コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- 聖愛戦争。 <Chapter 2 更新中>
- 日時: 2015/11/07 19:01
- 名前: 村雨 ◆nRqo9c/.Kg (ID: /GGwJ7ib)
恋とは即ち闘争である。
*
こんにちは!
村雨と申します(・ω・)
今までコメライ板で短編を書いてきたのですが、訳あって長編も書こうと思い立ちました(
シリアス描写等入ると思いますが、基本的にゆるーい感じで読んで頂ければなあと思います。
尚、下ネタやパロディがちょくちょく登場しますが、ネタということでどうか悪しからず……
今作ではヒーローっぽい男の子とヒロインっぽい女の子の二人の視点で綴っていきます。
1〜2レスごとに話者が交代になるかと。
コメントやアドバイスは大歓迎です!
コメント頂いた方の小説には極力感想を書きにいきますのでっ
【目次】
Chapter 1
<そうだ、合コンに行こう>
>>1 >>4 >>7-8 >>13-14 >>18 >>21-22
登場人物紹介 >>27
Chapter 2
<One Step, One Emotion>
>>30 >>34-35 >>38
【お客様】
氷優。さま
蒼さま
奏楽☆彡さま
夏目 織さま
悠。さま
紬さま
ゴマ猫さま
朔良さま
- Re: 聖愛戦争。 <Chapter 1 更新中> ( No.18 )
- 日時: 2015/09/23 14:59
- 名前: 村雨 ◆nRqo9c/.Kg (ID: HTruCSoB)
◇
合コンはおおむね和やかな雰囲気のまま進行した。私はドリンクバーで取ったオレンジジュース片手に、この会を楽しんだ。
でも、気になることが一つあった。速水くんとよく目が合う気がする。正面に座っているのだからある程度は仕方ないのかもしれないけれど、それにしても多い。あ、ほらまた。
……大丈夫、私はちゃんと下調べをしてきたのだから。合コンでモテるには……そう、笑顔だ。とりあえず笑っておこう。にこーっ。私は口角を上げて数秒間相手を見つめた。
それから頭をフル回転させる。合コンで良い印象を持たれるためには、相手を褒めることが大切なのだというネットの記事があったことを思い出した。むむ、そういえばまだ実践していない。
私がそんなことを考えている間にもめまぐるしく話題は移り変わっていく。今は、男子が理数科、女子が家政科ということで家政科は料理が得意なのかとか、理数科は計算が速いのかとか素朴な疑問をぶつけ合っていた。
「理数科って実験やら演習やらで忙しいんだよなー。課題も多いし」
私は理数科に知り合いなんていないので、彼らの事情はあまり詳しくない。そういう意味では新鮮だった。実験って、白衣とか着るのだろうか。何か凄そう。私の頭には、初老のおじさんが口元に怪しげな笑みを浮かべつつ試験管の中身を凝視している、そんな光景が浮かんできた。これってまるで──今だ! 相手を褒める絶好の機会! 私は大きく息を吸う。
「マッドサイエンティストみたいだねー。あはははは」
しかし、予想に反してその場は微妙な空気になった。早川聡美が隣で苦笑いし、黒縁眼鏡の男子が私から目を逸らす。背筋がひやりとした。あれれ? 想定と違うな。うん。褒めるって難しい。
「三木さんって面白いねー!」
速水君がフォローしてくれるのも、何だか逆に恥ずかしくなった。
その後も私は「家政科クラスでは、会話の中に下ネタが飛び交っている」などとしなくても良い暴露話をしたりして、その場を変な空気にさせたりしてしまった。男子を目の前にすると、どうしても力んでしまうようだ。女子の前だと平気で言える冗談さえ、口に出すのをためらってしまう。
しばらくして皆の話題は漫画に移り、それにめっぽう疎い私は時々うんうんと頷くことしかできない。でも失言のしようもないので、一方で安心もしていた。
「でもやっぱり一番好きなのは『スリムダンク』かなあ」
早川聡美が言う。
「あ、それ、僕も好き! ……です」
お、柴犬くんが喋った。さっきから下を向いて黙々とボンゴレを食べていた柴犬くんが。
「そうなの?」
「え、えっと、スリムになるためにバスケを通じて数ある試練を乗り越えていく主人公が……とっても魅力的で、メンタルの弱いところとか、凄く共感して……」
彼が息を吐く度に緊張しているのが伝わってきて、それでも頑張って続けようとする姿がぎこちなく健気でもあり、私はつい笑ってしまった。私と同じようにあたふたしているだけなのに、こんなに面白いなんてずるいなと思った。
「試合のシーンとか白熱だよなー。俺もバスケ部なんだけど、凄い感動した」
速水くんが口を挟む。
「え、速水くんってバスケ部なの? 超ウケる」
「そうそう、でもうちのバスケ部って結構強くて。だから練習とか大変でー」
けれどいつの間にか、会話は話の得意な美男子を中心に回っていた。斜め前の男子は明らかにあがり症だし、眼鏡の男子は積極的に話すわけではなく聞き役に徹している。速水くんが自分を引き立たせるために他の二人を連れてきたのかと思うくらいだった。
彼に話を持っていかれた斜め前の男子は、心なしかしゅんとしているように見える。益々柴犬みたいだ。飼い主に怒られてしょげている柴犬。
注文したドリアを食べ終わり、ドリンクバーで二杯目のオレンジジュースを取ってから席に戻ると、柴犬くんの姿がなかった。どうやら腹痛でトイレに走っていったらしい。さっき大皿いっぱいのボンゴレを頬張っていたことを考えると、食べ過ぎたんじゃないかなと心配になる。彼がいなくても会話は以前と変わらず盛り上がっていたけれど、それまで彼の反応を一人で楽しんでいた私は、少し残念に感じた。
ちらりと腕時計を見る。針は六時半を指していた。うちは門限が七時なのだ。もうそろそろ帰らないと。
これである意味解放される、と思った。いや、楽しかったけどさ。どうしても気分が落ち着かない。やはり男子に対する免疫がないせいだろう。私はオレンジジュースを飲みほしてから事情を説明し、自分が食べた分の代金を机に置いて、席を立った。
「というわけで先に失礼しまーす」
すると、ほぼ同時に向かいの速水くんも席を立った。
「駅まで送っていこうか」
- Re: 聖愛戦争。 <Chapter 1 更新中> ( No.19 )
- 日時: 2015/09/23 17:51
- 名前: 紬 ◆qiPqkmYC.c (ID: ZSw8dY6l)
× × ×
初めまして、紬(ツムギ)と申します(´`*)
結構前から読ませて貰ってたのですが、これはコメせねばと思いまして。
題名がとても惹かれて面白くて……プロローグのところが良いなぁと。
恋、って私したことないんですけど、確かにそうですねぇ。
それで言ったら、合コンなんてまさしく闘争ではないかと思います(
勿論全員好きなんですけど、特に好きなのは速水くんと根岸くんと愛ちゃん。
この3人好きです、根岸くんとか柴犬……。可愛いだろうなあ(
そして愛ちゃんが可愛い(笑)。頑張ってる姿が目に浮かびますね。
更新、今か今かと楽しみにしてますね、頑張ってください*
- Re: 聖愛戦争。 <Chapter 1 更新中> ( No.20 )
- 日時: 2015/09/23 21:36
- 名前: 村雨 ◆nRqo9c/.Kg (ID: HTruCSoB)
>>19
こちらこそ初めまして、こんばんは!
以前から呼んで頂いていたなんてありがとうございます(^ω^*)
題名とプロローグを気に入って頂けて光栄ですb
確かに……合コンも闘争かもしれませんねえ
キャラを全員好きだといっていただけて嬉しいです+*
速水や愛は割と書きやすいですが、根岸はまだ探り探りですね(
愛を可愛いと言って頂けて何よりです∀
まだあまり沢山登場させられていない部長やマリナも、今後登場機会が増えると思うので、また見て貰えると嬉しいですっ
ありがとうございます!
更新頑張ります(`・ω・´)
- Re: 聖愛戦争。 <Chapter 1 更新中> ( No.21 )
- 日時: 2015/09/26 10:41
- 名前: 村雨 ◆nRqo9c/.Kg (ID: HTruCSoB)
◇
僕が腹痛に襲われ始めたのは、ボンゴレを平らげコーラを四杯飲み終えたころだった。緊張と苦手なあさりと冷たいコーラのせいだ。最初は、時間が経てば治るかもなどと根拠のない可能性に賭けていたが、そうしている間にも痛みはどんどんひどくなっていく。ああ、腹が痛い。僕は必死で便意を堪えていたが、周期的に、しかも頻繁に耐え難いほどの便意がやってくる。便意がやって来る。僕は限界を感じて、最悪の事態を招く前に部長に耳打ちした。
「ちょっとトイレ行ってくる」
僕はそろりと椅子から立ち上がり、忍者のようなすり足でトイレを目指す。「大丈夫?」と心配してくれる女子の声は、「何だ、腹痛かー?」という速水の笑い声に打ち消された。
トイレでおよそ五分間の死闘を繰り広げた後、僕は平静を装って席に戻った。夕飯時ということもあってか、店内は家族連れで満席になっている。戻ったら速水に弄り倒されるのだろうと覚悟していたのに、奴の姿はなかった。ついでに速水の正面に座っていた三木さんもいない。二人ともトイレに行ったのだろうか。
「こっちの二人は?」
僕は二人が座っていた席を指差して部長に尋ねる。
「あ、帰ったよ。一緒に」
「帰った?」
意味をよく飲み込めていない僕に対して、女子二人が補足をしてくれる。
「愛が、門限あるからそろそろ帰らなきゃいけないって」
「そんで速水くんが、愛一人じゃ危ないからって言って、駅まで送っていってくれたんだよー!」
僕は何とも言えない胸のざわめきを感じた。速水の奴、抜け駆けだと!? しかも僕が腹痛でトイレに行っている間に!
それから三十分ほど四人で飲み食いとお喋りをしてから、合コンはお開きとなった。早川さんと茶髪の五十嵐さんは電車で帰るというので、駅で彼女たちと別れた後、僕は部長と二人で帰ることになった。僕は心なしか活力を失い、部長に文化祭云々の話題を振られても空返事だった。
「もしかして、三木さんのこと狙ってた?」
玄関を開けたら時速百八十キロの剛速球が飛んできたみたいに、僕は恐れおののいた。心の中を覗かれている気がした。
「だ、断じてそんなんじゃないっ」
ふうん、と部長は興味なさそうに返事をした。もう空は暗く、きらめく星もあまり見えない。ああ、僕は全然駄目だ。腹は壊すし、気になる女子に声を掛けることすら出来ないなんて。
「それにしても『お持ち帰り』とはやるなあ、速水……」
ふと、部長が感心したように言う。ただ駅まで一緒に帰っただけで、お持ち帰りだなんていかがわしい言い方だと思ったが、同時に二人きりになった速水と三木さんのやり取りを想像して勝手に赤面した。
くそう、これじゃあ速水だけ良いとこ取りじゃないか。
- Re: 聖愛戦争。 <Chapter 1 更新中> ( No.22 )
- 日時: 2015/09/25 18:01
- 名前: 村雨 ◆nRqo9c/.Kg (ID: HTruCSoB)
◇
ファミレスを出た私は、片側二車線道路の脇の歩道を歩いていた。隣には速水くんがいる。
彼には送ってもらうなんて悪いと何度も言ったのだが、マリナや聡美が折角なんだから送ってもらいなよーと囃すので、結局断りきれなかった。
既に陽は落ちていて、漆黒の闇が空を覆っている。灰色の重たい雲に隠れて、星はあまり見えない。
まさか二人きりになるなんて。こんな時は、わざわざごめんねくらい言わないといけないのだろうが、どうも話しかける勇気がない。駅まで送ってくれるという時点で、少なくとも彼は私に悪い印象を持ってはいないようだったけど、それで余計気恥ずかしい気持ちが募った。
人通りはそれほど多くなかった。前方に部活帰りと思しき中学生三人組が見えるだけで、車道も時折車が横を通り過ぎていくくらいだ。じっと耳を澄ませば、速水くんの息遣いまで聞こえてきそう。私の人生で、息をするのにも気を遣う瞬間がやってくるなんて。
「ちょっと寒いね」
「うん。もう十月だもんね」
二人になった途端、会話は物足りないものとなる。こういう時って、何を話せばいいのだろう。話題話題話題……。駄目だ。何も思い浮かばない。
肌寒い風が吹く。速水くんはジーンズのポケットに両手を突っ込んだ。ファミレスではずっと座っていたからよく分からなかったけど、今こうして道路側を歩く彼は背が高いのだと気付いた。
「三木さんてさ、」
ファミレスを出て五十メートルほど行ったところで、彼が口を開いた。
「なんつーか、最初落ち着いた感じなのかと思ってたけど意外と人見知りなんだなって」
「そ、そうだねー」
私はとりあえずへらっと笑ってみせる。何だ、人見知りと思われているのか、よかった。そう思われている方が気が楽だ。実は男子慣れしてなくてあたふたしてただけなんて、口が裂けても言えなかった。
「本当に? よかった」
彼がくしゃりと笑う。私はうんうん、と大げさに相槌を打った。
「じゃあメルアド教えて」
「え?」
「駄目?」
駄目という理由は見つからない。この人は私に気があるのだろうか。鼓動が速くなっていくのが分かる。この音、速水くんにも聞かれているかもしれない。
「駄目、じゃないよ」
彼は気持ちよく笑い、「よっしゃー」と呟く。よっしゃー、だって。私のメールアドレスにそこまでの価値があるのだろうかと少し不安になったけど、彼につられて私も笑った。
鞄から携帯を取り出す。鼓動は益々速くなっていく。だって、今まで男子と話すことすらまともになかったのに、急に進展しすぎというか。しかもこんなキラキラした人。脳みその許容量が追いつきそうにない。途中のステップを踏まずにホップしていきなりジャンプしたみたい。しかも高層ビルの屋上から。
携帯を持つ手が震える。こうして恋愛は始まっていくのだろうか。
<Chapter 1 完>
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