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*28*
幻徳
「アンジェ」
アンジェ
「何?」
幻徳
「お前の世界について聞かせてほしい」
アンジェ
「私の?」
幻徳
「...一応、知っておきたくてな」
アンジェ
「いいわ、その代わり貴方の世界についても教えてくれる?」
幻徳
「特に面白い話題は無いがな...」
アンジェ
「別にいいわ」
アンジェと幻徳はそれぞれの世界の事情を話す...
幻徳
(魔女狩りに吸血鬼伝説か...今となっては風化した事ばかりだな)
アンジェ
(聞いた感じ何百年も未来みたいだけど、どれだけ発展しても戦争が起きたりするのね...)
幻徳
(皮肉なものだな、こうやって世界を乱し、騒がせた二人がこうやって話しているとは)
幻徳
(向こうが自覚していないのは幸か不幸か、分からないが)
シンシア
「未来もあまりいい時代とは言えなかったのね...」
アンジェ
「そうね、ちょっと不安になってきた」
幻徳
「お前の住む世界と俺の住む世界は別だ、それに何百年も後だ」
幻徳
「とりあえず火星に行かなければ惨劇は起きないだろう」
アンジェ
「そんなにまずいことだったの?」
幻徳
「ああ」
幻徳
「...それからの10年と今を俺は忘れはしない」
幻徳
「後悔と無念と絶望ばかりの人生だった」
幻徳
「結局の所、俺は親父に泥を塗ってばかりだった」
幻徳
「そんな世界がようやく変わろうとしていた、悲劇が終わる直前だというのに...」
アンジェ
「ここに送られたって事ね」
幻徳
「ああ...」
アンジェ
「私はね、お菓子の家に閉じ込められてたの」
幻徳
「そんなものがあるのか?」
アンジェ
「ええ、私と親友の秘密の場所...でも、かれこれ2日は閉じ込められて」
幻徳
「2日...お前も苦労してるんだな」
アンジェ
「確かに大変なこともあるけど、妖精だっているし、ここと比べたらずっとマシよ」
シンシア
「こんなゴチャゴチャしたところから抜け出して、早く一緒になりましょうね」
アンジェ
「ふふ、そうね...その為にも頑張らないと」
幻徳
「ああ、そうだな...」
アンジェ
「氷室さんも、世界のために...」
幻徳
「あいつらが待っているんだ、俺は生きて帰ってきてやる...!!」
幻徳とアンジェは思いを胸に松山の居るレバーの近くまで歩く
幻徳
「そうだ、聞きそびれていたが...いつもお前は誰と話しているんだ?」
アンジェ
「え?幽霊よ、私の大切な人のね」
幻徳
「幽霊...か」
幻徳
(親父...化けて出たっていい、声が聞きたいよ...)