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第4章・明鏡結花「哀の戯れ」
〔今日は原宿でいちごクレープ食べたよ!おいしかった♡〕
他にも何やらハッシュタグがたくさん付いていて、写真はというと投稿主が顔の横にクレープを並べてよくわからない顔をしている。
そんな写真を広い部屋で1人、流し見する女性がいた。
「きっしょ、何がおいしかった♡だよ、加工しすぎて原型も残ってない笑、キモ」
容赦ない言葉を投げかける、ネット依存の女性。
何でもできるでしょ、ネットがあれば。
ベッドの中で小さな液晶を弄る。その目に光は無くて、ただただスマホと1対1の状況。
「うわ、この人めっちゃこの女優に嫉妬してる、重い人間はブスだよ」
クククとニヤつく私。私のお姉ちゃん達はみんな美人なので、顔には自信がある。
単に人嫌いなのもあるけど、SNSを見てるとみんなキモくて笑えてくる。
「ぶっさ。こいつ絶対マスク美人だったよね。鼻でかいし唇が太い」
こんな外見でも生きていく事のできる現代社会に感謝してよ。
私が天皇だったら、ブスは産まれてきた事を謝罪して、土下座させるからね。
はぁ、何かブスばっか見てたら頭痛くなってきた。
「ゲームでもしよっかな」
ゲームといっても、瑠璃歌お姉ちゃんがやってるようなガチの奴じゃなくて、スマホゲー。
今のイベントがすごく好みだから、頑張ってランキング上位に入れるようにしてる。
「…飽きた」
ずっと画面を叩いていたけれど、飽きた。
スマホの電池も3%で、そろそろ充電しないといけないかな。
カチャンとコードに差して、スマホを手から離すと、体中がだるくなった。
「やっぱ私、スマホ・ネット依存だな…」
めまいがするので薬を飲んで、しばらく寝てしまおう。
スマホが無いと回復しないけど、起きた頃には充電は終わっていると思うし。
あぁ、スマホ触りたいな。
またあの光を浴びて、たくさんの事を調べたい。
私、知ってるんだ。
麗奈が風俗やってる事も、
瑠璃歌がサイコキラー…なのは隠してないか。
百合菜がアイドルと付き合ってる事も。
怖いよね、ネットって。
麗奈が日記を投稿する事によって、多少違うとはいえ顔を出している。
自分が何も言わなくとも、周りの人がバラす事もある。
だから、私に特定された。
私がネットをやめる理由がどこにあるの?
今までお姉ちゃん達と比べられて疎外された私が、仕返ししない訳ないでしょ。
残念だけど私のスマホで、死んでよね。お姉ちゃん達?
続く