コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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『花言葉』—気まぐれ短編集—【アジサイの花言葉更新!!】
日時: 2012/06/22 20:51
名前: 火矢 八重 ◆USIWdhRmqk (ID: kGzKtlhP)

えー、こんばんわ。火矢八重と申すものです。
全然完結してないものほっといて、また新たにつくっちまいました。——ですが、まあ暖かく見守ってください。

 注意事項 
・ライトはないけれど多分コメディ。シリアスも強いです。
・少しホラー(?)ファンタジーです。でもほっこりする話にさせてます。
・気まぐれなのでいつ終わるかはきまぐれです。
・荒らし、中傷、チェーンメール? 今すぐに退場してください。

 この小説は、花言葉を題材にして書く短編集です。こんな花の花言葉の小説が読みたいという方々は、コメントしてくださると嬉しいです!


お客様

・しょぼん様
・陽様
・柚香様
・ガリュ様
・猫飼あや様
・光様
・ヒトデナシ様
・陽菜様
・久方花様
・水月様
・白河夜舟様


目次(編ごとに読みたい方はコチラ>>47

参考文献>>1 各話で出て来た植物図鑑>>16 人物紹介>>20


アザレア 『禁酒』>>28

アジサイ 『移り気』『辛抱強い愛』>>79-81 new!

アンズ 『疑い』『乙女のはにかみ』>>69-73

イチゴ 『幸福な家庭』『貴方は私を喜ばせる』>>7-8

カタツバタ 『幸運は必ず来る』>>48-50

クローバー 『約束』『私を思い出して』>>2-4
   (四葉) 『幸運』『私を思い出して』>>45-46

シネラリア 『何時も快活』>>29-30

ストック
    (赤)『私を信じて』』>>17-19

スノードロップ 『希望』『恋の最初のまなざし』>>40-41

レンゲソウ 『私の苦しみを和らげる』>>13-15

ワスレナグサ 『私を忘れないで』>>54-56

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Re: 『花言葉』—気まぐれ短編集—【カタツバタの花言葉】コメ求む! ( No.52 )
日時: 2012/02/26 20:50
名前: 火矢 八重 ◆USIWdhRmqk (ID: kGzKtlhP)

久方さあああああああああああああああああん!!





 ま、まさかコメしてくださるなんてッ……!!
 滅茶苦茶嬉しくて何て言葉にすればッ………!!

 そ、そんなッ…私の文章力なんて、ホント大したことないですよ!!

 私は久方さんの小説が大大大好きです!!
 更新頑張ります!! 久方さんも、お体に気を付けながら頑張ってください!!

Re: 『花言葉』—気まぐれ短編集—【カタツバタの花言葉】コメ求む! ( No.53 )
日時: 2012/03/02 18:28
名前: 火矢 八重 ◆USIWdhRmqk (ID: kGzKtlhP)

ピアニッシモppさんの【小説のキャラに問い】をやってみました。







*はじめまして、桜と言います。貴方のお名前は?*

夕華 <夕華です>

雪乃 「雪乃です」


*読み仮名もよろしいですか?*

夕華 <『ゆうか』と読みます>

雪乃 「『ゆきの』と読みます」


*年齢と誕生日をよろしければ…*

夕華 <え……見た目は十歳ですけど、かなり長生きしてますよ? 軽く千年は。誕生日? 忘れちゃいましたw>

雪乃 「見た目は十六、七歳なんですけど……何百年かは生きてます。上と同じく、誕生日忘れてしまいましたwww」


*では本題です、貴方の出ている小説の題名は?*

夕華 <「『花言葉』—気まぐれ短編集」です。コメディ・ライトでただいま執筆中です>

雪乃「『六花は雪とともに』と、その外伝『かの後、人は新たに噺を紡ぐ—六花は雪とともに 外伝』に。どちらも複雑・ファジーで、完結致しました!」


*その小説の見所は?*

夕華 <うーん……花言葉ですかね? 短編集なんですけど、連動している話もあります。大体実話をアレンジしているのが多いです>

雪乃 「家族や友人、恋人の何気ない幸せ、その時間の大切さだと思います」


*貴方の特技は?*

夕華 <ふっふっふ……店に飾られてある花の名前、知識を全て覚えている事です!!>

雪乃 「凄!! 私は……うーん? 料理が出来る事?」


*好きな人はいますか?*

夕華<居る……というか、居ましたね。色々あって死別になってしまいましたが>

雪乃 「え!? わ、私は……その、居ます」


*ネタが無くなって来ました…趣味は何ですか?*

夕華 <音楽を聴く事ですかね。ボ●ロとか西●カ●とか>

雪乃 「何気にいまどきですね……私は……やっぱり料理かな?」


*フフ…あ、何でもないです。好きなタイプは?*

夕華 <その含み笑いとても気になるんですけど……そうですね、私の好きだった人は、不言不動、器が広い人でしたね。知識や知恵も凄かったし、武術も優秀でした>

雪乃 「え、えっと……心が広くて、その人の意志を尊重する人です。優しいんですけど、厳しさもあって。天然&マイペースなんですけど、医術の腕はかなりのものでした」


*ありがとうございました。何か一言どうぞ*

夕華 <よろしかったら、是非足を運んでください>

雪乃 「コメントやアドバイス、お待ちしております!!」

 ありがとうございました!

Re: 『花言葉』—気まぐれ短編集—【カタツバタの花言葉】コメ求む! ( No.54 )
日時: 2012/03/12 21:29
名前: 火矢 八重 ◆USIWdhRmqk (ID: kGzKtlhP)

ワスレナグサ

 笹原イチゴの家の近くには、溜め池がある。

 そこの隣は田んぼで、その溜め池から水を引いてあった。笹や葦が生えており、オタマジャクシやカエル、ヤゴ、タガメなどとにかく沢山の生き物が、そこを住処にしている。
 あまりにも沢山いたので、イチゴたちや、イチゴより少し大きい近所の子供たちも、良くそこで虫や魚を取っていた。——子供たちにとっては、小さな楽園なのである。



 もう一つ。イチゴは、もう一つの楽しみを持っていた。




「お姉ちゃ——————ん!!」

 イチゴは、元気な声で呼びかける。池の前に、イチゴよりもずっと年上の少女が立っていた。
 十五ぐらいだろうか。薄く白い服を纏っており、布から出た腕は、少し押せば折れそうなぐらいに細く白かった。
 肩に届くか届かないかぐらいの、少しパーマがかかった髪は、ゆらゆらと頼りなく揺れていた。
 目、口、鼻などは完璧な位置に付けられていて、まるで人形のようだ。特に瞳は、吸い込まれそうなぐらい蒼く、瞳にある光は、一瞬揺らめいたように視える。
 美しく、そして儚くて哀しく見える少女。

「あら、イチゴちゃん。久しぶり」

 ニッコリと、少女は微笑んだ。

「ねえねえお姉ちゃん、遊ぼう!!」
「ハイハイ、何して遊ぶ?」

 優しく、鈴を転がすような声。少女はイチゴの小さな手を握って、昆虫取りに付き合った。




 何となく、イチゴは少女が『人間』でないことに気付いていた。
 彼女の雰囲気や、体温が、そんな風に感じたのだ。
 けれど、イチゴは人間じゃなくても良かった。


 この時間がとっても楽しかったから。
 少女が、とっても優しかったから。

 ・・・・・・——しかし、永遠などないということを、齢四つにして、イチゴは知ってしまうのだった。




 ある日、母からもうあの溜め池では遊んではならないと言われた。
 何で、と聞くと、溜め池と、溜め池と通じて合った田んぼを、埋められて住宅地にするらしい。田んぼを所有していた方が亡くなって、後継者も居なくなり、売り地にすることになったのだ。

——だが、幼いイチゴにはそんな事情は判らない。唯一つ、判っていたことがあった。
 溜め池が無くなる。それは、もうあの少女にも逢えなくなるという事。
 溜め池はあの少女の命そのものだと、イチゴは直感していたのだ。

 イチゴは走った。母が言うには、明日から埋め立ての工事が始まるらしい。ということは、今日を逃せば、もう二度と少女には逢えなくなるのだ。
 大人だったら、苦にもならない距離だった。けれど、イチゴの細く小さい足では、かなりきつかっただろう。

 肩で息をしながら、イチゴは少女に明日、この池が無くなると伝えた。
 少女はイチゴの話を聞き終えるまで、無表情だった。——いや、何処か「やっぱり」という感じがあったかもしれない。
 イチゴの話を聞き終えた後、少女は静かにこう言った。

「・・・・・・そっか。もうそろそろとは想っていたのよねえ」

 ——その言葉は、判り切っていた様な言葉で。
 言った後、少女は微笑んだ。

「——イチゴちゃん、もう来ちゃだめよ。危ないから」

 その言葉に、イチゴは激しく首を横に振った。

「どうして!? どうして、お姉ちゃんがいなくならなきゃダメなの!?」

 イチゴの言葉に、少女は虚をつかれた顔をした。——どうして、察しられてしまったんだ、と。
 だがイチゴは、少女の様子など気にも留めず、堰が壊れて川の水があふれだしたかのように、泣きじゃくりながら言葉を募り続けた。

「どうしてッ・・・・・・大人のかってなつごうで、お姉ちゃんの命を、奪われなきゃいけないの!?」


 ——イチゴには、大人の都合というものは決して判らない。
 世の中には、似たようなことが沢山あって、そうしなきゃならない理由も沢山ある。
 それでも。妥協するということが、どれだけ悔しいだろうか。諦めるということが、どれだけ悔しいだろうか。
 大人になっていくと、諦めることの抵抗も少なくなっていく。しかし、純粋で真っ直ぐな心を持った幼いイチゴには、それは身体が引き裂かれる程辛いことだろう。

「イチゴちゃん・・・・・・ごめんね」

 小さな身体を抱き、背中を撫でながら少女は言う。

「でも、これは運命なんだよ。受け入れるしかない。——だから、判ってね・・・・・・」

Re: 『花言葉』—気まぐれ短編集—【カタツバタの花言葉】コメ求む! ( No.55 )
日時: 2012/03/12 21:30
名前: 火矢 八重 ◆USIWdhRmqk (ID: kGzKtlhP)

                        ◆

 一方、同時刻の『黄泉の花屋』では。

「そうですか・・・・・・あの池が、明日」

 夢想の報告に、夕華がポツリと呟いた。

「知り合いなのか?」

 外見はメンバーでは一番上のようで、実際はかなり若い月宮が聞く。夕華は、「貴方は知らなかったですね」と言って、続けた。

「江戸と明治の間の頃の友人でした。あそこの池には、蜻蛉の妖が居ましてね。私はヨウヒ、と呼んでいました。昔は霊感を持たない人間でも姿を映せるほど、妖力が高い妖でした」

 夕華とヨウヒは、良く一緒に近所の祭に出ていた。花火を見たり、屋台で食べ物を食べたり。
 ほとんど人間の友人と同じような存在だった。

「——・・・・・・やがて周りの自然が破壊されて、じょじょに妖力が減っていきましたがね」

 前まであれ程透き通っていた川は、やがてヘドロによって黒く汚されて。
 田んぼや畑は、農家が減ってきているのと同時に、だんだん住宅地にされていって。
 タガメ、トンボ、チョウ・・・・・・じょじょに減っていく虫たち。


 全て、人間のせいで消えていっている。


「知り合いだったら、何で助けてやらねえ!? お前の友人だろ!?」

 月宮が声を荒げる。それを制すように、老婆が言った。

「——およし、月宮。彼女の命はもう、残り僅かなんだ。夕華が友人を見捨てる冷血な性格だと思うか?」

 その言葉に、月宮は言葉をつぐんだ。

「——でも、月宮の言い分には一理あります。私が気付いたときには、既に手遅れだった・・・・・・。見捨てたのと一緒です」

 沈んだ声で、夕華が言った。その表情は、とても辛そうで。月宮はとっさに、ごめん、と謝罪した。
 いいんです、と、夕華はわざと明るい口調でいった。

「でも——————せめて、明日は立ち会わなきゃ」
「・・・・・・アンタ、あまり人の世で人に姿を見せちゃダメだろ」

 老婆が言う。それでも、と夕華は言った。
 沈黙が流れる。これは、肯定の意だ。
 夕華は薄く微笑み、店の奥から花と、道具を取り出した。

                            ◆

 イチゴはその日、初めて母のご飯を食べなかった。
 体調が悪くって、すぐにベッドに滑り込んだ。
 それでも、やはり少女——ヨウヒのことが気になって、眠れない。

 もう、あそこで昆虫を採れなくなる。
 もう、あそこで魚が採れなくなる。
 もう、——ヨウヒとは逢えなくなる。

「お姉ちゃんッ・・・・・・!」

 涙が溢れてきた。
 別れがこんなにも辛いなんて、初めて知った。——そして、イチゴはこれからもその辛さを知っていくのだ。

 どうしようもないことがある。
 抗っても結果が変わらないこともある。

 イチゴは、それを知っていかなければならない。それでも、その気持ちを誰が否定できるだろうか。愛しいと想えば想うほど、別れを嫌悪することを、誰が否定出来るだろうか。

 イチゴは布団にもぐりこんだ。——それでも、眠れない。

 明日、もう逢えない。明日になれば、工事に取り掛かってしまう。
 明日なんて来なきゃいいのに。

 そう思った時、イチゴの脳裏に電流が走ったように考えが浮かび上がった。
 バッ、と布団から飛び出し、母や父に気付かれないよう、こっそりと家を飛び出した。


 向う先は、勿論あの溜め池。
 しかし、家から離れた途端、イチゴの周りは暗闇で覆われていた。
 怖い。唐突に想う。
 それでも、イチゴは走った。行かずには行かなかった。
 後で母親にバレて叱られても、行かなきゃ後悔すると想ったから。




Re: 『花言葉』—気まぐれ短編集—【カタツバタの花言葉】コメ求む! ( No.56 )
日時: 2012/03/12 21:31
名前: 火矢 八重 ◆USIWdhRmqk (ID: kGzKtlhP)

「お姉ちゃん!」

 ハアハア、と息が霞む。
 ヨウヒは、溜め池の前で立っていた。電柱の光に照らされ、白い肌が透明に見える。
 ヨウヒはイチゴの姿を確認して、慌てて叱る。

「イチゴちゃん!? こんな時間に、来ちゃだめでしょ!!」
「でもッ・・・・・・お姉ちゃん、もういなくなっちゃうんだもん!! もう少し、もう少し、はなしたいんだもん!!」
「でも、危な・・・・・・」

 ヨウヒは、言うのを止めた。
 暗闇の向こうに、人の姿があった。——いや、実際は人ではないのだが。
 ヨウヒより、少し幼い少女の姿——夕華だった。

「夕華・・・・・・」
「ゆうか姉ちゃん!?」

 ヨウヒの反応に、イチゴも夕華の気配に気付く。

「お久しぶりです、ヨウヒ。イチゴちゃんも」
「どうして・・・・・・」
「友人に、別れを告げに来たわ」

 夕華の両手には、花束があった。紫色の花だ。

「これは・・・・・・」
「忘れな草。貴女、大好きだったでしょう?」

 はい、とヨウヒの両手に花束を渡す。

「・・・・・・もう、私のことなんて、忘れてるかと想った」
「失礼ですね」
「・・・・・・貴女、何時もつまらない花の知識を私に聞かせていたわね」
「今さっきのを越えて、更に失礼ですね」

 クスクス、と軽口を叩く夕華とヨウヒ。

「でも・・・・・・もう、聞けないんだね」

 寂しそうにヨウヒは言った。夕華は黙って微笑む。
 ヨウヒは、花束から一本、忘れな草を抜いて、イチゴの髪に飾った。

「・・・・・・ごめんね、イチゴちゃん。もう、逢えない」
「いや・・・・・・・だ! いやだ・・・・・・!」

 泣き出すイチゴの頭を、ヨウヒは優しく撫でた。

「ごめんね。でも、イチゴちゃんと一緒に居た時間は、とても楽しかったよ。とても、幸せだった。忘れない、忘れたくない想い出になった」

 その言葉に、イチゴは泣くのをやめ、顔を上げた。

「私、イチゴちゃんのこと、絶対に忘れないよ」
「ホント・・・・・・?」
「ホント。だからね?」

 撫でながら、ヨウヒは言った。





「私のこと、忘れないで?」





「わすれない・・・・・・わすれるもんか!」
「うん、ありがとう」

 ヨウヒの頬に、一つ透き通った雫が零れ落ちた。
 その雫がイチゴの頬に落ちた途端、イチゴは意識を手放した。




 朝、気が付くと、イチゴは自分の家のベッドで寝ていた。
 何時もどおりの朝で、あれは夢だったのだろうかと疑ったイチゴだが、鏡を見た途端、それは現実だったことに気付く。
 イチゴの左耳上には、あの忘れな草の花が添えられてあったからだ。



 池を訪ねると、もう工事が始まっていた。

 もう、あの池では遊べない。
 ヨウヒとも逢えない。

 それでも——もう、イチゴは悲しくなかった。


 イチゴはきっと、忘れはしないだろう。
 大切な、友人のことを。




ワスレナグサの花言葉 『私を忘れないで』


                        執筆日 2012年 3月12日


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