み付ける。
「…………藤花、好きな奴っていうのはどこのどいつだ。」
と聞かれ、私はビクッと肩を揺らして総司君の手を掴む。
震えている私の手を九条君はギュッと握り締めた。
大丈夫だ、なんて言われているみたいで私はホッと安堵する。
「!」
総司君の事を見て、目を丸くしてから優しく微笑んだ。
「そうか。お前達は乗り越えたんだなお互いを本当に好きなんだな。」
と総司君と私、穂高を優しく撫でてお父様は大きく口を開く。
「我が娘、日高 藤花は――日野西 穂高との婚約を破棄し九条 総司と婚約をすることを認める!!」
皆はザワっとよろめくがお父様はギロっと目を向けて口を開く。
「俺の娘の婚約者が九条 総司で何か不満があれば俺に言え!!ボコボコに叩きのめしてやる………!」
と睨み、男性は一塊に集まってガタガタと震える。
****
高校と大学を卒業し、私達は組織に就職した。
今日は休みの日で総司とショッピングデートだ。
「藤花、これ着てみて。」
「うん。」
総司は今や昔のあだ名が『お子ちゃま。』だとは思えないほど背が高くなった。
「ど、どうかな……?」
私は可愛らしいワンピースを着てみてどうか聞いてみる。
「うん、凄く可愛いな。写真撮っていい?」
「!?」
許可もしないうちにスマホで撮られてしまう。
―――……両手には服が沢山。
「こんなにもいいの?」
と聞いてみると、「可愛いんだからいいだろ。」と怒られてしまう。
総司の部屋に帰ると押し倒されてしまう。
麗らかな春の風、差し込む太陽の光。
サラサラな総司の髪。
「僕…………家族に憧れているんだ。」
「うん。」
私が返事すると、総司は目を輝かせた。
「サッカーができるくらい欲しいな………。」
総司はぎゅむっと顔を伏せながら言うと耳を赤らめる。
は?―――……サッカー?
私は総司の元を離れ、言う。
「藤花…どうした?」
そう言われて、私は笑顔で答える。
「総司、何がとは私聞かないけど―――……これ以上そんな夢見ているんだったら解ってるよね?」
と言うと総司は石のように固まってしまう。
―――……これから二人で楽しい思い出を作っていこう。
傍に居れなかった12年間分を埋めよう―――……。
春にはピクニックを楽しんで夏には海に行って遊んで、秋には紅葉狩りに出掛けて冬には温泉旅行に行って。
二人で、いや、まだ君には伝えてないけどお腹の中に居る子と一緒に。
fin