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カオスヘッドな僕ら【連載終了】
作者: むう  (総ページ数: 51ページ)
関連タグ: コメディー 未完結作品 妖怪幽霊 現代ファンタジー 天使 
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10~ 20~ 30~ 40~ 50~

*21*

 ☆5分で振り返るカオ僕☆

 僕の名前は百木周(ももきちか)。
 ごくごく普通の中学生だった僕は、学校帰りに車に轢かれ死亡。
 そんな中、僕を天国へ連れていこうとクコという天使が現れ

 「10分しか地上におれん」
  
 という大事なことを忘れるアホ天使のせいで天国行きがパア。
 そしてあれよあれよという間に、
 二重人格の死神やらオカルト少女やらが現れ。

 成り行きで『札狩』と呼ばれる悪霊退治に参加する…
 流れなんだけど…。


 **************

 〈周side〉

「チカぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
 
 しばらくの空中浮遊が終わり。
 背中にコウモリの羽をはやした女の子に担がれて空を滑空していた弟は、そのまま一直線に八雲家の窓から中へ入ってきた。


 そしてそのまま、僕の肩に腕を回す。

「朔(さく)ッ!? ちょ、ちょ、どういうことか説明して!」


 いきなりバカ天使のiPadに変なメールが送られてきたと思ったら、
 次の瞬間には弟が空を飛んでいるって、どういうことマジで。


「チカぁぁぁぁ、生きてるぅぅぅぅぅ!!」

 いや生きてはないから。
 身体透けてるし。

 再会できてうれしい反面、僕はあることに引っかかり首をかしげる。
 ……ん? あれ、なんで朔は僕のこと見えてるんだろう。
 ちゃんと、身体にも触れてるし。


 双子パワー?……いや違うか。


「あー! パイセンたちお久しぶりです!」


 そんな僕らの後ろで、例のコウモリ羽のツインテールの女の子は、八重歯をのぞかせてクコと紗明(さあき)に笑いかけた。

 パイセン……?
 

「………あんたも一旦どういうことか説明しィや。
 うちかて暇やないし、いきなり来られても困るんやで」

「すみません。あのネートルお爺がゴチャゴチャうるさくてぇ」

 なんだか言い方が反抗期中の中学生のようだ。
 前にクラスメートが教師に対しての愚痴を言っていたのを思い出す。

「ネートル室長を悪く言ったらいけませんよ、ユルミス」

 朝は酷く大人しく、夜になるとめちゃくちゃウザいという死神の紗明が、歯ブラシのⅭMに出ているモデルなみの爽やかフェイスで女の子に語り掛ける。


「「「オェッ」」」

 
 この光景を見るのが初めての朔はもちろん。
 何度もその理不尽な人格の変化に振り回されてきた僕と八雲も、少々ひきつった顔をしてしまう。


「な、なに、あの人……。
 チカもしかしてホントはあーゆー人と付き合いたい系男子だった?」

「……随分とアバウトな言い方だけど断じて違うよ!!」


 朔は言動が幼い所がある。
 まあそこが可愛いんだけど。
 ただ、これだけは言っておく。断じて違う。

 僕があいつらといるのは、僕がしたくてしたわけじゃない。
 まあ元をたどれば、信号が変わってることに気づかず車にはねられる自分が悪いんだけど。

 だからと言って、「10分しか地上におれん」とか、「札狩ライフや!」とか、「おモチくん」とか、そんないざこざに巻き込まれたくて巻き込まれたわけじゃ、なぁぁぁぁぁぁぁぁぁい!!


 ハァーハァーハァー。


「それで、どういうことなのか説明して」
「あ、ハイ。パイセンたちがなかなか帰ってこないんで、痺れを切らしたネートルお爺がユルを現場に派遣したんですよ。それで、センパイたちに合流しようと目的地に向かいながら、ちょっと旭山動物園とかでイルカショー見たりしてたんですけどぉ」


 お前、絶対合流する気なかったよな?
 しかも旭山て。
 北海道から東京まで、ケッコーな距離あるけど……。


「青森でリンゴ食べて、秋田でなまはげに会って、静岡のピアノ工場見学して、ここへ着きました」


 ……お前、絶対合流する気なかったよな?


「んで、まあ、こういうわけです」


 
 と女の子は、右手の親指で朔を指し示したのだが。
 ごめん、全く分かんないんだ……。

 というか君が5分30秒使って説明できたことは、ネートルお爺っていう人物がうるさかったってことだけなんだよ。

 アーメン。




 


 

 

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