コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- 白神の剣
- 日時: 2010/11/09 15:33
- 名前: 皐月凪 (ID: VozPDcE.)
コメしてくださると嬉しいです><//
『白神の剣』各話リスト(完結)
1話「転校生は剣術の達人!?」
pt1>>1、pt2>>2、pt3>>3、pt4>>4
2話「幼なじみ」
pt1>>5、pt2>>6、pt3>>7
3話「大切なもの」
pt1>>8、pt2>>9、pt3>>10、pt4>>11
4話「巫女少女」
pt1>>12、pt2>>13、pt3>>14、pt4>>15
5話「執事という仕事」
pt1>>17、pt2>>19、pt3>>18、pt4>>21、pt5>>23、pt6>>24、pt7>>25
6話「新しい仲間」
pt1>>26、pt2>>27、pt3>>31、pt4>>32
7話「フェアリーワールド」
pt1>>33、pt2>>34、pt3>>36、pt4>>37
8話「夢雲」
pt1>>41、pt2>>42、pt3>>43、pt4>>44、pt5>>45
最終話「マテリアルマスター」
pt1>>46、pt2>>47、pt3>>50
四百年前、神崎流と白波流という二人の剣士による巨大な流波が存在した。二人の剣士は互いを高めあい競いあった。そして二人には、恋人ができた。...二人同じ恋人...二人は互いに一人の女性を愛した。...故に二人の剣士の間には深い亀裂が生じた。亀裂は元に戻ることを知らずに深さを増していき、互いを殺した。 時は平成、昔の出来事など微塵も知らない神崎家7代目にして、山城学園二年A組に通う予定の『神崎 天(かんざき てる)』17才は、毎朝の日課となっている剣の修行につきあわされようとしていた。
「天、お前は手加減というもんを知らんのか!!!」
朝の目覚めを邪魔された俺は、無意識に父親のふところに鞘で不意打ちをあびせていた。
「だって、おやじ弱いんだもん」
小さい頃から父に剣術をたたき込まれていた俺は、もう父をも超える剣術の腕前を持っていた。
「ぬ、ぬぅ」
「親父、もうよくねぇか?」
「もう親父より強えーんだし、親父も年だろ...俺も今日から新しい高校に通うことだし、親父も無理することないんだよ」
「て、てる〜」
うちの親父は、優しい言葉をかけてやると、すぐに泣く
「わかった、わかった...泣くなよみっともない」
「俺、もう学校行く時間だから...」
クローゼットを開け山城学園の制服に着替える。
「飯はいいのか?」
「誰のせいで時間なくなったと思ってんだ」
親父を残したまま部屋をでる。階段を下りていくとテーブルには、目玉焼きとトーストが置かれていた。
「天、転校初日から遅刻は駄目よ」
母親は親父とは違いしっかりしている。
「わかってるよ、急ぐから...じゃ」
俺は勢いよく玄関の扉を開け、猛ダッシュで学園へと向かった。
- 白神の剣 7 ( No.7 )
- 日時: 2010/08/25 17:13
- 名前: 皐月凪 (ID: VozPDcE.)
...俺は、AM5:00にセットしてある、目覚まし時計を止め、袴に着替える、俺の袴は特注品で素材に、玉鋼を繊維状にして編み込んであり、肌触りをよくするために、その上から絹を編み込んである。
着心地はいいが、とてつもなく重い..30㎏はある。
俺は、それを着、腰に練習用の太刀を装備してリフレッシュ&トレーニングも兼ねて、朝のジョギングに向かう。
「天、あいかわらず早いな」
親父が胴着一枚で話しかけてくる
「親父もな」
「さぁ天、朝の修行といきますか」
親父は、腕を組みうんうんとうなずいている。
「昨日も言ったけど、もう親父じゃ相手なんないから、今日から自分で己を磨くよ......親父、今までありがとうございました...」
俺は、自分の父親としてでわなく、剣術の達人に誠意を込めて感謝の意を表した。
「天、たしかにお前は、俺を越えた...父親として誇らしく思う......だが、その剣術、誤った使い方をけしてするなよ....俺はそれがいいたかった...ほれ、行け...お前はもっと強くなれる がんばれよ...我がむすこ」
親父は涙ながらに言った。
今日の親父は、なんだかかっこよかった。
「じゃあ、行って来る」
「おう、うまい朝飯用意してっからよ〜」
朝飯を作るのは、母さんなんだが...
ジョギングするとわ言ったものの、この土地の地形がよく分からないので、とりあえず気の向くままに走ってみることにした。
山の方に走って行くと、神社があった。
神社の周りは水田しかなく、町から少し離れた田舎みたいな雰囲気の場所にあった。
俺は、神社に続く軽く100段わあろうかという階段を一段一段登った。
....さすがに、30㎏の袴を着て階段登るのはキツイ
石の階段を登り終え、赤い鳥居をくぐった先に、赤い袴を身にまとい、腰になにやら刀のようなものを差して、ほうきを持って掃除している巫女姿の少女がいた。
俺は、黙っているのもなんなので、とりあえず挨拶することにした。
「お、おはようございます」
挨拶をした瞬間、俺は自然に体が動き太刀を抜いていた....
目の前に少女の姿はない...少女は腰の刀を抜き、俺の真横にいた...俺は少女の刀を太刀で受け止める形になっている。
「お前、よく止めたな...袴に太刀なんて普通の人間じゃないとわ思っていたが」
なんなんだ、こいつは..一瞬で俺のよこに...まさか、『瞬身』(瞬身とは、体にかかっている制御能力を一瞬外して、身体能力を上げる技、しかし使えば使った時間だけ、あとあと身体に疲れがでる)
「瞬身か、その程度で、俺はやれないよ」
横の刀を太刀で振り払い、ハッキリ言ってやった
「ふん、瞬身が分かった程度でほざくな」
少女は刀を10時の方向に構えた...たちまち刀に霊気が帯びる...やばい..そんな気がして俺も練習用の太刀しか持って来ていないが、やるしかないと感じた。
...俺は、袴から上半身だけをだし、体勢を低くし太刀を3時の方向に構えた。...神崎流をなめるな
「神崎流奥義『神滅』!!」
「白波流奥義『飛来』!!」
...勝負は一瞬でついた
俺は、少女の刀をなぎとばし、太刀を少女の首筋に付け、寸止めしていた。
「朝からなんのつもりだ」
「わ、私はこの神社を護っている...お前の服装からして、変出者だと私わ思った」
俺は、太刀を鞘にしまいながら、言った。
「これは、修行用の服装だ、第一お前の巫女衣装と対して変わらないだろう」
「こ、これは、巫女衣装などではない!!...神聖なる袴だ!!」
「あっそ、じゃ俺そろそろ行くわ」
鳥居をくぐろうとしたとき
「おい、き、貴様、名は何という?」
振り返り
「俺、知らない人に名前教えんのあまり好きじゃなんだよね」
すると少女は顔を赤くして
「私は、お前のようなやつに負けて悔しいのだ...せめて名ぐらい教えろ」
顔を赤くして叫ぶ少女がおもしろくて冗談を交えて言った。
「俺は、神崎天......お前俺に惚れたのか?」
「ほ、惚れてなどおらんわ!!」
そういうと少女はその場から、立ち去った...
しかし、あの構えどう見ても白波流の構えだった...
...何なんだ、あいつ...
家に戻る途中にあった、公園の時計は、午前6:45分を指していた...
俺は家に戻り、朝食を食べ、制服に着替えて、家を出た。
「おっはよ〜」
家の前には、待ち伏せていたかのように、芽衣がいた。
「おはよう、朝からテンション高けーな」
「うん、だってこれから毎日 天と登校できるんだもん♪」
...一緒に登校する約束をした覚えはないが、まぁよしとするか
「なんか、芽衣 学校いるときと性格違うよな..」
話すこともないので、気になっていることを聞いてみる。
「私、学校では、成績トップだったり、学園のアイドルとかってもいわれてるから、ずっと清楚なキャラ演じてたの....」
苦笑いする芽衣...
「なんか、清楚な芽衣なんて接しにくいや」
.......沈黙
「.....わかった、もう清楚キャラ演じるのやめる」
「でも、いいのか」
「うん、いいの...正直清楚キャラ演じるのにもううんざりしてたから」
「おはよ..芽衣」
後ろから声が聞こえてきた。
「おはよ、唯」
芽衣は挨拶を返す
「あ〜君は...昨日芽衣を探してた人」
唯は俺を見るなり言ってきた
「昨日は助かったよ、唯っていうんだ...俺、神崎天よろしく」
唯は俺の顔をジロジロみてきた
「なんだよ、俺の顔になんかついてるか?」
「君、いい顔してる♪」
なんだ、こいつ訳分かんねぇ...
横で芽衣が笑う
「二人してなんだよ〜」
そうこうしてるうちに、山城学園に到着した。
- 白神の剣 8 ( No.8 )
- 日時: 2010/08/26 14:07
- 名前: 皐月凪 (ID: VozPDcE.)
校門の前には、『山城祭』の看板...今日って学園祭なのか....
そういえば、昨日の放課後下校する生徒がすくなかったような気がする...
そんなことを考えていると、後ろから衝撃が走った。
「おっは〜、天」
俺の肩を力一杯たたいてアピールしているのは、クラスメイトの亜希だった。
「おはよう、亜希...って急に叩くなよ」
「あっごめんごめんっ」
手を合わせ誤る亜希の隣には、相沢がいる
「おや〜星野さんと天、仲直りしたのか.....やるな、天どうやって学園のアイドルを説得したんだ?」
すでにメモをとる準備をしている相沢に言った。
「まぁ色々な...」
「色々ねぇ〜...気になるな」
「まぁ、教室行くぞ...芽衣、また後でな」
そう言って、相沢、亜希と共に教室に入った。
.....教室は、喫茶店のように改装されていた。
...2年A組は喫茶店をやるのか...
「すみません、俺学校祭のことなにも聞いてなかったんですけど...なにすればいいですか?」
なにやら、喫茶店を仕切っている人に聞いてみた。
「あら、神崎くんじゃない」
「おはようございます...えっと」
「私は、天宮里沙、この学園の生徒会長をしているわ...」
え...生徒会長って三年..?
「あっそうなんですか...天宮さんは三年生ですか?」
「ええ、そうよ」
「三年生が...なぜここに...」
「生徒会長として、絶対にこの学園祭を成功させたいの...だから校内の出し物の最終チェックをしてまわっているのよ」
この人すごい...なにか自分も協力してあげたい。
「天宮さん、俺、学園祭のことなにも聞かされてなくて、何やっていいか分かりませんでしたけど、もしよかったら...会長の手伝いさせてください」
すると天宮さんは笑みを浮かべて
「ありがと、そういってもらえるなんて思ってもなかったわ」
天宮さんとてもうれしそうだ
...そして俺は、学園祭開幕までの間、会長の手伝いをして歩いた。
「神崎くんキツくない?」
重いダンホールを両肩に二つずつ担いでいる俺に天宮さんは問いかける。
「まい朝、修行してるんで、これくらい余裕っすよ」
俺は、笑顔で返す
「しゅ、修行..?」
余計なことも言ってしまったみたいだ
「ああ、修行じゃなくて、トレーニングでした」
天宮さんは苦笑している...
「毎朝トレーニングだなんて、頼もしいのね...よかったら、生徒会に入会てくれない?...男手が足りなくてねぇ」
「そんな、生徒会だなんて、まだ転校してきたばかりで、学園のこともよく知らないのに...」
「知らないから、生徒会に入るのよ...生徒会に入れば、学園のことだって、すぐに覚えられるわ」
「でも、生徒会入会条件って厳しいんですよね...生徒手帳に書いてありました...」
生徒会に入会するには、国、数、英、理、社、各教科80点以上で、全校生徒の6割の賛成を得ないといけない...
「神崎君なら、大丈夫!!」
筆記試験は、高校全国模試2位の実力をもつ俺にしてわ、楽勝だが、問題は全校生徒の6割の賛成だ........無理だな...
- 白神の剣 9 ( No.9 )
- 日時: 2010/08/26 17:13
- 名前: 皐月凪 (ID: VozPDcE.)
第56回山城祭は始まった...
俺は、生徒会長、天宮さんと別れ、現在、相沢と亜希の3人で2年A組喫茶店にいる
...芽衣と唯はクラスの仕事をしていてこれないみたいだ...
「どこいこうか?」
「とりあえず、型抜きいこうぜ!!俺得意なんだ〜」
「しょうがないわねぇ〜」
...どうやら、相沢は型抜きが得意らしい。
「天もいいよね♪」
「あ、ああ」
とりあえず付いていくことにした。
型抜きの会場は、グラウンドに設置されている。
「じゃあ..この500円の龍神で!!」
相沢は一番難易度が高いのを選んだ。
.............待つこと約20分よやうやく完成というところで、事件は起きた。
校門の方でバイクのやかましい音がする。暴走族だろう...
そのバイクに乗ったガラの悪い連中は校門をくぐり、グラウンドへと向かってきた。
「うわぁ、あいつら鬼羅高のワルだよ...天くん関わらないほうがいいよ...」
隣で、亜希が言う。
「おい、柳を出せ、柳祥吾をだせぇー!!!」
ワルのリーダー格の男が、叫ぶ
「なぁ亜希、柳祥吾って誰なんだ?」
「三年の不良よ、結構この辺りじゃ有名よ..」
「ふ〜ん」
校舎から、天宮さんが出てきた...天宮さんは20人はいるであろう不良に近づいて行った。
「あなた達、学園祭を荒らすのはやめて、とっととこの場から立ち去りなさい!!」
「はぁ〜誰だてめぇ〜」
下っ端っぽいのがほざく
「私は、山城学園生徒会長、天宮里沙よ...この場から立ち去りなさい!!」
「じゃあ、柳をだせ、昨日うちのが柳にかわいがられたみてぇでな..」
「そんなの知ったこっちゃないわ、この場から立ち去りなさい!!」
「うっせんだよ!!」
バイクから降りた男の一人が天宮さんを殴り飛ばした。
「いっっつ」
天宮さんは、倒れている...それを見て誰も助けようとはしない...
「お、おい亜希、先生呼んだ方がいいんじゃないか」
「先生なら、とっくの昔にいるわよ...会長も黙ってればよかったのに...」
亜希の指さす方向に先生たちは、やっかいごとは、ごめんだと言う顔して、黙ってみていた。
俺は、それをみて自分の中のなにかが切れた...
「な、なんだよ、なんなんだよ!!みんな!!」
「会長、みんなのために頑張ってんじゃねぇかよ!!、学園祭成功させるために頑張ってんじゃねぇのかよ!!
...それなのになんだよ、会長ひとりでやらせて、お前ら恥ずかしくないのかよ!!!、女の子一人守ってやれないなんて恥ずかしくないのかよぉぉぉー!!!!!!」
俺は、不良の中にたった一人で突っ込んで行った...
さすがに20人一気に相手するのは難しい、しかも全員バイクに乗り、鉄パイプを所持している...
...完璧に不利だ、刀でもあれば、別だが...
「おい!!神崎、これ使えー!!!」
上の方から、聞き覚えのある声が聞こえてきた。
...振り向くと、校舎の三階から見覚えのある少女が、刀をこちらに投げている...あいつは、今朝の巫女少女!!!
俺は、刀を受け取る。
「ありがとー朝の巫女さん」
「み、巫女いうなぁ〜」
巫女さんは、なにやら騒いでいる。
俺は、制服を脱ぎ、上半身裸の状態になり、目を閉じ集中した。
「なんだぁ、こいつアホかぁ〜」
俺は、そんな声も気にせず、『瞬身』を使った...
「神崎流奥義『神滅』!!!」
俺は、20台ものバイクを刀一本ですべて爆破させた。
...反動で刀が折れている...
「わりぃ、巫女さん..刀、折っちゃった」
「神崎、後ろ!!!」
次の瞬間、頭部に衝撃が走った...
頭から、血が流れる...
おれは、本格的に切れた...
俺は、『瞬身』を使いまくり、20人全員をボコボコにし、『瞬身』の使いすぎで、その場に倒れた...
- 白神の剣 10 ( No.10 )
- 日時: 2010/08/27 14:31
- 名前: 皐月凪 (ID: VozPDcE.)
...気づくと俺は、保健室のベットの上で横になっていた。
「ようやく目が覚めたのね...大丈夫?」
俺の横には、天宮さんがいた。
...天宮さんの頬が赤く腫れていた...俺は左手でそっと、天宮さんの頬に触れる...
「天宮さんこそ大丈夫?...すみません..もっと早く助けに行けばよかった..」
天宮さんの瞳から、涙が溢れる...
俺は、頬に触れていた左手で、涙を拭う..
「泣かないでください...天宮さん、みんなのためにたった一人で立ち向かって、かっこよかったですよ」
天宮さんは、横になっている俺に覆い被さるようにして、抱きついて号泣している......あんなに、冷静にしているようだったけど、本当はすごく怖かったんだな...俺はそんな天宮さんをそっと抱きしめてやった。
「すきなだけ、泣いてください...」
それから、しばらくして天宮さんが泣きやんだ。
「ごめんね、変なとこ見せちゃって...」
「なにが、変なんですか?...泣きたいときは泣けばいいじゃないですか」
俺は、笑顔で言う。
「もう、学園祭終わっちゃうね...」
「天宮さんもしかして、ずっとここにいたんですか?」
「ええ、わたしを助けてくれた人を置き去りにできるかしら...」
「そ、そんな..最後の学園祭なのに...」
「いいのよ、生徒会長としての役目は果たしたし、悔いはないわ。」
「そんなの嘘です..今からでも間に合います!! 一緒に行きましょう!!」
俺は、悲鳴をあげる体を無理矢理起こし、立ち上がろうとした...
「ゲホ、ゲホ....」
...床に血、吐血した..
「そんな体じゃ無理だよ!!、お願いだから寝てて!!...ほら、わたしも足けがして歩けないし...」
見ると、片足だけ包帯が巻いてあった。
「無理させてください!!...天宮さんにどうしても最後の学園祭、楽しんでもらいたい...それに、山城祭を最後まで見届けるのも会長の役目なんじゃないですか?」
「か、神崎くん...」
俺は立ち上がり、天宮さんの前に背を向けてしゃがみ込んだ...
「歩けないなら、俺が背負います」
「で、でも神崎くん...けが..」
「会長さん、俺を困らせないでください...」
「う、うん....じゃあ」
天宮さんは、俺の背中に体重をあずけた...
体が悲鳴をあげる...が俺は、それを無理矢理引っ込めた。
「さ、行きましょうか!」
廊下に出ると、誰もいなかった...
「誰もいないですね...」
「この時間だと、みんな学園祭最後のイベントで、グラウンドにいるんじゃないかしら」
ガラス越しに見える時計は、午後5時10分を指していた。
「じゃ、グランド行きますか」
俺は、天宮さんを背負って、グランドを目指した...
幸い保健室は一階にあったので、階段を下るなどの、動作はなく、命びろいした...
靴を履き替え、外に出た..天宮さんは靴をはいていない..いや、片足包帯でグルグル巻きにされてるので、履けないと言った方が正しい。
...グラウンドに着いた瞬間、グラウンドにいた生徒全員が、こちらに向かって、走ってきた。
「神崎〜!!」
「会長〜!!」
そして、全校生徒及び職員は、口をそろえて言った.......
『ごめんなさい!!!!』
その言葉を聞いて、天宮さんは、俺の背中に顔をうずめてまた泣き出した...
「ごめんね..神崎くん、みんなに泣いた顔見せたくないから..このままでお願い..」
そう耳元でささやいた...背中が濡れて冷たい...
「分かりました..」
「いや、分かってもらえればいいんですよ...それより学園祭も最後ですから、みなさん楽しんでください」
背中で泣いている会長に代わって言った。
「神崎よく言った!!、よ〜し男共、胴上げだ〜!!!」
生徒の誰かが言った...
次の瞬間、背中から、天宮さんを引き離され、俺は宙を舞った...激痛がはしる..やばい、死ぬ...
「う、うわぁ〜!!!」
みんなが俺の異変に気づき、俺を下ろした...
「う、う...ハァハァ..ゲホッゲホッッッ」
...ドバァー...大量に吐血した..
周りは、血を見るとその場に立ちすくんで唖然としていた...
「神崎〜、天〜、天く〜ん」
生徒が密集している中から、聞き覚えのある声が、ちらほら聞こえる...
「お前らバッカじゃないの、神崎を殺す気?!!!」
俺の前に立ち、両手を広げる巫女少女
「神崎も神崎で『瞬身』の使いすぎで倒れるなんて、バカじゃないの!!...普通の人間なら、とっくに死んでるわ」
顔を赤くして涙を溜めながらいう...
「天...バカァ〜!!」
仰向けの俺に抱きつく芽衣...
「う、うらやましい...」
男共の声が聞こえる...
「それにしても頑張ったなァ〜、天くん」
抱きつく芽衣の後ろに亜希がいる
「『瞬身』というのは、なんなんだぁ〜....気になる、気になるぞ〜」
亜希の横でメモをとる相沢..
「神崎流の使い手ともあろうやつが、こんなざまかよ」
女子に囲まれている、遠野...
....俺は、気づくと目から涙を流していた...
俺をこんなに思ってくれる仲間がいる..
転校2日目...俺は大事な大事ななにかを、みんなからもらった...........
- 白神の剣 11 ( No.11 )
- 日時: 2010/09/06 17:15
- 名前: 皐月凪 (ID: VozPDcE.)
「俺は、みんなから、大切なものを貰った気がする...ありがとう...」
それから体の力が抜け落ち、楽になった...
みんなの悲鳴がかすかに聞こえる..
それから記憶がない...
俺が目を覚ましたのは、山城祭から65日、二ヶ月と三日が過ぎた頃だった...
そう病室にいた看護士さんが教えてくれた。
吐血による大量出血と異常な肉体疲労で生死をさまよっていたらしい。
一週間の検査入院を経て退院ということだったが、俺の回復速度が通常の人の10倍みたいで、2日で退院することができた。
そして俺は、自分の部屋にいる...
「俺、なにやってんだろ..」
布団に潜り込み色々考えてみることにした..
どれほど考えたのだろう...時計は午後10時を指していた...
そして、答えはでた......
「一人暮らしをしよう」
とりあえず、気持ちを新しくしたかった。
両親にもそう伝え、承諾を得た。
...だだし条件付きで..
その条件は霧島神社に住むこと...
「って、親父、それじゃ一人暮らしになんねぇじゃねえかよ!!」
「言っておくが、一人暮らしするってことは、自分のことは自分でするってことだ。 つまり親離れってことだ。」
「んなこた分かってる」
「分かってないじゃない、お金はどうすんのよ」
そういえば、金のことは考えてなかた
「適当に近くでバイトする」
「だから、バイトが見つかって安定するまで、霧島神社でお世話になりなさい」
「けど、なんで神社なんだ? 別に家でもいいだろ」
「普段めったに頼み事なんてしないあなたが、一人暮らししたいなんて言うんだもの、少しでも親元離れたほうがいいと思って...」
「ありがと、母さん...でも神社でなくても」
「ここら辺で、家賃ただで飯も食わせてくれて、風呂にも入れて、おまけに修行までできるって言ったら、神社しかねぇーだろ、そんで近くの神社っていったら、霧島神社しかないみたいだから、そこで世話になれ。」
その神社ってもしかして、あの巫女少女の神社か...
「わ、分かったよ...でも追い返されたら、おとなしく家に戻ってくるからな」
「とかなんとか言って、本当は寂しんだろ」
「んなわけねえだろ!!」
「はいはい、二人ともご飯にしますよ」
この日の夕食はいつもよりおいしかった.....
二ヶ月前のあの事件以来、おまえを山城学園を救った翌朝、今日は日曜日、学校は休みだ...
昨日のうちに荷物はまとめていた。
俺は、両親が寝ているうちに家を出た...
早速、地図を元に霧島神社を探した...
山の方に歩いて行くと、神社があった。
神社の周りは水田しかなく、町から少し離れた田舎みたいな雰囲気の場所にあった。
俺は、神社に続く軽く100段わあろうかという階段を一段一段登った。
やっぱ、前来た神社だ・・この階段の先には、巫女少女がいるはず...
いた!!相変わらず、赤い袴に身を包み境内を掃除している。
「おはよ」
「な、なんで神崎が...」
まるで死んでいるものを見るかのように、ぽかんと口を開けている..
「俺、昨日退院したんだ」
「あの状態でよく退院したな..正直驚いた」
「うん、医者は奇跡だって言ってた」
「それより、学校には顔出したのか?」
「まだだ、今日は休みだしな...」
「学校じゃ、イケメン転校生として崇められているぞ...密かにファンクラブまでできている...」
「そうなのか...学校、行きずらいな...」
「大丈夫だ、あたしがついてる」
「頼りねぇ〜」
「な、なに〜、あのとき刀渡してなかったら間違いなくやられていただろうが!!...折られたけど」
「あれは本当に感謝している...でもなんで刀渡してくれたんだ?...」
「そ、それはだなぁ、神崎がす、す......なんでもない!!....それより何しにきたんだ?」
「お願いしにきた...」
「なにをだ?」
「ここに住まわせてください!!」
「は、はぁ〜!!!!!!」
........というわけなんだ。
「つまり、バイトが見つかって、安定するまでここで暮らしたいと..」
「やっぱ、無理だよないきなりは...」
「あ、あたし的には全然OKだけど、父さんに聞いてみないとね...」
「会わせてくれないか...その前に巫女さんの名前聞いてなかったな」
「まったく、失礼もほどほどにしなさいよね、私は霧島雫...こっちよ」
「じゃあこれからは、雫って呼ぶね、俺も天でいいよ」
「な、うっさいわね」
顔を赤くする雫のあとをつけて、屋敷の奥の部屋の前にきた。
「父さんチョー厳しいから、気をつけてね」
「あ、ああ」
雫は戸をノックする...
「父さん、いい?」
「雫か、入れ」
雫が戸を開ける
「誰だ、おまえは!!」
「父さん!!わ、私の友達で、天って言うの」
見ると筋肉ムキムキでいかにも頑固そうな男が、座っていた。
「はじめまして、神崎天といいます。 突然すみません、今日はお願いがあって来ました。」
「神崎だと...お主、神崎流が使えるのか?」
「はい、一応、神崎流伝承者です。」
「な、なんと..ならばこのわしを倒したら、なんでも願いを叶えてやる」
「天、やめたほうがいい...父さんは、私なんかと比べものにならないくらい強い...ましてや、天、あんた病み上がりでしょ...」
「雫、もう、一戦交わしたのか?...」
「はい、天は、神崎流を巧みなまでに使いこなして、それはもう華麗な技を披露してくれました...正直あれほどの技をみたのは初めてです。」
「うむ、天、貴様と一戦交わしてやろう!」
「望むところです。」
「ちょっと父さん!!天は病み上がりなのよ!!」
「貴様、病気でもしたのか? ふん、自業自得だな」
「違うわよ!天は、人助けをしたのよ...その時に『瞬身』を限度以上に使って意識不明で二ヶ月も入院して、やっと目を覚ましたのよ...私、天がいなくて寂しかったんだから...」
雫は泣いてしまった...
「貴様、雫とそこまで関係を深めていたとは、許せん!!!!! 貴様の太刀を持っておもてへ出ろ!!」
俺は、愛刀『月凛』を持って雫に立ち寄る...
「寂しい想いさせてゴメン...」
「なに言ってんの、嘘に決まってるじゃない」
まったくどこまでツンデレなんだこいつは...
「雫に近寄るなぁー!!表へ出ろと言ったはずだぞ!!」
「はい!今行きます」
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