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カオスヘッドな僕ら【連載終了】
作者: むう  (総ページ数: 51ページ)
関連タグ: コメディー 未完結作品 妖怪幽霊 現代ファンタジー 天使 
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 閲覧数400突破! ありがとうございます!
 これからも皆さんの固定概念をメッタメタと破壊しますので( `・∀・´)ノヨロシクです。
 
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 〈朔side〉

 
 そんなこんなで、俺は壊れた(?)iPadをお風呂に沈めようと思い立つ。
 腰かけていたベッドから降りようと、お尻を数センチ浮かしたそのとき。


 バキバキバキバキバキッッ

 
 突然、轟音が轟き、ベッドのすぐ横の窓ガラスに亀裂が走った。
 ……………え???
 俺は状況把握が出来ず、ただ茫然とヒビの入った窓ガラスに視線を移した。



「朔――――? 大きな音がしたけど、大丈夫――――――?」


 そしてその音は、下の階にいたママたちにも聞こえたようだった。
 さっきまで、チカを失った悲しみを拭いされずにすすり泣き、あんなに何十分もかけたメイクをぐちゃぐちゃにしていたママが、今はよく透る野太い声で叫んでいる。


「あ、だ、大丈夫だよママ!」
「朔、今本当に大丈夫なの? ママ上に行こうか?」

 
 それをされると、どれだけ男としてのプライドを傷つけられるか、ママは分かっているのだろう?
 そうじゃなくても、この状況をママがすんなりと呑み込めるとは考えにくい。
 俺は内心冷や汗ダラダラになりながら、それでもなお下にいるママに向かって叫び返した。

「ほ、ほほ、本当にダイジョブだから! ドアに腕打ち付けてヒビ入っただけだから!」
「え、……そ、それなら大問題だけれど……」
「とにかく、俺もう子供じゃないよ! あっち行ってて!」


 俺のその言葉を機に、階段を上がっていた足音が次第に遠ざかる。
『全くこの子はいつもいつも……』というグチは俺の左耳から右耳を通って空気の中へ。
 ふう、と胸をなでおろしたのもつかの間。


 パリンッッッッッッッッ!!


 また、大きな音が響いて、今度は完全に窓ガラスが割れた。
 頭から毛布を被って、破片の落下の衝撃をふさいだ俺は、毛布の隙間からそっと部屋を見渡して。


 そして……見てしまった。
 部屋の中央にいる人物たちを。
 多分、こいつらが窓ガラスを突き破って、部屋に侵入したのだろう(大問題だけれど)。
 でも彼ら、人物と呼べる存在ではない。なぜなら、それはどれも人の形をしていないからだ。


 白いワンピース姿の、長い黒髪の女はテレビでよく見る「貞子」そっくりだし。
 中には地獄の番犬「ケルベロス」にそっくりな、頭が三つもある犬が呻き声をあげているし。
 そして何より、部屋の真ん中で圧倒的な存在感を放っているのは。
 ヘドロ状の体に、無数の目玉が埋め込まれたカイブツの姿だった。


「朔―――――――? ちょっと本当に大丈夫? またドアで挟んだりしたの?」
「そそそそそ、そ、そうだよママ! ちょっと最近疲れてて、PS4足の上に落としちゃった」
「気を付けなさいよー?」



 ……………え、え、これはどういうことだろう。
 夢、だったりするのだろうか。試しにホッペをつねってみるが、赤くはれただけ。
 夢じゃない。じゃあこれは一体どういうこと?

 もしかして、俺が黒札の資格者だから、黒札に引かれて悪霊が集まってきたとか。
 考えがまとまったのと同時に、背中から悪寒が走り、手足に鳥肌が立ち始めた。


 やばいよ………! このままじゃ俺、あいつらに食われて終わりだ。
 なにか、戦えるもの……ないよ!
 チカの部屋だったら、数学オリンピックのトロフィーとかあるけど、隣の部屋だし……!


 神様ごめんなさい! できの悪い人間で本当にごめん! チカごめん、許して!
 生まれ変わったらママとパパに優しくします! ちゃんと先生の言うことも聞きます!
 女子に優しくするし、あぐらかいたり鼻ほじったりしません!


 だから、誰か助けてッッッッッッッッッッッ!!!!!


 俺がそう心から叫んだときだった。



 ――――――――「スターバスト!」



 誰かが鋭く叫ぶのと同時に、部屋いっぱいに閃光が駆けぬけた。
 よく、弾幕ゲームとかでよくある、「ズバァァァン」的な効果音がつく必殺技のような感じ。
 閃光に吹っ飛ばされた貞子(仮)やケルベロス(仮)たちが、「プピャギュッ」と変な悲鳴を上げながら光に呑まれて行った。


 
「……………――?」
「一件落着だな! ほらよー。テメー、このまんまだと永遠に狙われるぞ!」

 
 超絶ロリ声でそう言ったのは、外見年齢15歳くらいの女の子。
 黒を基調としたドレスに身を包み、明るい茶髪の髪はヨーロッパの貴族みたいな縦ロール。
 そして背中には、コウモリっぽい羽がついている。

 
「…………助けてくれて、どうもありがとう。………君は?」
「ユルはユルミス・ローズベリ! あっでもぉ、パイセンたちには『ロリ』って言われてっから、ロリでいーぞ。ユルはただパイセンに会いたかっただけなんだけど、まぁ命救えてよかったー!」


 乱暴な口調ではあるけど、ハイトーンボイスの、それもショタに言われちゃ全てが「可愛い要素」にチェンジ。シアの可愛さはちょっと怖いけれど、この子の可愛さは純粋そのものである。
 あぁぁぁ、尊い……。ギュってしたい。抱きしめたい。


「ん? 君、苗字はローズベリなの?」
「さっきからずっとそう言ってるじゃん」
「いや、君と同じ苗字のシアって子に、つい最近会ったばっかりだから」

 もしかして、家族―だったりするのかな?
 シアも、『姉は札狩の方についたからメーワク』とか言ってたし。
 よくよく見ると、ユルミスの顔はシアにそっくりだ。


「………別に、同じ苗字の人がいただけ。つーかさ、あんたと一緒に逃げようかと思ってんだけど」


 ユルミスは一瞬の間をおいて、視線をそらして言った。

「あ、そ、そうですか」
「パイセンが百木なんちゃらと一緒にいるらしーから、そいつのことも知りたいし」


 ………ん? 百木、なんちゃら?
 百木はよくある苗字じゃない。もしかして!


「その、百木なんちゃらさんは、ひょっとしてチカっていう名前だったんじゃない?」
「おー、よく知ってるなー!」
「その子、俺の双子のお兄ちゃんなんだ。だから、一緒に行きたい!」
「テメー、百崎チカの弟なんだな。ってかよく見ると顔も似てるし。名前、何ていうの?」

 ユルミスさんユルミスさん、いい流れで悪いんだけど一つ突っ込ませてもらうと。
 百崎じゃなくて、百木です。

「朔。百木朔、中3」
「んじゃ、テメーのことは今日から『ももたん』だ! 嫌だとか言ったら魂抜くかんな!」
「ももたんっ………!! 俺死んでもいいかも……! って、魂、抜くんですか?」
「魂のスープ、めっちゃうめーんだよ。お前も飲むか?」


 …………ご遠慮しときます。
 というか、魂抜いたり、身体を両断したり、人間の脚食べたり……。
 天国って、もっとDon’t warry be happyなところかと思ってたんだけど……。


「あ、人間の脚食べるていうのは、悪魔族の冗談みたいなもん。だから真に受けなくていーよ!」
「大分エッジがきいた冗談!!!」


 というわけで、ユルミスという悪魔(?)の少女が、今日から俺の味方となり、一緒にチカを探す手伝いをしてくれるようになったのだった。


 それはいいとして、………………窓ガラス、割れちゃったze☆ 
 ……どうすんだよ、これ。

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