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学校帰りの勇者  【プレイヤーキャラ募集中】
日時: 2014/12/14 10:05
名前: 南 (ID: vl1Udskn)

こんにちは!
受験が終わって、ようやくネットが解禁されました。
…で、本来なら前の小説をかきあげるところなんですが、なんと
前の話を完っ全に忘れてしまいまして…。
とりあえず、新しい話を書きつつ、思い出したら前のをかこうと思います。
今回は、RPGの世界に中学生が迷い込むお話です。
週1くらいのペースで更新していこうと思うのでよろしくお願いします!


2014年、12月14日追記
ゲームに参加しているプレイヤーキャラの募集を開始しました!
詳しくはNo.23をご覧ください。

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Re: 学校帰りの勇者 ( No.5 )
日時: 2014/06/15 14:10
名前: 南 (ID: RsXPPDHr)

 俺のキャラクターを作り始めて数分。
「えーっと、ビジュアルはこれでいいんだよな」
「あとはプロフィールの設定だね」
 真昼は俺からコントローラを奪い、項目を(勝手に)記入し始めた。
「名前、年齢、それから性別はに特に問題ないんだよ。
 肝心なのは職業。星也、どれがいい?」
「いきなり言われてもな・・・」
 ゲームを始めたばかりだからか、ほとんどの項目は選択ができない。
とはいえ、それでもかなりの量の選択肢がある。
 真昼のような剣士の他、魔法使いだったり、賢者だったりと様々だ。
 姫は、俺が悩んでいる横で目を輝かせていた。
「まあ、いろんな職業があるんですね。
 弓を使ったり、術で回復したり・・・
 あっ、サラリーマンもありますよ」
「ああそうだな、結構いろんなものが・・・サラリーマン?」
 一度思考を止め、画面に視線を移す。
・・・ありやがった。
「おかしいだろ!?なんで魔王の脅威に怯える王国で通勤してるやつがいるんだ!?」
「うーん、戦うんじゃない?
 必殺、書類アタック!!みたいな」
「戦闘能力低っ!!大丈夫かこのゲーム!?」
 今更ながら不安を覚えつつ、最終的に『双剣使い』を選択。
「あれ、てっきり回復系を選ぶと思ってた」
「ああ、俺もそれが妥当だと思っていたよ。姫の為にもな。
 でも、回復系って大抵弱いだろ?」
 こいつ、つまり真昼は姫に優しく、俺に薄情な女だ。
たとえ俺が死にかけでも、助けてくれるとは限らない。
 だったら、己の身を守るくらいの力がある職業を選ぶべきだろう。
「それに、姫が戦闘向きだとは思えねえ。
 なら、魔法や回復に専念しながら真昼や俺に守ってもらうのが一番だろう」
 真昼は俺の話を聞きながらニヤニヤと笑っている。
「なんだかんだ言いながらも、結構考えてるね、星也」
「・・・余計なダメージは負いたくないからな」
 俺は遠い目をしながら言った。
その脳裏では、数々の苦い思い出が走馬灯のように流れていたのだった。

Re: 学校帰りの勇者 ( No.6 )
日時: 2014/03/25 10:14
名前: 南 (ID: RsXPPDHr)

 俺が設定を終わらせた後、真昼が姫の代わりにキャラクターを作った。
俺と姫のキャラクターはこんな感じだ。

名前:セイヤ    年齢:14歳
性別:男      職業:双剣使い


名前:ヒメ     年齢:14歳
性別:女      職業:魔法使い


 全員の設定が終わると画面が切り替わり、洋風の街が現れる。
街には鎧の男やドレスを身にまとった女性であふれている。
 真昼はキャラを歩かせながら説明を始めた。
「このゲーム、オンラインなんだよ」
「おんらいん…ですか?」
「そう。だからほら、いろんなプレイヤーがいるでしょ?」
 確かに、行きかう人の中にはHPやMPが表示されている人もいる。
「協力したり、対戦したり、コミュニケーションをとったり…。
 すごく自由なゲームなんだってっ」
「へえ、ってなにしてんだ、姫」
「あ、あの…どうしたら前に進むのかわからなくて…」
 姫はコントローラを前に右往左往していた。
「左側に十字型のキーがあるだろ?そう、それで…」
「あ、動けました!」
 姫に動作を教えながらゆっくりと王城へ向かう。
 本来なら、ゲーム未経験の姫は見学に徹するべきなのだろうが、こいつ自身がやりたいと言っているのなら仕方ない。
 俺も相当姫には甘いのだ。真昼には冷たいが。
「っと、着いたか」
「ここが王城だね。よしっ、早速中に入ろう!」
 重い音を立ててひらく大きな扉。
 真昼は俺と姫を連れて、中へと移動した。

Re: 学校帰りの勇者 ( No.7 )
日時: 2014/06/15 11:51
名前: 南 (ID: RsXPPDHr)

 城の中に入ると、豪華絢爛な装飾が施された廊下を進んでいく。
そのつきあたりに、格式高い広間と落ち着いた風貌の王様らしき人が見えた。
「あそこに行くのですか?」
「それっぽいね。いこっ、二人とも」
 真昼を追って広間に入ると、自動的にイベントがはじまった。
話によると、北の大地をのっとった魔王が、この国の支配をたくらんでいるらしい。
それを防ぐために俺達に旅に出てほしいという、RPGにありがちな展開だった。
『……さて、君たちにひとつ頼みがある』
 きた、おなじみのセリフだ。
ここで旅に出るのかどうかを聞かれ、『はい』を選択する。
こういったゲームになくてはならない選択肢だ。
とはいえ、今回はリーダーである真昼が答えることになっているため、俺と姫は見ているだけだが。
『魔王を倒すため、旅に出てくれないか?』
 王様のセリフの後に、『はい』と『いいえ』の選択肢が出現する。
真昼は、迷うことなく『いいえ』を選択した。

 ……『いいえ』?

『そうか……』
 王様が少し、悲しそうな顔をした。
「ちょっと待て!なんで断った!?」
「え、なんか王様の反応が見たくって……」
「お前最低だな!いいから早く『はい』を押せ!
 王様がかわいそうすぎて見てられねえ!」
 真昼からコントローラをひったくり、『はい』と答える。
すると今度は、事務的なウインドウが表示された。

 『こちらの世界で旅をしますか?』

「はいはい、今度はちゃんと『はい』を選びますよーっ」
 真昼はすねた顔で、ボタンを押した。
……そのとき、王様がニヤリと笑ったような気がした。
「おい待て!なんかこの選択肢おかし、」
 俺がいう前に、白い光が部屋中を包む。
そして、何も分からなくなった。

Re: 学校帰りの勇者 ( No.8 )
日時: 2014/06/15 15:30
名前: 南 (ID: RsXPPDHr)

 ——目が覚めると、そこは見知らぬ街だった。
「ど、どこだここ……ってなんだ、この服!?」
 俺が着ていたのは、十字架の刺繍がはいった黒っぽい衣装。
紛れもなく、さっきまで動かしていたキャラの装備だ。
 茫然としていると、すぐ横に倒れていた姫も意識を取り戻した。
「ん……、あ、あれ?ここはどこでしょう?」
 姫は慌てて立ち上がって、そして自分の服装にまた驚いていた。
確かに、俺も心底ビックリしている。しかしそれ以上に、
「もう食べられない……むにゃむにゃ」
「一向に起きないお前にびっくりだ!メンタル強すぎだろ!?」
 街のド真ん中で爆睡するバカを殴って起こすと、そいつは飛び起きるなり、
「参照60突破ありがとう!!」
 意味の分からない言葉を叫んでいた。
「い、いきなりどうしたんですか?」
「ああ、作者曰く、『スレタイで叫びたいけど100突破とか1000突破とか言ってる中で60は恥ずかしいからお前叫べ』とのこと」
「そいつが頭おかしいのは分かったから本題にもどるぞ」
 俺は改めて状況を整理してみる。
……まあ、考えるまでもないのだが。
「ここがゲームの世界か。なんか本物みたいだな」
「そうですね。でも、コントローラもないのにどうやって戦うのでしょう?」
 姫は体のあちこちを触って調べている。
初期装備のためか、俺達三人は服と武器と、それからボロい鞄しかない。
 その鞄の中には、なにやらタブレットらしき端末と、薬草と金貨が入っていた。
「なにこれ?……おお、メニュー画面だ」
 真昼が端末をいじくっている。
どうやらそれでメニュー画面が見れるらしい。
「あれ、なにこれ?新着メール一件って?」
「新着メール?ああ、『ようこそ、この世界へ!』ってヤツか」
 そのメールを開くと、派手なデザインの手紙がとびだした。

 『このたびは、本ゲームをプレイして頂き、誠にありがとうございます!
  さて、このゲームですが、一度セーブをしなければ、ここから出られないことになっております。
  また、ときどき痛かったり怖かったりしますが、仕様です。
  それでは、心行くまでゲームをお楽しみください!!』

 言葉も出ない俺を残して、メールは消滅した。
 理解が追い付いていないのか、姫は小さく首をかしげている。
 意味が分かっているはずの真昼は、期待に目を輝かせている。
 そして、俺は……
「ふ、ふざけんなあああああっっっっ!!!!」
 ……街中に響き渡る声で、どこかにいるであろうゲームの製作者に怒りをぶちまけるのだった。

Re: 学校帰りの勇者 ( No.9 )
日時: 2014/06/17 00:47
名前: 南 (ID: RsXPPDHr)

 叫んでもどうにもならないと悟った俺は、とりあえずこの先について考えることにした。
「そもそも、セーブってどうすれば出来るんだ?」
 真昼はしばらく端末を調べていたが、何かを見つけたらしい。
笑顔で俺に端末の画面を見せてきた。
「見てこれ、チュートリアルだって!」
 どうやらこの頭のおかしいゲームにも、説明書というものは存在するようだ。
「えーっと、セーブは『教会』で神父さんがやってくれるんだって。
 ・・・・・・あ、でも教会はこの街には無いみたいだね」
 俺はため息をついた。
つくづく理不尽なゲームだ。
「あ、あの・・・・・・?セーブとは何でしょう?」
 さっきから話に着いてきていないとは思っていたが、姫はセーブすら知らなかったらしい。
(でも、余計なことを教えて怯えさせるのもどうかと思うよ?)
(そうだな、とりあえず黙っておくか)
 俺と真昼は小さく頷いた。
「いや、なんでもねえ。
 とりあえず近場の街まで移動してみようかと話してたんだ」
「そうなのですか。楽しみですっ」
 簡単にごまかすことができてホッとした反面、少し不安にもなる。
こいつ、将来詐欺にひっかかるんじゃねーか・・・・・・?
「あっ、でも星也のお母様、心配してるのではないでしょうか・・・・・・?」
 言われてみれば、何も言わずに三人が突然消えてしまえば、母さんも驚くだろうか。
もし警察沙汰にでもなったら、と考えていると、端末から聞きなれた声がした。
『星也、真昼ちゃん、姫ちゃん。
 ・・・・・・おかしいわね、どこに行ったのかしら?』
 端末からは画面の外も見られるのか。便利だな、とか言ってる場合じゃねえっ!
『三人共、どうしたのかしら。まさか・・・・・・』
母さん、頼むから大事にしないでくれ!
 と、画面の向こうから俺が祈っていると、何故か母さんは頬を赤くした。
『イヤだわ、星也ったら・・・・・・駆け落ちだなんて!』
 ・・・・・・は?
『真昼ちゃんと姫ちゃんを連れて消えるなんて、あの子も隅におけないわね〜』
 待て、予想の斜め上の事態に陥ってないか!?
『こうしてはいられないわ!
 早く婚姻届をもらいにいかなくっちゃ!!』
 母さんは軽やかな足取りで外に飛び出していった。
「ほら星也、早く次の街に行くよ」
「離せ真昼!!俺は今すぐ母さんを止めねえといけないんだ!!」
「だからセーブしないと外には出られないんだって!
 早くここから出たいなら、とっとと移動するよ!」
 珍しくまともなことを言った真昼に引きずられて街中を進む。
可哀想なものを見る目で姫が俺に視線を向けているのが、すごく悲しかった。


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