コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- LAST SUMMER
- 日時: 2014/11/07 19:10
- 名前: 紙風船 ◆j5fpcv1lQM (ID: xIf6nAEu)
- 参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?mode=view&no=10068
夏の日に現れる不思議な少女。
小さく穏やかなその街で語り継がれる少女の影は、規則的に海岸の砂の上に映し出されていた。
—だが、いつしかその淡い色のワンピースを見る者は居なくなった。
+++++
この話の本編は、あなたがこの粗筋を読んで広げた想像の翼です。
だから副題を"parallel"、"dream"と名付けました。
これから描く物語は、私自身の翼です。
この羽根を一枚、あなたに託します。
これをあなたの翼の一部として仕舞って頂けると幸いです……。
【登場人物】
木田 英樹(きだ ひでき)
山下 夏実(やました なつみ)
※parallelもdreamも登場人物の名前は同じですが、ストーリーは違います。別世界(parallel)と夢物語(dream)は分けてお考え下さい。
【目次】
《ストーリー》
・LAST SUMMER parallel >>1-16、>>21-
・LAST SUMMER dream
《コメント》
・ぱる 様 >>17 (紙風船より >>18)
・るくねこ 様 >>19 (紙風船より >>20)
- LAST SUMMER parallel ( No.6 )
- 日時: 2014/07/27 17:45
- 名前: 紙風船 ◆j5fpcv1lQM (ID: xhJ6l4BS)
「…………もしかして、夏実?」
英樹は現実に引き戻り、前に立つ少女を見上げた。
そうだ、あの日、確かに淡い水色のワンピースを着ていた…。
夏実も思い出したのか目を見開いている。
「ひ…、でき?」
そう、この街でヒデと呼ばないのは英樹の両親と夏実ぐらいだった。
英樹は静かに頷いた。
混乱している夏実は今だ小学4年生の身体だ。
あの頃は夏実と同じくらいの背丈だったのに、こっちだけ中学2年男子相当の背丈となっていて、不思議な気分だ。
「こっちにはどうやって来たの?」
たどたどしく夏実が聞いてきたので英樹は小さな子供を助けた事を伝えた。
「そうか……、きっとその衝撃で飛ばされちゃったのね。」
「夏実、此処、何処なの?」
英樹が尋ねると、夏実は言葉を探す様に目線を泳がせた。
「えーと…、英樹、車に轢かれそうになったんでしょ?普通は即座に天国行きなんだけど、例外があるの。それが、此処。向こう……、英樹がさっきまで居たのとは別世界。死ぬ筈の衝撃や展開の時、空中に穴が開いて吸い込まれる。」
訳が分からずに英樹は頭を抱えた。
「つ、つまり、俺達は漫画みたいな世界に、居ると…。」
「そう言う事。何故こうなっているのかは、私にも良く分からないけどね。」
夏実は虹の壁に腕を突き刺した。
「脱出しようと試した事もあるけど、失敗した。身体の半分まで通すともの凄い力で押し返される。」
英樹は夏実の話を呆然と聞きながら、上を見上げた。
「…ん?」
最初は見過ごしていたのだが、—一筋の光が射し込んでいた。
「あれは?」
指差す方向を見た夏実は、あああれかと乗り気で無い様に呟いた。
「外の世界と繋がる窓。このリボンを手首に巻き付けて……。」
最後の方はもう聞いていなかった。
何だ、あそこから出られるんじゃないか!
球体の別世界はどこまでも床に変身し、上まで走るのも楽々だった。
無造作に緑色のリボンを結び、英樹は光の穴に飛び込んだ。
- LAST SUMMER parallel ( No.7 )
- 日時: 2014/08/02 10:58
- 名前: 紙風船 ◆j5fpcv1lQM (ID: sZYMS.0b)
英樹は昼間の街に出た。
大きく深呼吸して、辺りを見回す。
…ん?街?
確かに街ではあるのだが……、違う。
社会の教科書に出てきたあの商店街の様な風景が広がっていた。
周りの人々は浴衣を身に纏っている。
疑わしい視線を感じた英樹は反射的に隠れようとしたが……隠れる場所が無い。
皆、不思議そうな目付きをしていた。
当たり前だ、だって…、英樹は未来の服を着ているのだから。
焦ってリボンをほどくと、英樹の視界は真っ暗になった。
「だから駄目って言ったのに。」
夏実は不満げに頬を膨らませた。
「外に出られるかもしれないって思ったら、つい…。」
「最後まで話を聞かないんだから、もう。」
ぶうたれながら夏実は説明してくれた。
要約すると、現代の世界に戻れるのは夏の夜のみで、他の時間帯だと違う世界に辿り着いてしまうのだと言う。
「夏かどうか、夜かどうかは感覚で大体分かるの。」と言っていたが、……本当かは知らない。
最大約15分、リボンをほどけばいつでも、此処(異世界)に引き戻される。
「つ、つまり……、元の世界に戻る方法は…………?」
「無い。あっても知らない。」
即答に頭を項垂れる。
「もしも知ってたら私こんなところにいないもの。」
ごもっとも、だ。
追い討ちを掛けられて英樹は小さくなった。
- LAST SUMMER parallel ( No.9 )
- 日時: 2014/08/02 16:29
- 名前: 紙風船 ◆j5fpcv1lQM (ID: sZYMS.0b)
「……夜だ。」
夏実は不意に呟いた。
聞き返した英樹にもう一度同じ台詞を言い、ポケットから赤いリボンを取り出した。
「行こう。外。」
夏実は髪に綺麗な形に結び、穴を潜り抜けた。
英樹も慌てて腕に巻き、その後を追った。
夏実はずっとポケットに手を入れていた。
英樹はうろうろと歩き回っている。
…間違いない、いつもの海だ。
波のさざめきを月の光が優しく包む。
すると、聞き慣れた話し声が聞こえた。
同級生の二人組だ。
「おーい!」
英樹が大きく手を振ると、二人はびくっとこちらを見た。
「……お前、だ、誰だよ………………?」
「英樹だよ、木田英樹!ほら、ヒデだって!」
はしゃいだ声をあげると二人は何故かますます硬直した。
「英樹ッ!!」
夏実が珍しく叫び、さっとリボンをほどいた。
「さっさとしろ!」
消える寸前の声に慌てて従い、腕のリボンを取った。
二人の困惑した目線がこちらに向き、離れなかった。
- LAST SUMMER parallel ( No.10 )
- 日時: 2014/08/10 14:03
- 名前: 紙風船 ◆j5fpcv1lQM (ID: lAbz4I/2)
「馬鹿ッ!!」
帰った途端、夏実は思い切り英樹を詰った。
英樹はその声すら聞こえていないかと言う位にぼんやりとしていた。
「あいつら…………、俺の事…………………。」
忘れたのか?とは言えなかった。
さっきの出来事を現実と捉えたくなかった。
英樹の気持ちに追い討ちをかけるかの様に夏実は尖った声で言った。
「忘れたの?私が消えた日。英樹以外、私の事覚えてなかったでしょ?此処に来た人間は忘れられる運命なのよ。誰も彼も皆…あんたの事なんかすっかり記憶に無いんだから!!」
「で、でも……、俺は夏実の事…………。」
「あんただって忘れてたじゃない!私に会っても、何にも思い出せなかったくせに!」
「で、でも!お前だって、俺の事忘れてただろ!」
「そ、それは…………っ!」
夏実は真っ赤な顔のまま俯いた。
そしてそれを振り切るかの様に顔を背けた。
- LAST SUMMER parallel ( No.11 )
- 日時: 2014/08/13 15:17
- 名前: 紙風船 ◆j5fpcv1lQM (ID: 7Qg9ad9R)
どのぐらい時間が経ったのだろうか。
距離が置かれた背中が、嗚咽を堪えて震えている。
英樹は為す術も無く、腕に体重を預けて変わらぬ虹色の天井を見上げていた。
夏実は体育座りでスカートに顔をうずくめている。
どのぐらい時間が経ったのだろうか。
1秒が長く感じる。
2時間は経っている気がするが、本当は10分くらいなのかもしれない。
此処に時計は存在しない。
英樹は腕時計等持っていない。
どれぐらい時間が経ったのだろうか。
長く流れる時の中、英樹が見付けた答えは唯一つだけだった。
昔クラスメイトで、他の人よりもちょっと近い、不思議な存在で、
いつの間にか4つも年が離れていて、
いつも心の何処かで引っ掛かっていた気もする、
こいつを泣かせてしまった。
それしか分からなかった。
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