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くろウサギ
日時: 2015/05/23 15:27
名前: 暁 (ID: qWXmA7KK)

 君はいつも一人だった。

 例えればくろウサギ。

 飼育小屋にいる一匹のくろウサギのように。

 みんな真っ白で、その中にぽつんと。

 違うからって仲間はずれ。

 でも、わたしは君に魅かれた。

 ひとりぼっちの君に。

 ひとりぼっちのくろウサギに。

★゜+。*:゜+。*:゜+。*:゜+。*:゜+。*:゜。+*:゜+。*:゜+。*:゜+。*:☆

暁(あき)といいます。
二つ目の小説です。
一つ目の小説とは書き方が全く違います。
楽しんでいただければ幸いです。
URLは一つ目の小説です。

3月26日 Start!

*目次*
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Re: くろウサギ 〜ひと ( No.27 )
日時: 2014/05/12 20:41
名前: 暁 (ID: z5Z4HjE0)

「あー」
 これは偶然なのか、それとも呪いなのか。明菜は「うん。ドンマイッ」と親指をたてている。
「とにかく、あまり関わらないほうがいいよ」
「うぅ」
 できれば、助けてもらった時のあの姿を信じたい。でも隣の席になった時の冷たい目は怖い。
 どっちが『本当の君』なの。
「で、今の白雪の想い人は?」
「兎しゃん、愛しています」
「人間に恋をしようね」
「そしてあたしは、その大切な兎しゃんがだ〜い好きな人の前で食べるという」
 パクりと兎型の林檎を口に含む明菜。紗雪が食べていたのは普通に切られた林檎。
「どうする、食べる?」
「かわいそう」
 林檎より兎の命(?)のほうが大切だ。
「白雪のくせにー」
「白雪姫は林檎が好きだったわけじゃありません! 毒林檎を食べてしまっただけです!」
 普通だったら白雪姫は林檎がトラウマになるだろう。


 授業中。紗雪は優のことを気にしていた。昨日みたいに紗雪には興味がないらしくボーッと窓の外を見ている。
 やっぱり、冷たい人なのかな?
 黒葛優の性格は昔から変わらないらしく、なぜか成績はトップらしい。いつも授業なんか聞かないで窓の外を見てるくせに。少し恨めしい。

Re: くろウサギ 〜ひと ( No.28 )
日時: 2014/05/24 17:48
名前: 暁 (ID: z5Z4HjE0)

 気がつくと紗雪と優の目が合っていた。鬱陶しいような目つきでこちらを見ている。さすがにずっと目を合わせるのも気まずいので目線を黒板に向かわせる。そしてしばらくするとまた優に戻した。また、窓の外を見ている。とても暇そうだ。
 窓は満開の桜の色で染まっていた。


「も〜! 聞いてよっ」
 グチグチと飼育小屋の中にいる兎達に不満を言う紗雪。腕をブンブン振り回しては眉を上げる。しばらくすると、白い兎の一匹がブーブーと鼻を鳴らした。大きくて低い音。その音で紗雪は我に帰る。
「ご、ごめんねぇ……」
 この音は不機嫌な証拠。かまってあげなかったからだろう。でもあまり甘やかすことはできない。が、撫でる。
「うぅ……もう、こんな話しないから……」
 深々と頭を下げ謝っても謝りきれない。大好きな兎さん達にストレスを与えては駄目だ。
 ……明菜と氷雨に言おう。
「あ、そろそろ帰らなきゃ」
 立ち上がり制服についた砂を手ではらう。
「……ばいばい」
 白兎達は不満そうに金網をガジガジかじっている。外に出たい、とわがままを言っているようだ。
 でも、黒兎はいつも通り。
 紗雪に興味がないようで青い空と淡いピンク色の桜を見上げていた。

Re: くろウサギ 〜ひと ( No.29 )
日時: 2014/08/11 16:48
名前: 暁 (ID: 7hV223vQ)



 次の日。学校に早く着きすぎた。
「うーん。……兎ちゃん達のところに行こう」
 日課のようにいつもの道のりを進んでいく。すると飼育小屋に近づくにつれ、黒い影が見えてくる。先客がいたようだ。
 誰だろう。ここに来るなんて自分ぐらいしかいないのに。
「くそっ、何でないんだ……!」
 少し大人びた声が響く。俯いている姿は紗雪が知っている人だった。
「つ、黒葛くん……?」
 まだはっきりしなくて自信のない細い声になってしまう。こんなに取り乱している優は初めて見たのだから。
 紗雪の呼びかけに優は勢いよく振り向く。向けられた顔はいつもよりも険しい顔をしていた。
「どう……したの?」
 その恐怖に心臓が速く脈をうつ。
「……言っただろ。僕に話しかけるな、って」
 冷たい言葉に体が固まるが勇気を出して口を開いた。
「でも、言ってくれないと分からないよ」
「うるさいっ!!」
 校舎内にも響きそうな大声に兎達もビクリと反応した。紗雪はそれを見て、優の服を掴んだ。
「やめてっ。兎達がおびえちゃうからっ」
 グッと音が聞こえるくらいに優の制服を握り締める。
「……ごめん」
「……」

Re: くろウサギ 〜ひとりの君〜 ( No.30 )
日時: 2014/10/09 20:30
名前: 暁 (ID: 12rag1tu)

お久しぶりです!
いやぁ、毎日が勉強勉強ばかりで……来れませんでした。
皆様すみません!(見ている人はいないと思いますが)
ちょこちょこ書いていきます。
更新、遅くなると思いますがよろしくお願いします。

Re: くろウサギ ( No.31 )
日時: 2014/10/10 19:11
名前: 暁 (ID: 12rag1tu)

 優の顔は何かを堪えるように、悲しそうな表情を浮かべた。そのまま紗雪の手を払うと逃げていくように立ち去る。
「っ……」
 ガクガクと恐怖で震えていた足は簡単に力が抜け、地面に崩れ落ちた。緊張がほぐれたせいか眼に涙の膜ができている。
 なんであんなに取り乱していたのだろう。
 なんで怖い顔をしていたのだろう。
 なんで、あんな悲しい表情をしていたのだろう。
 次々と疑問がつのる。
 紗雪はおびえていた兎達を見つめた。
「黒葛くん、よく分からないよ……」
 その中で1匹だけいつも通りの兎がいる。その兎はひとりぼっちで何を考えているか分からない。
「……『君』みたいに」


 1時間目。君とまた会ってしまった。
 またいつもの通り外を眺めていて授業を聞く様子もない。
 正直、とても気まずい。そして怖い。でも同じクラスで隣の席だから会わないわけはない。この状況があと半年も続くのか。
「あっ」
 消しゴムを持とうとして手をのばすと、指先に消しゴムの角が当たり転がっていく。そして机から落ちてしまった。それでも止まることはなく、コツンとたどり着いたのが優の足元。
「…………」


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