コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- 無力くんの鬼な毎日
- 日時: 2010/08/09 10:23
- 名前: ちゃっぴー (ID: 8HM4KmaQ)
こんにちは★
クリックありがとうございマス♪
この物語は現実世界と異世界を掛け合わせた物語です。
表現に乏しいと思いますが、優しく見守ってください♪
ぜひ読んでみてください☆
コメントよろしくお願いします!!
- Re: 無力くんの鬼な毎日 ( No.2 )
- 日時: 2010/07/23 11:47
- 名前: ちゃっぴー (ID: 8HM4KmaQ)
それが一週間前の話。
一週間後の今日、今。東は自分の部屋で大の字に寝ていた。やることが何も無い。あの田舎の、心地よい風、森林の匂い、青く広い空なんてどこにも無い。生ぬるい風、排気ガスのにおい、曇天の空、おまけに騒音がヒドイ。網を振り回して虫を追いかけることもなければ、川に入って水を掛け合うこともできない。
簡単にいうと、東は暇だった。
気になっていた高層マンションに住むことはできたものの、することがない。いい眺めが売り名はずのこのマンションも、曇り空の下では、いい眺めどころではない。
明日はいよいよ<時渡高校>に転入する。準備もしなけらばならないのだが、どうもやる気が出ない。
そのまま、大の字のまま、一日が過ぎようとしていた。
- Re: 無力くんの鬼な毎日 ( No.3 )
- 日時: 2010/07/28 09:49
- 名前: ちゃっぴー (ID: 8HM4KmaQ)
翌日、時間に厳しい母に叩き起こされた東は、完全に起きていない頭で今日の予定を思い出す。
(今日は何があったけ・・・。あ、転入だ。んっ今日の朝ごはんは目玉焼きかぁ。)
イスに座り、目の前にある目玉焼きを見ているうちに頭の中で別のことを考えはじめる。
(目玉焼きといえばこの前、おばあちゃんがマヨネーズをかけてたなぁ・・・。かつては村で一、二位を争うマヨラーだって聞いてたけど、本当かなぁ・・・。)
マヨネーズがかかった目玉焼きを思い出し、少し食欲をなくす。
テレビの画面がパッパッと切り替わる。新聞を読んでいた父がチャンエルを次々変えていた。あきれたように、母が言う。
「あなた、いい加減チャンネルをころころ変えるのやめてよ。」
やっとのことで、チャンネルがとまる。朝のニュース番組がやっていた。今はちょうど天気予報の時間で、ベルの形をしたマスコットキャラクターが天気を伝えていた。今日は晴れのち曇りだそうだ。
天気予報が終わると、アナウンサーの顔が映し出された。緊張した声で原稿を読み上げる。
『続いてのニュースです。一昨日、時音町で、バラバラにされている男性の死体が発見されました。未だ男性の頭部と右肩が見つかっておらず、警察が捜索中とのことです。続いては・・・。』
「まったく、これだから都会は・・・・・・。物騒ねぇ。」
母が顔をしかめる。
目玉焼きを何とか食べ終えた東は、これから転入しに行く<時渡高等学校>の緑色の制服を着た。洗面所に行って寝癖がないかチェックする。鏡に映った自分の姿を見る。生まれつきの茶色い髪は、少し長めで耳にかかっていた。少し黒が混ざった茶色の瞳は、昔同級生に褒められて、嬉しかった思い出がある。
ふと時計を見ると、針は出発の時刻を指していた。
スーツを着た母が、玄関で、早く早く、とせかしている。
東は荷物を持って、玄関へ駆け出した。
- Re: 無力くんの鬼な毎日 ( No.4 )
- 日時: 2010/07/28 10:21
- 名前: ちゃっぴー (ID: 8HM4KmaQ)
★1−2★
「はぁっはぁっぜぇっげほっ」
男は必死に逃げていた。捕まってはいけない。絶対に・・・
時音町の隣、氷川町の人気のない道路を男は走っていた。月明かりさえ届かない道路を、懸命に・・・。
「はぁっはぁっ。どこまで追って来るんだ!!もう逃げきれねぇっ!!」
後ろから人影が迫ってきていた。男を逃がさんと追いかけている。まるで鬼ごっこだ。男は建物の角を曲がり、また曲がり、さらに曲がって行方をくらました。後ろから誰も来ないと分かると、建物の壁に寄りかかり、ゆっくり目を閉じた。
(・・・・・・。そろそろかな。今のうちに遠くへ逃げよう。)
男が目を開く。
男の目の前に、青白い顔があった。
「うわぁぁぁ!!」
後ろは壁。逃げることはできない。顔が、にぃぃっと笑った。そしてすぐに暗闇の中へと引っ込む。
一瞬だけ雲が晴れ、月明かりが届いた。建物の影で顔が見えない。顔と同じ青白い手が毒々しい赤色のコートから伸びていた。手には、闇の中でまがまがしく光るナイフが握られていた。
月がまた、雲に覆われ、あたりは真っ暗になる。
「・・・何で殺そうとするんだ?」
生き延びることを諦めたのか、男がしゃがみこみながら言った。
「依頼があったんだ♪おにーさんを殺してって☆」
闇の中で、ナイフが光る。男の顔が青ざめた。
「ちょっと待った!!」
ぴたりと、空中で光が止まる。と、男が一気にまくし立てる。
「ふざけんなよ!!依頼したのは誰だ!?何で俺は殺されなくちゃならない??理由は!?おいお前っ!金をやる!だから俺を殺せと言ったやつを殺せ!!俺からの命令だ!!」
言い終えると、肩を上下させて呼吸を整える。
「ゴメンねおにーさん。最初の依頼のほうが優先なの。言いたいことは、それだけ??」
人影が、ゆっくりと言った。それは重みのある言葉で、男はたじろいだ。目の前に、どす黒い空気の塊があるようだ。
「・・・ふっ。いつか呪ってやるからな。覚悟しとけよ。殺人鬼、<赤うさぎ>。」
男がニヤリと笑う。
「上等だ。」
また雲が晴れ、月が顔を出した。刃が、月明かりを反射させてきらめく。
どしゃっ
男がアスファルトに倒れた。最期の最後まで人影を睨んで放さなかった黒い瞳は、時が立つにつれ、白く濁っていく。肌も、青白くなっていく。
「今までの中でアンタが一番面白かった。けど、依頼だもんね、しょうがないよねっ♪」
<赤うさぎ>と呼ばれた殺人鬼は笑いながらナイフを振るった。
「クスクス。なんだ、アンタうちのこと知ってたんじゃん。死んじゃって残念だねー。」
夜の氷川町に、<赤うさぎ>の笑い声が高々と響いた。
- Re: 無力くんの鬼な毎日 ( No.5 )
- 日時: 2010/07/30 10:23
- 名前: ちゃっぴー (ID: 8HM4KmaQ)
★1−3★
きれいに掃除された廊下に東は立っていた。目の前では、担任の吉川が不安げな顔で東を見つめていた。
「・・・。あの・・・。」
「ん!?あ、ああ。すまないね。君のほかにもう一人転校生が来るはずなんだが・・・。もう少し待っててくれないかい?もうすぐだと思うんだが・・・。」
東は吉川をじっと観察した。よほど焦っているのか、さっきから目がキョロキョロ動いている。着ているスーツのボタンは、太った体型のせいで今にも飛んできそうだ。このままではいつまでボタンが持つか分からない。そんなときだった。
「遅れてすいません!!」
少し高めの声が廊下に響く。東が振り向くとそこには、超が付くほどの美少女が立っていた。小さな顔、整った顔立ち、腰まである、まっすぐで黒い髪。なんだかまぶしい。
キラキラと輝かしい少女が東に微笑んだ。
「私は橘紗彩(たちばな さあや)。あなたは?」
「えっ。あ、俺は池戸東。」
二人の自己紹介が終わると、吉川がコホンと咳をした。
「そろそろ教室に入ろうか。」
教室は、いいかんじに荒れていた。(いい感じというのは変だけど)
壁には無数のラクガキ、床にはゴミが散らばり、二人の自己紹介中も、真面目に話を聞いている生徒は少数だ。みんな、化粧やマンガ、ゲームに熱中して話を聞こうとしない。吉川は注意もしない。
教室の奥では、ガラの悪い生徒が机の上であぐらをかいている。その生徒の両側には、キツネ目の生徒と、たれ目の生徒が、机の上に座ってゲームをやっていた。
突然、ガラの悪い生徒が、持っていたボールを東をめがけて投げた。
びゅうんっ ばすんっ
ボールは東の頬をかすめ、後ろの黒板に当たった。
「なっ・・・・・・。」
「うわー。惜しいっスねー。もうちょっと右ですよぉ。」
キツネとタヌキがニタニタ笑った。
「お前ら!何てことするんだ!謝れ!!」
今まで黙っていた吉川が怒鳴る。
怒鳴られた生徒、荒井孝助(あらい こうすけ)がニヤリと笑った。目が、三日月のように細くなる。
「えぇ〜?だって先生ぇ、コレは言葉のキャッチボールですよぉ?」
荒井は吉川をじろりと見る。そして視線を東に移す。
「池戸くぅ〜ん。放課後、一緒にそこの空き地で遊ばない??待ってるからさぁ〜〜。」
教室中が、ざわついた。「あの荒井に呼ばれるなんて。」「転校早々、災難だな。」「あの人かわいそう。」「不登校になっちゃうんじゃない??」「やだ〜。ちょっとやめなよ。」「クスクス。」
状況を理解できていなかった東は、落ちたボールを拾った。黄色いボールに、白い線が二本、くっきりと引かれている。テニスボールだ。
さて、どうしようか。転校初日からこんな事件を起こすつもりはなかったのだが。不良に絡まれるのは初めてだ。田舎ではこんなことなかったのだから。
どう対処しようか考えているうちに、あるひとつの考えが浮かんだ。不良に絡まれたことのない、東らしい考えだった。
ぶうんっ べこっ
「ぐぁっ。」
テニスボールは見事なストレートで荒井の顔面にヒットした。隣にいた紗彩が息を呑む。教室中が、水を打ったような静けさに包まれる。キツネとタヌキも顔を青ざめさせながら、荒井の様子を窺う。
「どう?俺の剛速球♪いい腕してると思わない??」
状況を理解できてない東は、自分の自慢の剛速球に大変満足しているようだった。
「池戸くん、今の状況わかってる?」
紗彩が、かなり引きつった顔で聞く。吉川は驚きのあまり、口があんぐり開いている。
「・・・。えーと、いま、どんな状況??」
「かなりヤバイかも。」
東の問いに、生徒たちが即答する。吉川が魚のように口をパクパクさせながら言った。
「とっとりあえず、二人とも席に着いてくれるかっ。」
♪続♪
- Re: 無力くんの鬼な毎日 ( No.6 )
- 日時: 2010/08/02 10:17
- 名前: ちゃっぴー (ID: 8HM4KmaQ)
★1-3 続★
二人が席に着くと、吉川は緊迫した顔で朝のホームルームを始めた。
東の周りの空気だけが、ぴんっと張り詰めていた。しかし、隣の生徒だけは違った。ニコニコしながら東に話しかけてくる。
「おはようさんっ!あんたすごいなぁ。あっ、ウチは木ノ宮小豆(このみや あずき)ってゆーねん。よろしゅうなぁ♪」
元気いっぱいの小豆には、教室の空気は関係ないらしい。黒いショートへアに、桜色のヘアピンがよく映える。なぜか、最近流行の画面付き一眼レフが首から下がっている。コレも桜色だ。
無意識のうちにカメラを見つめていたらしい。小豆が東の視線に気づいてカメラを持ち上げた。
「これな、ウチのじーちゃんがくれたんや。あ、ウチ新聞部なんや。」
小豆が自慢げに言った。カメラが太陽の光を反射させて、キラリと輝く。
と、そのとき。
ばこんっ
「きゃーーーーーーーッッ!!」
ものすごい大きな音がして、机が吹っ飛んだ。女子が頭を抱え、悲鳴をあげる。机を吹っ飛ばした張本人は顔を押さえながら、唸っている。
「いぃ〜〜〜〜けぇ〜〜〜〜どぉ〜〜〜〜〜。」
「荒井ふっかぁぁつ!!」
「やったれぇぇっ。」
荒井が、(まだ痛むのか・・・。)顔を押さえながら近くにある机を思いっきり蹴った。キツネとタヌキがおなかを抱えて笑い出す。生徒の顔から血の気が引いていく。でもやっぱり小豆は違った。
小豆の目がキラキラと・・・いや、ギラギラと光っている。桜色の一眼レフを構え、シャッターチャンスを狙っていた。
「スクープや!!このネタ絶対に逃さへんで!!」
一度小豆の心で燃えた炎は、消火器を使っても消せない。
東が荒井に言った。
「ええと・・・。喧嘩とか、俺、苦手なんだよね。」
「先に喧嘩売ってきたのはどっちだよ!!」
『そっちじゃん』
全員でハモリツッコミ。
「うるっせぇ!とにかくなぁ、俺は喧嘩が大好きなんだぁっ!今ここでぶちのめしてやるぜ池戸ぉぉぉぉ!!!」
パシャッパシャパシャッ
超ノリノリな荒井を連写する小豆。ものすごく楽しそうだ。
東はというと、迫ってくる荒井を撃退できる道具を探していた。キョロキョロと見渡すが、それらしいものは一つも無い。紗彩が叫ぶ。
「池戸くんっ!」
何事かと、東が振り向いた瞬間、
どすっ
腹に重い衝撃がはしった。視界がぼやけ、頭がくらくらする。
小豆は連写をやめ、カメラを首からはずした。スッと何かの構えをとる。
「こう見えて、空手とか合気道とか、やってたんやからな。 なめんなよっ。」
指先をそろえ、神経を集中させる。見切ったところで、荒井の肩に右手を振り落とす。
「ぐぁっ」
荒井の顔がゆがむ。
「池戸くん、今のうちにどっか逃げとき。」
小豆は次の攻撃を繰り出す構えをとった。東が困惑した表情を浮かべる。
「でも」
「はやくっ」
東はちらりと紗彩を視界の隅で捕らえ、それから足早に教室を去っていった。
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