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*14*
私は今まで、お姉ちゃん達と比べられては見捨てられてきた。
顔はすごく可愛い。それは自覚しているけど、
麗奈お姉ちゃんのような綺麗な目や女性らしい体つきはしていない。
瑠璃歌お姉ちゃんのような儚い声や綺麗な指先は持っていない。
百合菜お姉ちゃんのような長くて綺麗な髪や優しい目つきはしていない。
私唯一の特徴、大きい目も瑠璃歌お姉ちゃんと百合菜お姉ちゃんの目のハーフのような物だ。
すべてにおいてお姉ちゃん達の二番煎じで、特有の物を持っていない。
良く言えばいいとこどりで、悪く言えば個性が無いという事。
それで取り残された私は、私を肯定してくれる場所(ネット)に溺れた。
自分はまだ良い方だと思えるから。自分の下が居て安堵できるから。
私のどうしようもない承認欲求を、誰かが満たしてくれるから。
_____お姉ちゃん達に復讐が出来るから。
「………」
目が覚めた。体中がだるい。
簡易本棚にあるスマホを手に取り、コンセントを抜く。
画面を開いてしまえば、もう電池が尽きるまで離さない。
可能な限り、自身の欲を満たして、誰かを貶す。
やめられないし、やめて良い事は無い。だからこんなに体をボロボロにしながらも続けている。
辛いし苦しいけど楽しい。
一時的に自分が偉くなれると嬉しくて、やっぱりやめるのは無理だ。
ピコン
使っているチャットツールに通知が来る。
『木槌山愛子』
あぁ、麗奈を潰すために手を組んだブスの子か。やたら胸のデカいデブね。
『ゆったん〜!私ぃ、超ダイエットしてぇ、痩せてるのに巨乳な女子になれたよぉ♡』
あっそ。多少胸は小さくなっただろうけど、風俗で働けるならいいんじゃない。
『お疲れ。お店特定してるから、すぐ面接いけるようにしてよ』
『おっけぇい♡』
麗奈の方は大丈夫そうか。
次は瑠璃歌だけど、いつ外に出るかわからないから、ニート男に頼んで正解かな。
で、百合菜か。
『夏樹瀬栞凪』
『栞凪、どう?海和となら、いい関係を築けそう?』
しばらく経って、返信が来た。
『そーだね!2年前からずっと百合菜とは仲良しだけど』
『百合菜と海和って人の距離が近い分、かんなも海和を誘惑できるし』
栞凪は演技が上手だから、信頼できる気がする。
『ありがと、百合菜をよろしく』
完璧だ。私の思うままに姉が翻弄される。
「楽しみだなぁ」
思わず漏れたその声は私が貶した誰よりもキモかった。
続く