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異能少女の日常
日時: 2013/10/16 22:09
名前: 南 (ID: p6e1/yUG)

登場人物

如月 きさらぎ・べに
主人公。中学2年生。
明るくマイペースな問題児的少女。
発火の能力を持つ。


弥生 みどり(やよい・みどり)
紅と葵の幼馴染み。中学2年生。
常識人かつツッコミ役の少女。
植物を成長させる能力を持つ。


神無月 かんなづき・あおい
紅とみどりの幼馴染み。中学2年生。
内気でおっとりとした少年。
水を操る能力を持つ。


小説は初めてですが、よろしくお願いします!

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Re: 異能少女の日常 ( No.15 )
日時: 2013/10/20 11:48
名前: 南 (ID: p6e1/yUG)

〜一方、取り残された男子達〜
「ああ...自転車持っていかれた...」
「仕方ない、“紅い旋風・ベニ”さんに持っていかれたのが運のつきだったな」
「なんだその異名は」
と、二人が途方に暮れているところに、金髪の少年が歩いてきた。
「おいお前ら、早くしねえと授業に遅れるぞ?」

(そんな格好のやつに授業とか言われてもなあ...)

 自転車を持っていかれた男子、通称『男子A』は思わず口に出しそうになった言葉を飲み込んだ。
何しろそいつは不良の王道『金髪ピアス』で学ランは全開で下には“漢”と大きく書かれたTシャツ。
口には葉っぱをくわえていて、最早不良というより番長である。
「実はですね、『紅い旋風』に自転車を取られちゃいまして...』
「そうか。分かった、俺が取り返して来てやる」
(あれ?)
とんとん拍子に進んでいく話に、男子Aは一人取り残されていった。
「じゃあ、お願いします。...良かったな!『風の戦士・三郎』さんに任せておけばもう大丈夫だ!」
「...この学校、大丈夫か?」
男子Aは、呆然と金髪の少年を見送った。

Re: 異能少女の日常 ( No.16 )
日時: 2013/10/20 22:42
名前: 南 (ID: p6e1/yUG)

〜再び、紅達サイド〜
「...えーっと、みどり?」
 紅の目の前に立つみどりは、凄まじい怒りのオーラを放っていた。
「いやその、自転車を倒した原因はみどりと葵にあると「は?」ごめんなさいっ!!」
周りのことはあまり気にしないタイプの紅も、今日ばかりは生存本能がはたらいた。
精一杯の誠意をこめた土下座を見せると、みどりはため息をついた。
「全く、ちょうどトラックが通らなかったらどうなっていたことか...」
 あの後、たまたま通りかかったトラックが運良く給食のものだった為、事故を伝えることができ、無事任務完了。
そして現在、みどりの説教を受けているわけだ。
「ねえ。もう反省したからさ、そろそろ戻ろうよ」
「本当に反省したんでしょうね?
...まあいいわ。これ以上サボるのはまずいしね」
「...ねぇ、何か来てるよ...」
 葵は周りをゆっくりと見渡した。
紅達が向かってきた方角から、ドドドド...とばかりに何かが走ってくるのが見える。
そいつは金髪ピアスの派手な格好をしているにも関わらず、番長のような風格の持ち主で...。
「ちょっと、こっちに向かってきてない!?」
「よく分からないけど逃げるわよっ!!」
三人が走り出すもののすでに遅く、不良少年は「自転車返せェェェ!」と叫びながら突進してくる。

...この日、紅達は初めて人との交通事故を経験した。

Re: 異能少女の日常 ( No.17 )
日時: 2013/10/29 17:07
名前: 南 (ID: p6e1/yUG)

「いいか、人の物を取ったら泥棒。
 ...分かるな?」
「それは分かったけど、あんた誰?」
歩道の真ん中、金髪番長に説教されている中学生三人。
一見すれば、ただのカツアゲである。
「俺か?俺は2年の霜月キラだ!」
「...あれ、いたっけこんな奴?」
紅達が入学してもう一年になるが、キラなどという名前は聞いたことが無い。
「ああ、俺は本当は3年だからな」
「そっか、留年しちゃったんだ」
「待って、中学で留年ってどういうこと!?」
「人を助けたり、動物を助けたりで授業受けてる暇が無いからなー」
キラは呑気に呟いたが、みどりはその言葉に冷や汗をかいた。
(紅もあまり授業は受けていないんだけど...!)
紅も似たような理由で授業を受けないことが多い。留年という可能性が出てきた今、彼女は猛烈に焦り出した。
だが、あくまで紅はマイペースだった。
「じゃあ、手伝おうか?人助け」
「え、いいのか?たすかるぜ!」
(え、えええええええっ!?)
...紅の留年は、結構間近に迫っているようだった。

Re: 異能少女の日常 ( No.18 )
日時: 2013/10/29 18:03
名前: 南 (ID: p6e1/yUG)

キラは学ランのポケットから、一枚の紙を取り出した。
「こいつら、最近この辺で強盗を繰り返してるらしい。俺の知り合いのいるコンビニもやられちまってさ」
「でも、中学生では危ないとおもうわよ」
みどりは眉間にしわを寄せた。
留年云々もあるが、強盗犯を捕まえるのは、流石に危険すぎる。
「まあ聞けって。
 ...だけどこいつら、少し変なんだ」
「変?」
紅は紙をじっと見つめた。
無精髭の生えた、ヒョロ長のおっさんと、冴えない感じの小太りのおっさんが半目で写っている。
「変って、どこが?」
「なんでも、あっという間にどこかに消えてしまうらしい」
「...空に逃げた、とか」
葵はぼそりと呟いた。
人見知りのせいか、キラを未だに警戒している。
「うーん...?」
「そもそも、突き止めたところでどうやって捕まえるのよ?万が一のこともあるし」
「そのことなんだが、...ここじゃマズイな。ちょっとこっちにこい」
「え?」
三人は首をかしげつつ、キラの後についていった。

Re: 異能少女の日常 ( No.19 )
日時: 2013/10/29 21:01
名前: 南 (ID: p6e1/yUG)

「まあ、ここならいいか」
そこは、誰も来ないような路地裏だった。
(いよいよカツアゲっぽくなってきたなー...)
紅はこっそりとそう考えたが、口には出さない。
今はそれどころではないのだ。
「信じねえかもしれねえが、よく見てろよ」
キラはそう前置きすると、地面に向かって右手をのばす。
じっとその手を見つめながら念じる。すると、
バチバチィッッ!
と、閃光が走った。文字通り、手から稲妻を出したのである。
「え...」
「驚いただろ?まあ、信じなくてもいいが...って、どうした?」
キラは三人の方を見て首をかしげた。
(ど、どうするのよ!こんな偶然ある!?)
(...能力者とは、おもわなかった...!)(私達以外にいるとは思ってなかったもん!)
小声で相談すること数分、振り返った紅はひきつった笑顔で口を開いた。
「お前らいくらなんでも驚きすぎじゃねえか?」
「いや、その...。私達もちょっと言わなきゃいけないことが...」
紅はすっ、と指をのばした。

...数秒後、路地裏いっぱいに少年の叫び声が響きわたった。


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