コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- ××××、××××、×××××。
- 日時: 2014/09/06 17:44
- 名前: ファイトソング (ID: nnuqNgn3)
こんにちは。クリックさんきゅーです。
宣伝になっちゃいますが…
「君と一緒に。」って小説も書いてるんで、そちらのほうも是非!笑
タイトルは、
ばきゅん、ばきゅん、ばきゅーん。
て読みます。
って下っぽいですけど、違うんで!
色々意味があります!笑
その辺もうまく書いていけたらと思います。
応援よろしくお願いします。
- Re: ××××、××××、×××××。十三話 ( No.21 )
- 日時: 2015/01/09 16:42
- 名前: ファイトソング (ID: mJV9X4jr)
十三話 帰宅。
景side
隣の子の不安そうな表情。
繋いだ手から伝わる震え。
何をそんなに怖がっているの?
「なーわっ」
「え、」
俺を見上げる潤んだ瞳。
こんなこと思っちゃダメなんだけど…
…可愛いな…
「不安がらないで。俺はずっと味方だよ?俺がいる限り、一人にはさせないから」
「ん…ありがと」
嬉しそうななわ。
触れたくなる。
あぁ、これは完璧に、
恋なんだ。
「なわ、好きだよ」
「ふふっ、ありがとう」
告白なんだよ?
気付けー!
なぁんてね、今はまだ伝わらなくて大丈夫。
なわがちゃんと前を向いたら告白しよう。
「ここ、通ったね」
雑貨屋が並ぶこの通り。
夜の方が雰囲気あるな。
「入る?」
「ううん。今度連れてきて」
そう言って笑う。
少しだけ赤くなった頬が、俺の体温を上げていく。
「もちろん。なわが良いならいつでも」
「じゃあお願いしまーす笑」
通りを抜けて、一気に都会の街並み。
俺は大きなビルと、スーツを着た金持ちを馬鹿にして生きてきた。
絶対そうはならないと。
チャラチャラと。自分を作って、女と遊んだ。
でも…
ここで気付いた。
ここ…なわと出会った場所で。
なわが教えてくれたんだ。
夢を見つけてひたむきに頑張ることの大切さを。
俺にも夢がある。
俺にも守りたい物がある。
「なわ、歌ってよ」
この場所で。
ギターを渡した。
笑顔で受け取るなわ。
「何歌ったら良い?」
「何でも大丈夫?」
「あ、うん」
「じゃあ、元気出そうな曲!」
「おっけー。じゃあ、嵐のファイトソングかな?知ってる?」
「知ってる!俺、嵐ファンなんだ笑」
「へー!意外かも。…えっとー、じゃ、歌います。ファイトソング」
「いぇーい」
「♪いつも通りの君でいい
なんて言わない方が良い
そこからまた始まりだろう?
これが君には似合ってる
人は人 自分は自分
比べた時点で負けてる
自分に負けない強さが
どんな壁をも壊してく
時には泣いて良いよ
弱いとこ見せても大丈夫
でもそこで腐るな!
まだやれるその先の夢(さき)
どんないくつもの言葉よりも
たった一つの言葉が良い
まずは自分で踏み出してみて
「頑張れ!」そんな安いヤツでいい
いつも通りの君でいい
なんて言わない方が良い
そこからまた始まりだろう?
君に届け 僕らの言葉(うた)
今は悩むこともあるでしょう
ヘコむこともあるでしょう
でも未来のどこかで君と
笑い合えれば道は作られる
どんないくつもの言葉よりも
たった一つの言葉が良い
やっと一歩踏み出せたよね
「頑張れ!!」ほらね似合っているよ♪」
なわの歌大好きだ。
嵐の名曲ファイトソングがしんみりするバラードに変わった。
なわの歌になっている。
「…どうだった?」
「心配すんな、最高だ」
いつの間にか、俺達の周りにはたくさんの人が集まっていて、これから通勤するであろうサラリーマンまでもが、立ち止まってなわの歌に耳を傾けていた。
「ありがと…」
「もう一曲いっとく?」
「うん」
大きく頷いたなわに盛大な拍手が巻き起こる。
「じゃあ、スキマスイッチで全力少年」
ぱちぱちぱちっ
「♪躓いて、転んでたら置いてかれんだ
泥水の中を今日もよろめきながら進む
汚れちまった僕のセカイ 浮いた話など無い
染み付いた孤独論理、拭えなくなっている
試されてまでもここにいることを決めたのに
呪文のように「仕方ない」とつぶやいていた
積み上げたものぶっ壊して 身に着けたもの取っ払って
止め処ない血と汗で乾いた脳を潤せ
あの頃の僕らはきっと全力で少年だった
セカイを開くのは誰だ?
遊ぶこと忘れてたら老いて枯れんだ
ここんとこは仕事オンリー 笑えなくなっている
ガラクタの中に輝いてた物がいっぱいあったろう?
「大切なもの」全て埋もれてしまう前に
さえぎるものはぶっ飛ばして まとわりつくものかわして
止め処ない血と涙で渇いた心臓潤せ
あの頃の僕らはきっと全力で少年だった
怯えてたら何も生まれない
澱んだ景色に答えを見つけ出すのはもう止めだ!
濁った水も新しい希望ですぐに透み渡っていく
積み上げたものぶっ壊して 身に着けたもの取っ払って
幾重に重なり合う描いた夢への放物線
紛れもなく僕らずっと全力で少年なんだ
セカイを開くのは僕だ
視界はもう澄み切ってる♪」
ぱちぱちぱちぱちぱちっ!
鳴り止まない拍手に、なわの目は潤んでいる。
「ありがとうございます…」
「なわーっ泣くなぁー笑」
って…俺も泣きそうなんだけどね。
「だってぇ…泣」
可愛いなぁ…
悲しくて泣いているなわばっかり見てたけど、
嬉しくて泣くなわはこんなにも綺麗で美しいんだ。
「じゃ、行こ」
なわに手を引かれ、この場所を後にした。
しばらく歩いて、俺は足を止めた。
「どうしたの…?」
俺を見つめるそのキラキラの瞳。
デビューしたらもう、俺はうつさないんだよな。
今、感謝を伝えよう…
「けい君?」
「なわ…ありがとう。
俺、なわに会えて良かった。
芸能界に入ったら俺達は離れちゃうよなぁ…
なわはなんとも思ってないかもしれないけど、俺は離れるのすんげぇ寂しい。
きっと、なわのことを思い出して憂鬱になる。
だけど…俺はなわのファンで。それだけは変わらない。
1ファンが邪魔をしていい世界じゃない。
頑張れ、なわ。
絶対テッペン取って来い。
追い風に乗れ。
向かい風に負けるな…」
「…泣かせないでよぉ…」
「俺だって泣きてぇよ…」
悲し涙が、嬉し涙か…わからない涙を二人で流し続けた。
「見られてるな、俺達」
「うん…けい君…私…けい君のこと大好きだよ…」
「ありがと。俺も大大大好き!」
「ありがと。じゃ、行こっか」
涙が止まった所で、また歩き出した。
腫れている目。
ジロジロ見られているけど気にしない!
道は細くなって、どんどんなわの家が近付いていることを知らせる。
寂しいなぁ…
また会えるよな…
「もうすぐだよ」
「はぁ…」
「疲れちゃった…?」
「え?…あ、違う違う!寂しいなぁって思ったらため息でちゃった笑」
「えー?また会えるじゃん!」
「会ってくれるの?」
「うん、勿論でしょ」
「じゃあアド交換しましょーか」
「あぁー、ごめん!携帯家だから、けい君の譜面に書いて!」
「あ、おっけー」
ポケットから出された譜面に、アドレスを書き込んで行く。
その様子を可愛い笑顔で眺めるなわ。
俺は…この子にはまりすぎているのかもしれない。
「はい」
「ありがと!絶対メールする」
「おう」
「あ、この辺でいいよ」
「え?何で?」
「母親厳しいんだよね…だから、この辺りで!」
「あー、おけ。じゃあな、気を付けて」
「うん。けい君も」
手を振って別れた。
帰宅しても早くなわからメールが来ないかな…って携帯を眺めて。
女子みたいだ…って自分が気持ち悪くなったり。
初恋は、俺の戸惑いよりも早く、なわを求めているようです。
- Re: ××××、××××、×××××。 ( No.22 )
- 日時: 2015/01/31 18:45
- 名前: ファイトソング (ID: FpNTyiBw)
第十四話 Yes or No
波羽side
帰宅すると、母親にこっぴどく怒られた。
反省しているようでしていない私の態度に、怒る気も失せたのか…フラフラと、キッチンに向かった。
そう言えば、少し痩せた…?
元々、華奢だった母親の線はもっと細くなり、やつれているようにも見える。
まさか、私が心配で…?
…それはないか。
今までだってそんな期待をしては裏切られてきたじゃない。
最初に裏切られたのはいつだったかな。
あ、小学校の入学式だ。
近所のお姉さんからもらったランドセルを、背負って行った。
「歩いて行きなさい」という母親の言葉通り、小学校まで徒歩20分の道のりを、子供の足で歩いた。
学校に着いて気付いたんだ。みんな親と来ていることに。
私を痛めつける大人達の「可哀想」。
結局、入学式に母親は来なかった。
来るはずも無い。家には、男が来ていたんだから。
私より、遊びが大事なんだ。その時、「お母さん」は「母親」になった。
「シネ」
自分の口から、こんな醜い言葉が出るなんてね。
「…シネよ!お前がシネば、私は幸せになれるのに!!」
眉一つ動かさない母親。
私の言葉なんか耳に届いていない様子で、ぼーっと立っているだけ。
「聞いてんのかよ!」
「はいかいいえで答えなさい」
何言ってんだよ…
「は?」
「いいから」
「…」
「…私のこと、嫌い?」
「はい」
「女優になりたい?」
「いいえ」
「…歌手に、なりたい?」
「はい」
「あんたの父親は生きてる?」
「…はい」
「生きてるの?」
「はい」
瞬間、母親は泣き崩れた。
私は、父親が生きているかなんて知らない。
生きていてもいなくても、こうやって苦しめられる事実は変わらない。
憎いけど、憎みきれない。
きっと、母親は私が誰との子であろうと嫌っていたと思うから。
「はいか…いいえで答えて」
立ち上がり、キッチンで泣く母親の横に座る。
今度は私が質問する。
「父親は生きてる?」
「生きてる!!きっと生きてるんだから!!」
「…」
はいでもいいえでもない答えだったけど、私はわかったんだ。
…父親は死んでいる。
そして、母親は父親の死を望んではいなかった。
途端に、涙が溢れた。
何故泣いているのだろう。
「…はは」
ほら、笑えるのに。
何故泣いている?
ねぇ、私。
はいかいいえで答えてね
私のこと嫌い?
はい
父親は死んでいる?
はい
私は望まれて、生まれた子じゃない?
いいえ
- Re: ××××、××××、×××××。 ( No.23 )
- 日時: 2015/09/06 20:03
- 名前: ファイトソング (ID: 6k7YX5tj)
第十五話 真実
波羽side
私は母親を抱き締めた。
何故だかわからないけど…咄嗟に。
母親は私をきつく抱き締め返す。
「…私は生まれてきて良かったの?」
「ばか…当たり前じゃない。私は望んで産んだの」
母親を抱き締める腕に力が入る。
私が苦しんだのは何故だろう…。
私は自分に対して嫌悪感を抱いていた。
母親を傷つけた男との子供。
どれだけ悩んだのだろう。
どれだけ泣いたのだろう。
私はそんな母親を更に傷つけてはいなかっただろうか。
嫌悪感。
それは決して自分を汚いと思っていたわけではなく、母親に冷たく当たる自分を恥ずかしいと思っていたから。
「…お母さん」
お母さん…
お母さん…
お母さん…
お母さんの温もりに触れる。
「波羽…波羽…ごめんね」
お母さんは泣いた。
私を想って泣いた。
私はお母さんを想って初めて泣いた。
お母さんの涙は私が受け取るから。
「…波羽に聞いて欲しいことがあるの」
私はお母さんから離れ、しっかり目を見る。
「波羽…、加藤照と私は正式にお付き合いしてたの。週刊誌の打ち上げの話はでっち上げ。照の歌はCDと同じ。上手だった。打ち上げは本当にあったけど照は来てなかった。関係がばれたら困るから私が来ないように言ったの。打ち上げ会場の店を出たらね…、いた。照は私の手を引いて走り出した。それでホテルに入って歌を聴かせてくれた。でも、私と照がホテルに入って行く姿を見た人がいてそんな風に書かれちゃった。でもね…、その時すでにあなたは私のお腹にいた。そのことはちゃんと教えていて、結婚するつもりだった。だけどそんな噂がたっちゃって…、照は自殺した」
衝撃の告白だった。
愛する人を失った悲しみと悔しさをずっと抱えて生きてきたのだろう。
そして、私に女優を望んだ本当の理由がわかった。
歌手を反対する理由も。
「女優をやっていて失ったものはあまりに大きかった。…意地を張っていたの。波羽を成功させることで、私が女優をやっていたころを無駄じゃなかったって思いたかった。ごめんね、自己満足に過ぎないの」
「そんなの謝んないで。私、結局逆らってたし」
「…歌手をしている波羽を見るときっと照を思い出しちゃうから。だって、顔がそっくりなんだもん」
「お母さん…」
「でもね、今はもう反対なんかしていない。あなたを応援する」
私はお母さんを再び抱きしめた。
ありがとう、と呟いた。
私のデビューが決まった瞬間だった。
- Re: ××××、××××、×××××。 ( No.24 )
- 日時: 2015/09/23 08:32
- 名前: ファイトソング (ID: mvR3Twya)
十六話 歓喜
波羽side
W事務所の黛社長にはお母さんと和解したことを伝えた。
強行手段は取り消されたけど戦略を練るということでデビューは先送りになった。
そして、今日は会議がある。
お母さんと社長とけいくんと。
けいくんは、バックミュージックの楽器演奏を担当することになったので今回招集がかかったそうだ。
社長としては二人を同時に売り出したいそうだ。
私はギター一本で勝負するつもりだったけど、ギターは演奏させてくれるみたいだし、けいくんが一緒なら。
久しぶりにお母さんが運転する車に乗っている。
嬉しそうなお母さんの横顔をちらちら眺めながら、W.Billsに到着した。
「お久しぶりです、波羽さん」
ガラス張りの建物。
西洋風の大きな扉の向こうに、社長は立っていて、スーツがよく似合う。
「初めまして。今回BGM担当のけいはすでに会議室におりますので。行きましょうか」
お母さんは軽く会釈して、社長に続く。
私もついて行く。
紳士的な社長は、私とお母さんをきっちりエスコートしてエレベーターに乗る。
大人の男性、という感じでかっこいい。
15階の会議室に到着した。
長いテーブルに沢山並んだ椅子。
大きな液晶パネルが壁に埋め込まれていて、その横の小さな机には最新型のパソコンが置かれている。
大きな窓からはビル群が背比べをしているのが見える。
そして、
けいくんがいる。
目が合って頬が火照る。
気づかれたくなくて、目をそらした。
「どうぞ、おすわりください」
「はい」
「今回お呼びしたのは事前に伝えていた通り、波羽さんをどう売り出していくかという会議を執り行いたくてですね」
「はい」
「波羽さんのマネジメントは私、黛が担当させていただきます」
社長がマネージャー…
そんなこともあるんだな、と不思議に思っているとそんな気持ちを見透かしたように社長が「特別待遇です」と笑って言った。
「…なんだか、遠くに行っちゃう気がするわね」
お母さんがぽつりと消え入りそうな声で呟いた。
「そんなことないよ」
「私もあなたが歌手をするのは賛成。だけどね、私の娘だってことはすぐにバレる。そしたらどうするの?」
「その話は私もするつもりでいました。きっと本名で売り出すとすぐにバレるでしょう。しかし、芸名を使うとお母様の過去が事実化されてしまう可能性がある。これは、波羽さん自身で決めることです」
「本名でお願いします」
「…そういうと思った」
けいくんが口を開いた。
その顔は誇らしげで、私を優しい瞳で見つめる。
私は笑いかけた。
暖かい空間が出来上がっていた。
- Re: ××××、××××、×××××。 ( No.25 )
- 日時: 2015/12/30 22:33
- 名前: ファイトソング (ID: mvR3Twya)
十七話
「デビューは二ヶ月後で一週間後から星加社の新発売焼き菓子のCM曲にあの曲の起用が決定したので明日か明後日どちらかレコーディングしたいんですけど」
「はい、明日が良いです」
「わかりました。それで、新曲のタイトルは…?」
「〝Warm〟ってどうですか?」
「Warmですか。良いね、そうしましょう。…レコーディング後はキャンペーン期間を一ヶ月ほど用意して、波羽さんの顔は公開しません。二ヶ月後にCDを発売するタイミングで、ゴールデンタイムの生放送番組で歌を披露してもらいます」
ちらりとけいくんを見るとけいくんもこっちを見ていて。
二人目を見合わせ笑った。
二人の未来が開けようとしている。
翌日。
レコーディングが始まる。
大きなスタジオ。
最初はけいくん。
私はけいくんのBGMにギターを合わせる。
そして声を入れる。
ガラスの向こうのけいくん。
ヘッドフォンを付けてドラムを叩く。
まだ練習なのだけど、圧巻の演奏。
鳥肌が立つ。
少しも緊張していないんだろうな。
顔が生き生きしている。
「じゃあ行くよ!」
練習とは比べ物にならないほどの迫力。
しっかりと受け継がれた才能。
ここにいる全員が演奏に聴き入った。
「はい!ok!」
チェックを済ませ、一発okが出た。
けいくんも満足していたようで、私に向かってぐっと親指を立てた。
その後、ベース、キーボード全て一発ok。
執筆中
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