コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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僕があの日君に言えなかったこと
日時: 2012/12/01 07:24
名前: かずくん (ID: GYxyzZq9)

お互い想い合ってるのに、すれ違ったあの日。


君は、涙を流しながら、僕の前から去っていった。




僕が見た、最後の君。




伝えたい言葉は山ほどあった。


したいことも、行きたい場所も。




もう一度、少しだけでいい。


君に会いたい。


そんな僕の儚い願いは…、






「あっ…、すいません…、」






かなったみたいだ。

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Re: 僕があの日君に言えなかったこと ( No.15 )
日時: 2012/12/16 08:09
名前: かずくん (ID: GYxyzZq9)

**俊サイド**


「意外と早かったんだね、」

帰ってきた俺に、綾は一番にこういった。

まだメモに書いていた時間まで30分ある。

「ゆっくりしててもよかったのに」


俺は、マフラーとダッフルコートを脱いで、ハンガーにかける。

ダッフルコートのポケットの中身は知られないようにしながら。


「もうちょっとゆっくりして来ても良かったのに」


そう言う綾の真意は全くわからない。

さっきから一度も目を合わせてくれないし、
顔さえ下げたままでこっちを見ようともしない。

「いや、でもそんなの綾ちゃんに悪いじゃん。せっかく、イヴなんだから」

言いながらコタツに潜ってる綾の隣に入る。

綾の頭を撫でようと手を伸ばすと、自分の体から甘い匂いが漂ってきた。


—…あ、さっきの宝石店の匂い…。


でも、特に気にも止めず、綾の頭を撫でると、綾は驚いた顔をしてこっちを向いた。

そして、俺が今までに見たことないくらいに…悲しい顔をした。


「…綾?」


綾は、体を起こして俺の体に抱きついた。

俺の背中に回す腕には、いつもより力が入っていない。


「どう、した?…」

「私、俊が好きだよ。大好き。
 俊の性格も、顔も、体も、声も、……匂いも」

「そ、そっか…」


綾は、しばらく俺から離れなかった。

そして俺は、綾の鼻が赤くなっていることにすら、気付けなかった。

Re: 僕があの日君に言えなかったこと ( No.16 )
日時: 2012/12/19 16:47
名前: かずくん (ID: GYxyzZq9)

午後5時。

今私たちは、歩いて俊が勤めているレストランに向かっている。

今日の晩ごはんは、そこを貸し切って、俊が作ってくれるんだって。


…、もう、暗くならない。

晩ごはん食べ終わったら、俊に本当のことを教えてもらおう。

「俊は私以外の人が好きなの?」って。


それで「うん」って言われたら…、私……どうするんだろう。

泣くのかな?

怒るのかな?

「別れよう」って言うの?

…まだわかんないや。

でも、とにかくその時まで、私は何も考えないことにした。


そんなことを考えているうちに、レストランに着いた。

いかにも下町って感じの、馴染みやすい雰囲気がにじみ出ている店。

その木の扉を、俊が引いて、私に中に入るように促した。

レディーファーストだって。

なんだか嬉しいな…♪


「こんばんは、吾妻さん」

中に入ると、真っ先に店長の吾妻さんに挨拶する俊。

私も同時に挨拶した。


「おー、原口くん、待ってたよ〜」

私、吾妻さん結構好き。

歳は30歳で、私たちより結構上だけど、全然年齢の差が無いように接してくれるから。

このふにゃって笑う笑顔も、私も俊も大好きなんだ。


私がよそ見していると、吾妻さんは「んじゃっ☆」と奥さんと一緒に出かけていった。


お店の中には私と俊だけ。

聞こえるのは、壁に掛けてある時計の秒針が刻む音のみ。

チラッと俊の方を見ると、俊はずっと私を見ていたようで。

ばっちり目があった。

Re: 僕があの日君に言えなかったこと ( No.17 )
日時: 2012/12/19 17:11
名前: かずくん (ID: GYxyzZq9)

「な、なに…、よ…(笑)」

「なんでも?(笑)」

恥ずかしくなって目をそらす。


そんな私の腕を、俊は優しくとって、カウンターに座らせた。

キッチンが一番よく見える場所。

私にとっては、特等席だ。


「ちゃんと俺の華麗な包丁さばき、見てろよ?」

そう言ってキッチンに立つ俊。

ドヤ顔で着ていたダッフルコートを脱いでエプロンを着ようとするけど
腕が引っかかってなかなか着れないところを見ていると
無性にこの言葉が言いたくなった。




「大好き。」




すると、俊は「ンブッ」とか変な声を出して吹き出した。

みるみるうちに、顔、っていうか耳まで真っ赤にして。

いつも私にあんな恥ずかしいこと言ってくるくせに…。


「ごめんなさい坂下さん、全く会話が噛み合ってないです(笑)」

「原口くん、お顔もお耳も真っ赤ですよ?(笑)」

「それは坂下さんがいきなりあんな事言うから…」

「何度でも言うよ??」


真剣な声色で言うと、俊はさらに赤くなった。




「俊が、大好き」




本当に、俊が私は大好きなんだよ—…。


俊は、はぁっと小さいため息をついた。

平静を装うとしているのが、見え見えだよ?(笑)


そして、カウンターに身を乗り出して、私のおでこに優しく口付けた。


「続きはまた後でね」


…やっぱり私、俊には勝てないや。

Re: 僕があの日君に言えなかったこと ( No.18 )
日時: 2012/12/20 11:59
名前: かずくん (ID: GYxyzZq9)

**俊サイド**


淡々と料理を作る…フリをする俺。

本当は内心めっちゃドキドキしてる。

だって…。


「あの、坂下さん、」

「ん?」


「近い、です(笑)」


顔を上げれば、すぐそこに迫っていた綾の顔。

「華麗な包丁さばきを見ているんですけど?」

「いや、見てろって言ったけどさ…」

「なんかダメなことでもあるんですかー?」


そう言われても…。

「緊張するからあんま見ないで」

しか言えないです。


すると、綾は「どっちなのー??」と言って、おとなしくイスに座り直した。

それでも、やっぱり頬杖を付きながらこっちを見てくる。


……可愛いな、なんてデレていたら、いつの間にかフライパン上の食材を焦がしていた。




「なんか、黒くない?」

「ごめん、焦げちゃった(笑)」


出来た料理をカウンターテーブルに並べ、綾の右隣に自分も座る。

今日のメニューは、綾の大好きなハンバーグ、それにコーンスープとサラダ。

「それでも、…俊って本当上手だよね」

「ん?そう…かな?」


クリスマスイヴなのにしょぼくてごめんね、って言ったら、綾は

「俊の作るものは全部ご馳走だよ」

だって。


なら、俺だって言えるよ。


「…あー、やっぱ今日はご馳走だな!」


「えー?何自分で言ってんの(笑)」




「綾と食べるものは全部ご馳走だ!」




馬鹿じゃないの?!なんて照れ隠しで言う、左隣の君。

この時間が…ずっと続きますように……。



















  

Re: 僕があの日君に言えなかったこと ( No.19 )
日時: 2012/12/21 11:38
名前: かずくん (ID: GYxyzZq9)

いきなりですいません><


事情があって、違うサイトで書く事になりました


コメント下さった方、ありがとうございました!


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