コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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放課後友人倶楽部
日時: 2014/03/13 01:02
名前: バーミンガム・プディング (ID: r40/B5y7)

これは以前、他の小説投稿サイトで
別の名前で執筆して、未完になっていた作品です。

今回、こちらで完結させようと思い
投稿させていただきます。

まだまだ未熟者ですが、よろしくお願いいたします。

感想、批判、挿絵、リクエスト、何でもお待ちしております。

(この作品にはパロディネタやメタネタが含まれています。)

※筆者はウィキペディアを利用しています。
利用者名はバーミンガム・プディングです。

放課後1時間目 唯一の友達 >>01 >>02 >>03

放課後2時間目 新たな友人達 >>04 >>05 >>06
               >>07

放課後3時間目 パベルの仮面  >>08 >>09 >>10
                >>11

放課後4時間目 フレンチ・ハッスル >>12 >>13 >>14 >>15

放課後5時間目 エレクトロニック・ロジャー  >>16 >>17 >>18 >>19 >>20

放課後6時間目 Sweden Area >>21 >>22

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Re: 放課後1時間目01 唯一の友達 ( No.1 )
日時: 2014/03/01 02:29
名前: バーミンガム・プディング (ID: r40/B5y7)

1969年、日本の関東地方のとある都市部に
アミティエ大学という大きな大学があった。
アミティエというのは、フランス語で友情という意味だ。

この大学には工業部、医学部、服飾部、芸術部、調理部、
国際部、法学部の六つの学部が存在しており、
東洋一の大きさを誇る大学だった。

「おい、起きろ」
工業部の二年生の教室で教鞭を振るっている中年の男が
一番前の席で眠っていた生徒の頭を教科書で叩く。
「うぅ……」
生徒がゆっくりと目を覚ます。
「お目覚めか? お坊っちゃん」
工業部の教授である笹本昌弘、40歳(CV:藤原啓治さん)が
生徒の顔を覗き込む。
「ふぇぇ、おっさん酒くせーよ……」
この学校の工業部二年生の長谷部壮吉、20歳(CV:内山昂輝さん)が寝ぼけた声で呟く。
「なーにがふぇぇ、だよ
お前もういい年だろ
それにおっさんって呼ぶんじゃねぇ」
昌弘が銀色のウイスキーボトルを呷りながら
会話を続ける。

発明家という大きな夢を抱いている壮吉は
ここでものづくりの勉強をしているのだった。
しかし、肝心の担任である昌弘は
授業中に酒を飲み、ギャンブルのことばかり考え、
おまけにスケベ親父というどうしようもない男だった。

「よーし壮吉、お前あの問題解いてみろ」
昌弘が黒板を指差す。
黒板には、「電球を発明した人物」と書かれてあった。
「えーっと」
壮吉が答えられずにいると、昌弘が突然口の中のウイスキーで
壮吉の顔に毒霧を噴射した。
「ぐわーっ、目が痛いよぉ」
壮吉が顔を抑えて悶え苦しむ。
「何しに来てんだおめーは」
呆れながら昌弘が呟く。
実は壮吉はあまり頭がよくなかった。

すると、終礼のチャイムが教室に鳴り響く。
「仕方ねぇ、今日はここまでだ
全員、気をつけて帰れよ」
昌弘が生徒たちに手を振る。

壮吉が大学内の廊下を一人で急ぎ足で歩く。
周りの生徒達は皆友人や恋人達と
歩いている。
「ケッ、何がアミティエだよ……」
そんなことを呟きながら、壮吉は歩く。
実は壮吉は仲のいい友達がいなかったのだ。
いいや、そんなことは無かったのだ。

大学の外に出て壮吉は
裏にある駐車場まで急ぎ足で歩いていた。
駐車場には、アストンマーチン・DBS(イギリスの高級スポーツカー)が停まっていた。
壮吉が車の助手席のドアを開ける。
「遅かったじゃないか」
運転席の男が壮吉に話しかける。
「ごめん、ポテトチップ買ってた
相変わらず購買は混んでやがる」
壮吉が説明しながら車に乗り込んだ。

Re: 放課後1時間目01 唯一の友達 ( No.2 )
日時: 2014/03/04 00:11
名前: バーミンガム・プディング (ID: r40/B5y7)

アストンマーチンのステアリングを握っているのは
壮吉の唯一の友人である医学部二年生の
生沢幸雄、20歳(CV:神谷浩史さん)だ。
「車の中でお菓子食うなよ、
誰が掃除すると思ってんだ?」
ステアリングを握りながら幸雄が
助手席の壮吉に注意する。
「あっ、わりぃ」
壮吉がポテトチップをカバンにしまう。

壮吉と幸雄が知り合ったのは高校のときからだった。
友達がいなかった壮吉は地元の大病院のボンボンで
女にモテる幸雄がうらやましかったのだ。
女の友達が多かった幸雄だが、男友達は全くいなかった。
嫉妬からか、幸雄は他の男子のクラスメートからは
靴を隠されたり、体操服を汚されたりと
嫌がらせを受けていたのだが、壮吉だけは
嫌がらせには加担していなかった。

そしてある日、壮吉は幸雄から
「男同士の友情を育みたい」という
お友達申請を受け、今に至っている。

「それで、お前って今部活とかやってるのか?」
突然、幸雄が話しかけた。
「いいや、何もしていないよ」
壮吉が答えると、幸雄が提案を仕掛けてきた。
「じゃあさ、オレが部長をしている部活に入らないか?
歓迎するぜ」
「あれっ、お前って部活してたっけ?」
「最近作ったんだよ、その名も放課後友人倶楽部」
「何だそれ?」
聞いたことも無い部活名に壮吉は疑問の表情を見せる。
「プレイボーイとプレイガールしか入ることの許されない
高貴な倶楽部さ
フレンチ仕様のハレンチ・パーティーなんてことは
しないけどな」
幸雄が自慢げに答える。
「ハレンチ・パーティだと?
入部してみたいけどさ……」
壮吉が悲しそうに呟く。
「入部料金、お高いんでしょう?」
「なんだ、金の心配なんてしてんのか?」
幸雄が笑う。
「入部料金なんてかからないぜ、
オレが全部負担してやる、友達だからな」
「そうか……」

大学から五分ほど車を走らせ、アストンマーチンは
一軒の店の前に停まった。
「じゃあ、入部のことは考えておけよ
待ってるからな」
「あぁ、じゃあまた明日」
壮吉が車から降りる。
「じゃあな」
そう言って幸雄は車を走らせていった。
「放課後友人倶楽部か……」
壮吉が走り去る車を見つめながら
呟いた。

壮吉の近くにある店の名前は
「ワルシャワ」という三階建ての店だった。
昼はお食事処として営業しており、
アミティエ大学の学生達が昼食を食べるのに
いつも賑わう店だった。

Re: 放課後友人倶楽部 ( No.3 )
日時: 2014/03/05 00:33
名前: バーミンガム・プディング (ID: r40/B5y7)

ワルシャワの引き戸を開いて、壮吉が
店の中に入っていった。
「おかえり」
店の厨房で一人で店を経営する
砂子誠一、38歳(CV:小山力也さん)が
壮吉を出迎える。
「ただいま」

ワルシャワは三階建てになっており、一階が店舗、
二階が誠一の自宅、三階は貸し部屋になっていたのを
壮吉が借りて住んでいるのだった。

ワルシャワは夜はお食事処ではなく居酒屋として経営されている。
「あいよ、枝豆お待ち」
誠一がお客に枝豆を差し出す横で壮吉は
皿洗いをしていた。
壮吉はたまにこの店で店の手伝いをする代わりに、
食事を提供させてもらったり、家賃を安くしてもらっている。
「あの、おやっさん……」
壮吉が焼き鳥を焼く誠一に話しかける。
「なんだ、またオレのノーヒットノーランの話が
聞きたいのか?」
「いいや、違うんですけど……」

実は誠一は五年前までプロ野球選手だった。
パ・リーグに所属している東京タイタンズで
ピッチャーとして活躍しており、
1959年にはノーヒットノーランを、
1960年には完全試合を達成させている。
その後、1964年に肩を故障して引退、
ここで居酒屋を経営しているのだった。
店にはいたるところに現役時代の勇姿や
受賞した賞が飾られている。

「実はオレ、今新しい部活に入りたいと思っていて……」
壮吉が神妙そうに呟く。
「でもオレって人見知りとかするし……
大丈夫だと思いますか?」
「なんだよ、そんなことで心配してたのか?
男らしくねぇな、そんなの大丈夫だって」
誠一はぽんと壮吉の肩を叩いた。
「オレは人生なんて全てうまくいくなんて思ったことはないんだ、
人生にはいろんな苦労や困難が立ちふさがる、
でも仲間がいてくれりゃそんなの屁でもないさ」
「そうですよね」
壮吉は少しほっとした表情を見せた。

翌朝、ワルシャワの前で壮吉が立っていると、
脇にランボルギーニ・ミウラ(イタリア製の超高級
スーパーカー)が停まり、ドアが開く。
運転席にいるのは幸雄だった。

「なぁ、オレとの友情をお前はこれからも
続けてくれるよな?」
壮吉が幸雄に話しかけた。
「お前はかつてオレに友情を育みたいって
話しかけたよな、今度はオレが
お前に頼む番だ」
「頼むって、何のことだ」
「放課後友人倶楽部に入れさせてくれないか?」
壮吉が頭を下げた。
「その頭を上げな」
幸雄が言い放つ。
「入部届けは大学の受付からもらってくれ、
部室は北校舎の三階だ、遅れるなよ」
「本当か、ありがとう」
こうして、壮吉は入部を認められてもらった。


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