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作者: メタルメイドウィン ◆B/lbdM7F.E (総ページ数: 25ページ)
関連タグ: メイドウィン小説SEASON3 ウマ娘 たぬき要素有り オリキャラ
*23*
「悪いですが、この程度のトラップは仕事柄よく経験してますので」
すると、シンコウウインディは悔しそうに顔を歪めると、突然に駆け出した。
そして、逃げ出そうとするが、西園寺がそれを許すはずがない。
あっという間にウインディを捕まえると、再びリボンで縛ってしまう。
そのまま地面に転がすと、ウインディはジタバタと暴れるが、どうにもならない。
「くぅ~!離すのだ!」
「すみませんね、トレーナー業よりこっちの方が強いもので」
「全く、手間をかけさせる」
「あっ、こんな所にいたのか…ウインディ」
ウインディの声を聞いて、男が駆け付けてきた。
「ん…ああトレーナー、そいつだ」
「ええ?というと…貴方がレラン・アンシュですか」
「あ、ええ……私の事を?見ない顔ですが貴方もトレーナー?」
「まぁ、私としては不本意ながらそうですね……」
レランはシンコウウインディの首根っこを掴むと、持ち上げる。
シンコウウインディは手足をばたつかせるが、抵抗むなしく男達の腕力には勝てなかった。
レランはウインディの様子に困ったような表情を浮かべている。
「それで、シンコウウインディに何か?」
「いや、ウインディというよりはあなたに用がある…と言ったところでしょうか?」
「はあ……」
……
……
「なるほど、だいたい事情は分かりました」
「私としては、貴方はいいとしてもっと他の人にも声掛けないといけないのが……」
「おいたわけ、少しはやる気を見せろ」
「しかしですね、私としては理事長のの護衛の為に来たのに何故プロジェクトの手伝いなどを……」
「手伝いではなくれっきとした参加者だ、我々は!」
「そちらはなんだか大変な事になってますね」
「そういえばまだ名前を言ってませんでした、私は西園寺大乱といいます、一応本職は護衛です」
「レラン・アンシュ…といっても、ここでは結構名が知られてるみたいですが」
「ウインディを担当に選んだというだけでも衝撃が走ったが、さらにURAファイナルズで決勝まで行ったからな」
「まぁ、大したことはしてませんよ」
「しかし、ウインディのあの癖だけは何とかして欲しいものだ、ウインディ、少しは反省したらどうだ」
「ふん!そんなの知らないのだ!それに癖じゃなくて本能なのだ!」
と、シンコウウインディが言うと、レランがふっと笑みを見せる。
その瞬間、西園寺が咄嵯に動いた。
一瞬にしてシンコウウインディの背後に回ると、体のあちこちにリボンを巻きつける。
体をきゅっと締め上げられ、シンコウウインディは身動きが取れなくなってしまった。
「………!」
「どうしました?」
「西園寺さん、このリボンそのまま貰っていいですか?」
「え?別に構いませんけど…仕事用なのでかえはいくらでもありますし」
「それで、話は逸れたがプロジェクト・シンギュラーの件は……」
「ああ……私としては構いませんが、そのコースがダートコースで走れるかどうかは別問題ですよ」
「さて問題は…どうするウインディ?」
「ウインディちゃんは、走りたいのだ!」
「しかしレースの詳細がまだ分からない以上…ダートとも限らないし距離も…」
「うーん……それでもウインディちゃんは走るのだ!」
「ということなので、そろそろ用事があるので失礼します」
レランはシンコウウインディを連れて、その場から去っていった。
「ふむ……これでようやく目処が立った、後は…おいたわけ、何を見ている?」
「ええ…エアグルーヴ、貴方が言うにはレランは何一つ欠点のないような人物だそうですが」
「私みたいな人を見る仕事してると、どうも何かしらの問題点を疑ってかかってしまうんですよね」
トレセン学園の廊下を歩きながら、西園寺は言った。
西園寺の言葉を聞いて、エアグルーヴはため息をつく。
そして、こう続けた。
「貴様は人の事を悪く言いすぎだ、たわけ。」
「すみませんね、人を信じるのは苦手な性分で」
「仮にレラントレーナーに何か問題があったとしても、ウインディが何も言っていないのであればまだ生徒会が動くまでもない」
「今はプロジェクトの方を優先だ」
「はい……というかこれ、何人くらい会いに行けばいいんですかね……」
西園寺とエアグルーヴは、次なる場所へ向かって行く……