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【オリジナル短編集】赤い糸を結び直して【キャラ投票受付中】
日時: 2011/08/25 17:56
名前: peach ◆3Z7vqi3PBI (ID: fKZGY6mA)
参照: 赤い糸を結び直して、またキミとの関係をつなごうとする

クリックありがとうございます。
初めまして、の方が多いと思います。普段はリク・依頼受付板で活動しているpeachといいます。

ここには、過去に書いた短編を載せていきたいと思います。
コンセプトは、≪疑似体験できる≫、≪普通の恋≫です。
どうぞ主人公に自分を重ねて読んで行ってください。



「「感想・アドバイスなど大歓迎です!!
お待ちしています!!」」


ただ、荒らし・中傷はやめてください。

短編


**1** 「空が見える傘」>>01 >>02 >>03 >>04 >>05 >>06 >>07

**2** 「タイムリミットはあと少し!」>>08 >>09 >>10 >>11 >>12

**3** 「光の中で君と一緒に」>>13 >>14

**4** 「love×3」 >>15 >>16 >>17 >>18 >>19


中編

**「赤い糸を結び直して」** 

序章 >>22 キャラ紹介 >>23

*投票について*

今まで載せた短編の中から好きな話とキャラを、下の用紙に沿って書いてください。
一番投票が多かったキャラたちで、ひとつ短編を書きます。その後、みたいな感じで。

好きな話と、好きなキャラは、キャラがその話に出ていなくても大丈夫です。キャラは複数選択おkです。

‾‾‾‾‾‾‾‾‾

【自分の名前】

【好きな短編】

【好きなキャラ】

【理由(無くてもおk)】

【何かあれば】

‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾

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Re: 【オリジナル短編】赤い糸を結び直して ( No.1 )
日時: 2011/08/07 16:53
名前: peach ◆3Z7vqi3PBI (ID: fKZGY6mA)
参照: もう君には会いたくない、だってまた、好きになってしまう


「空が見える傘」

キャラ紹介

主人公

巴 佳織 (ともえかおり)

生徒会所属。バドミントン部。中学1年生。
ごく普通の女子生徒。少し気が強いところがあるので、一部の人には避けられていたりするけれど、基本良い人。
顔も可愛くモテるのに、誰とも付き合わないのは自分に合う人がいないかららしい。

相手役

佐々木 桂一 (ささきけいいち)

放送委員。バスケ部。中学1年生。
背が小さいにもかかわらず態度はでかいと有名。
俺様なのに、顔は優男でモテる。先輩後輩にもファンがいる、とか…?
成績優秀。一時期モデルの子と付き合っていたが今は誰とも付き合っていない。


世界観

ここは12月の真冬の東京。
中学校では、≪発展クラス≫と≪標準クラス≫に分かれて数学の授業を行っている。

Re: 【オリジナル短編】赤い糸を結び直して ( No.2 )
日時: 2011/08/07 16:56
名前: peach ◆3Z7vqi3PBI (ID: fKZGY6mA)
参照: キミにとって僕もそうでありたい


1「空が見える傘」

朝起きたら雨が降っていた。
雨は気温を下げるから、今の季節はすごくつらい。むしろ雪が降ってくれたほうが楽しいからいい。




「は? こんなのもわかんないとかお前一回小学校からやり直したほうがいいよ」
「しょうがないじゃん、わかんないんだから! それに解くの早すぎて困ってるくらいでしょ?
 教えたっていいじゃん」

いつもはうるさい教室も、今は雨が降る音だけが支配している。
時限は今数学で、配られたプリントに皆集中している。話しているのは私たちだけ。

プリントの問題を指差して大声でキツイことを言っているのは前の席に座る佐々木という男子。
言うのは癪なのだけれど実際数学だけよく出来る。確か運動も苦手じゃないはず。関係ないけど顔も良い造りである。
私は数学だけできない。本当に数学だけ苦手だ。
ただそれは英語とか数学以外の点数から見たもので、クラスの最低点には全然落ちていないけれど。
実際【基礎クラス】と【発展クラス】に分けられた数学の少人数のクラスでは【発展クラス】にいるのだから。
だけどこのクラスの中では————私は「出来ない方」に分けられてしまう。

「こんなプリント一分で解けるし。
 やっぱやばいよ、お前」

だから、自分がプリントを終えると途端に後ろを向いてくる佐々木に≪教えて≫と頼んだわけである。
今になっては少し後悔しているけれど、どうしてもあっちのほうが問題を解くのは早いので、どうせ後ろを向かれて悪口を言われるのなら教えてもらおうと思った。

「いや…
 てか分かんないのをそうやって言ったってしょうがないじゃん。
 分かりやすい解き方教えてよ」

「だからこれは、子供の数をXにすると解きにくいわけ。
 お前の式からして子供の数をXにしたみたいだけど———
 てか「〜をXとする」って書いてないしな、もうダメだな!」

「ああ・・・
 解けた! 答え一緒だよね?」

教え方もうまいし、数学はできる。顔もいい。
だけど私があまり佐々木に惹かれないのは、唯一性格が悪いからだろうか。


***


教室から階段を降りて下駄箱に向かう。
透明のドアから外を見ると、今日の朝と変わらずに雨はまだ空から落ち続けていた。
傘立ての代わりになっている青いゴミバケツから自分の傘を取り出そうとする。その時外に誰かが居るのが見えた。

「・・・佐々木?」

今日は朝から雨だったから、傘を持ってきていないはずはないのにどうしたんだろうか。
かばんを頭の上に乗せて真剣な顔をしていた。

「ああ、巴・・・」

私に気付いたようにこっちをチラッと見て、それからその目線は私の手の中にある青い傘に移る。

「その傘、俺のに似てね?
 てかお前取った?」
「は? いや取る以前の問題でしょ学年共通の傘立てに入ってたんだから」
「うん分かった、じゃあその傘には俺は入っていいことになるよな?」

にこりと笑って佐々木は手に持っていたかばんを背負い、私が開いていた傘の持ち手に強引に手を重ねた。
冬風で冷たい手が、佐々木の手の暖かさを更に感じさせる。

「俺が特別に持ってやるよ、傘」

いつものクラスにいる佐々木と口調は一緒なのに、自分に頼ってくる姿が今は珍しくて、少し嬉しかった。

Re: 【オリジナル短編】赤い糸を結び直して ( No.3 )
日時: 2011/08/07 17:04
名前: peach ◆3Z7vqi3PBI (ID: fKZGY6mA)
参照: だって無理だよ、君には僕が見えないんだから

2「空が見える傘」2/4

チュンチュンとすずめの鳴く声が耳に入ってきて目覚めた。
すずめが鳴いているということは今は雨は降っていないということだけれど、雨で思い出すのは昨日の学校からの帰り道のことで、少し顔がほころんでしまった。
いつも繰り返している朝ごはんの摂取と決まった服を身に着けて昨日と同じ時間に家を出る。

「今日は午後から雨が降るっていってるわよ?
 傘、持って行ったほうがいいんじゃない?」

玄関に続く廊下の向こうから間の抜けたお母さんの声が聞こえた。

お気に入りの水色の花柄の傘。
10秒くらい見つめて、傘立てから取り出す。


……何を見ても思い出すのは、昨日の帰り道のことばかり。


***


小学校の音楽室からブラスバンドの練習している音が聞こえ、学校に着く。
私のクラスの下駄箱にはすでに外履きが多く入っていた。
自分のスペースから上履きを取り出しそのかわりに今履いていた靴を入れる。そのとき何か靴以外のものが下駄箱に入っているのが分かった。

「……手紙?」

質素なただの白の封筒で、ハートのシールも何もついていない。
開いてみるが、それもただの真っ白の便箋だった。

「今日の放課後、旧館二階の女子トイレで待つ…?」

差出人も、何も記されていなかった。
だが女子トイレと言うからには、男子の呼び出しではないはずだ。
それに放課後の旧館のトイレというのは人気/ひとけが少ないし、怖い。

自分が何かしただろうか、
そう思ってみると、

「昨日のことしか頭に思い浮かばないな…」

佐々木はアレで、意外と人気のある男子なのだ。
同級生にも先輩にも、佐々木のことを好きな人は一人は居ると思うしファンがいて当然である。

行きたくないけれど、
たぶん行かなければ行かなかったで
すごく大変なことになると思った。

「しょうがないか…」

手紙を制服の内ポケットにしまい、教室に続く階段を上る。


***

教室にはやはり多くのクラスメイトがいて、少し安心する。
自分の席にかばんを置いてとりあえず座ると、隣のクラスから友達が来ていた。

「佳織いる?」
「うん、来てるよ」

ためらいも何もせずに友達はこっちのクラスに足を踏み入れて、私の隣の椅子にすわる。
その椅子猪俣のだけど…まあいいか。

「何か用でもあるの?」
「そうだよ! 佳織さ、昨日佐々木と一緒に帰ったっしょ?」
「え…まあ、うん。
 佐々木が傘無いって言ってて無理やり傘を半分奪われた」
「それ、ファンの子の一人が見てたらしくて、今大変なことになってるらしいよ。
 先輩が下駄箱で話してるのを偶然聞いちゃって…」
「あー…そう。
 やっぱりね」
「何も無いことを願うけど、一応気をつけなよ?」
「うん」

今日の朝手紙が入っていたことは言わなかった。
絶対にあの子は気にするから。止めるし、先輩に何か言うかもしれない。もしかしたら佐々木にも。
それだけは嫌だし、そうしたらあの子も先輩と敵対関係になってしまう。

怖くて授業も上の空だった。
数学の授業のとき、いつもは佐々木が後ろを向いてくるのに、今日は何も話さなかった。



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