コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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微妙な短編集【リクエスト募集中!】
日時: 2016/02/01 20:57
名前: ガッキー (ID: okMbZHAS)

微妙な短編集です。大体一話か二話で終わります。面白かったら「良いね」とか「YES」とかいっていただけたら続き書きます。自由にやります。
もう一度言います。微妙です。
あと、更新が遅かったり、誤字脱字がある時あります。笑って許して!
頑張ります(‾+ー‾)

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Re: 微妙な短編集 ( No.1 )
日時: 2015/11/04 22:39
名前: ガッキー (ID: 1866/WgC)

違うジャンルの物語を混ぜると、大抵ロクな事にならない。
それは、この物語の主人公である山田一(やまだはじめ)が身を持って知ったーー思い知った教訓である。




「・・・あれ?」
退屈な午後の授業中。一は机に肘を付き、うつらうつらと船を漕いでいた。
睡魔に負けて数秒目を瞑ってから、いやいや、やっぱり授業中に寝るのは駄目だよな。と思い直して目を開けた。開けたのだ。
それだけの行動で、何故自分は荒野の真ん中に立っているのだ?
「寝ちゃったかな」
だとしたらこれは明晰夢というヤツだ。一は今まで一回も明晰夢を見た事が無いが、多分そうなのだろう。
貴重な体験だし、少しゆっくりしよう。そう思った一は、荒野を散策する事に。
進んだり戻ったり、しゃがんだりして数十分の時が経った頃。一は何かが可笑しい事に気付いた。
「ここは、・・・荒野じゃない」
ならば何なのか。風に吹かれて宙を舞う砂のと地面以外には何も無いここは、荒野でなければ何なのか。

「ここは、町だ」

唾を飲み込んでから、一はそう言った。
正確に言うならば、ここにあるのは砂と地面だけではない。
例えば、今一が踏んでいる地面の土を払ってみよう。
土の下からは、コンクリートが出てくるのだ。
例えば、その土をすくってみよう。
その土には、煉瓦の欠片のような物が混じっているのだ。
自分の夢ながら、変な夢を見ているモノだ。何で夢なら、もう少しファンタジィな景観にしなかったのだ。一は自分の脳に文句を垂れる。
しかしまぁ、これも少し興味が出てきた。自分の考えが正しいなら、『何故こうなった』のかも知りたい。
「町ねぇ」
呟く。
(というか、僕以外に人はいないのか?)
現実では幼馴染みの文香(ふみか)のボケにツッコミを入れたり、逆にボケてツッコまれたりしていた(つまりは、僕の周りには誰かしら友達がいたのだ)。
周りに誰もいないというのは、珍しい。
ついでに人も探してみると良いかもな。
「誰かいませんかー?」
ここは荒野。呆れる程何も無い。視界は三百六十度良好。見渡す限り、というヤツだ。
そんな場所に人が隠れている筈も無く。
「人はいないか」
「人は、な」
「ッ!?」
突如として背後から聞こえた声に驚き、振り向いた。
「何を驚いている」
(いやいや、僕じゃなくても普通驚くだろう。目の前に自分の何倍もの大きさの怪物がいたら!)
ジリジリと、顔は怪物の方へ向けて後ずさる。夢にしてはリアル過ぎるし、夢だと分かっていても怖い。
ツルツルの紫色の肌に、額から生えたドリルのような二本の角。紅い瞳に鋭い牙。
月並みの、しかし実際出会すと恐ろしい事この上無い怪物が目の前にいた。
「逃げるのか?」
怪物は一を試すように問うてきた。僕はその言葉に、足を止めた。
逃げられない。否、逃げ切れないのだ。どんなに全力疾走しても、そもそも歩幅が違う。それに加えてここは荒野。足元は悪いし、物を陰に走る事も出来ない。
怪物の目的は分からないが、一は追い詰められていた。
「目的は?」
一は怪物を何て呼んだら良いのか分からず、そう言った。
怪物は、笑顔で返した。
「この世に存在する人間を・・・全て食い殺す事だ!!」
何の前触れも無しにグワッ!!と怪物が大きく口を開けて一に迫る。
「ッ!・・・・・・」
あ、詰んだ。投了。
僕は目を閉じて空を仰ぎ、襲い来る怪物の餌にーーーーはならないのだった。
僕の頭に怪物の歯が触れる直前。怪物の進行方向が真横にズレる。一の隣の地面に怪物が激突し、土が捲れる。一は砂が制服に掛かりながらも、何とか無傷で済んだのだった。
「ぬぅ?」
そこから起き上がった怪物は勿論、一も不思議そうな顔をする。
「危なかったわね」
太陽の光を背に颯爽と、誰かが登場した。
一との距離が縮まる事により段々と明らかになるその正体は、少女だった。軽装的な鎧を着込み、眩い金髪を後ろで束ねた美少女だった。
「私がいなかったら死んでいたわよ」
そう言っている間に、怪物が少女を後ろから丸呑みしようと口を開けていたのだが、少女が手に持っていた(冗談のように銃身の長い銃)によって吹き飛んだ。因みに少女は発砲時に怪物の方を見ていない。ノールック何たらというヤツだ。
「君は・・・」
死から逃れた事による安堵と、いきなりの展開に早鐘を鳴らす鼓動に振り回されながらも一は少女に問うてみた。
「私はシャル。アレみたいな怪物を世界中から全滅させる旅をしているの」
少女は、事もなげにそう言った。
世界中って・・・。そんな小さな身体と大きな銃であの怪物と相手取っているというのか?
「頭可笑し・・・凄いね、君」
つい、ボケてしまう。決して本音ではない。
「おや、目の前に怪物がいるわね」
その瞬間、少女の瞳がギラついた。
「悪かったよ!訂正するから!」
「もう遅いわ」

ズドンッと、重低音が耳に入る。思わずしゃがみ込んだ。
それから一瞬、一秒、十秒と時間が経過する。
「・・・あれ?」
痛くない。外れたのだろうか?いやしかし、こんな近距離で外すか?その答えを知る為にも一は身体を見回す。
「嘘、だろ・・・」
真っ先に見た自分の腹。そこには、半径二センチ程の穴が空いていた。
少女の方を見た。何故か少女も驚いたように目を見開いている。僕は思わず助けを求めるように、少女の方へ近付いた。
「何で、アンタ動いてるのよ」
後ずさりながら「まさか本当に怪物?」と少女は一に問う。
驚いたというよりかは、怯えているようだ。
痛みはあまり感じない。それが、痛みが麻痺しているからなのか、それとも元からあまり痛くないだけなのか。一には区別の付けようが無い。
しかし、自分の傷口を真顔でまじまじと見れる程、一はグロに対する耐性は無い。スッと目を逸らしながら問う。
「な、何これ」
「私が聞きたいわよ」
「何で僕にこんな事ーー」
自分の傷口を指差し、問い詰めようとした瞬間、
「傷口が、無い・・・」
事に気が付いた。
先程迄痛々しい傷口が広がっていた筈の腹部には何も無く、ただ自分の腹筋も脂肪も無いペラっとしたお腹があるだけ。触っても何ともない。
(何なんだよさっきから・・・!夢にしてはリアル過ぎるぞ!)
動悸は早まっているし、汗だって額から出ている。喉も渇いてきた。夢にしてはリアル過ぎるし・・・正常に働いていないのは痛み位か。
「ゆ、夢。これは夢だ。さっき自分で言ってたじゃないか」
自分に言い聞かせる。まるで、理解してしまった現実から目を背けるように。
少女が「何言ってるの?」と声を掛けてくるが、一は聞こえていないフリをした。
「少女が銃を持っているなんて有り得ないし、怪物が現れる事も有り得ない。発砲されるのも有り得ない。僕の身体に穴が空くのも有り得ない。ましてや、その傷が知らない内に治っているのも有り得ない」
そうだ、現実的に考えよう。夢以外にどんな可能性がある。
怪物がのっそりと立ち上がっているのも、別に気にしない。
怪物が丸太ように太い腕を振り回して僕を押し潰そうとしているのも気にしない。
怪物の腕に押し潰されて身体が動かないが、気にしないのだ。少女の悲鳴も、所詮は夢だ。気にするだけ無駄だ。

嗚呼、夢なら早く覚めてくれ。

Re: 微妙な短編集 ( No.2 )
日時: 2015/11/04 22:44
名前: ガッキー (ID: 1866/WgC)

(そもそもだ。僕にはこんなジャンル向いていないじゃないか。
何夢を見てるんだ。
僕には、文香と馬鹿やって笑い合うだけのーー言うならば『コメディ』と世間一般から呼ばれるジャンルがお似合いだ。こんな『バトル』系何て呼ばれる筋合いは無い)
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・うん?」
そこで一は、頭の中で引っ掛かっている物がある事に気が付いた。
ジャンルが違う?

『コメディ』
と、
『バトル』

『僕の日常』
と、
『誰かの非日常』

(何だ、何かが引っ掛かっている・・・)
「夢じゃないわよ、現実よ現実」
少女が何か言っている。しかし、これは夢。誰かの言う事を信じる方が馬鹿なのだ。
『コメディ』にあって、『バトル』にあってはいけないモノ。『コメディ』では当たり前で、『バトル』では有り得ないモノ。『コメディ』では許されて、『バトル』では許されないモノ。
一が、脳内で何か仮定を構築させようとしていた時、突然脳裏に日常がフラッシュバックする。

『なんでやねん!』『痛いよ!ツッコミに脇腹を狙った的確なフックはどうかと思うよ!』
『誰がねぼすけじゃああああああ!!』『三階から突き落とすとか正気かよ!?』

「・・・・・・そうか」
それを切っ掛けに、ピースが全て繋がった。
確かに、『バトル』でこれをやったら反則だよな。
『コメディ』から見た『バトル』が非日常なら、
『バトル』から見た『コメディ』もまた非日常なのだ。
僕にーー『コメディ』にとって当たり前な瞬間治癒。的確なフックを決められても元気なツッコミを入れられるし、三階から突き落とされても笑いで済ませるイカれたシステム。オマケに、痛みも笑いで済ませられるレベルときた。
どんな攻撃を仕掛けても笑っている『コメディ』何て、『バトル』側からしたら恐怖以外の何者でもないだろう。
「・・・・・・質問に答えなさい!アンタは何者なの!?」
今更のように、少女が銃口をこちらに向けて怒鳴っている事に気が付いた。
這いつくばっていた姿勢をやめ、起き上がる。身体に異常は無い。むしろ、異常が無いのが異常なのかも知れない。
「確かに、これは夢じゃないみたいだね」
「そうよ、現実なの!」
『コメディ』側の人間だから、撃たれても潰されてもほぼ瞬間的に治る。治ってしまう。
「はは、ははははははははははは!!」
どうやら僕はいつの間にか、おかしな世界に来てしまったらしい。

一が悟った通り、これは夢ではない。現実なのだ。
リアルな明晰夢でもない。存在する世界なのだ。一の住む世界とは違う、『バトル』系の世界。

「来いよ、怪物!僕が相手してやるから!!」
怪物に向かって言い放つ。人間、勝ちを確信すると強気になるのは常だ。
美少女か気持ち悪い怪物、どちらかを相手するかなら、断然怪物だ。
(あの少女は後で良い。怪物が先だ)
「ちょ、待ちなさい!何をトチ狂っている訳!?アンタがあの怪物に敵う筈ないじゃない!!」
少女が怪物の方へ歩き出そうとした一の前に立ち塞がるが、一はそんな少女の肩を掴んで自分の後ろに押した。
それから、キメ顔で言う。

「良いか?君はそこで大人しく見ていろ。バトルとは無縁の世界で生きてきた僕が、巨大で強大な怪物を倒す姿を!!」


絶対に死なない『コメディ』の人間と、巨大で人々から恐れられる『バトル』の怪物の戦いが始まる。





完。

Re: 微妙な短編集 ( No.3 )
日時: 2015/11/05 11:43
名前: ガッキー (ID: YzSzOpCz)

これは誰もが体験しうる話である。だからこそ、様々な物語が生まれる。
この物語も例外ではないのだと、主人公である各務原亨哉(かかみがはらきょうや)は確信している。




「ひ、引っ越しだとぉぉ!?」
親父と母さんと、久し振りの一家団欒となった夕食の席。親父がいつもの仏頂面で言った言葉を、オレは驚きのあまり繰り返していた。
「あぁ、そうだ。もう決定した」
「何でオレに一言言ってくれねぇんだよ!」
「言ってどうなる」
「そ、そりゃあ・・・」
どうにもならない。一端の高校生が、家庭の大事に口を挟んだ所で影響力は無い。オレはそれを分かったので、次の言葉が出ない。
だからって、何も言わないのはどうかと思うが。
仕方無く母さんに問う。
「母さんは引っ越しに賛成なのか!?」
「えぇ、だって母さんは知ってたもの」
「ひっでぇ・・・」
ガックリと肩を落とす。何だよ、知らなかったのってオレだけかよ。道理でさっきから顔色一つ変えない訳だ。
「引っ越しっていつだよ」
「明日だ」
「ハァ!?」
「お父さんの仕事の関係上、明日に行かないと間に合わなくなっちゃうのよ〜」
頬に手を当てながら母さんが補足を入れた。
いやいや、馬鹿かよ。明日行くんだったら尚更オレに一言言ってくれよ。部屋の準備も心の準備も出来てねぇよ。どうすんの?オレの部屋のエロ本。持っていく訳にもいかねぇだろうし。
「荷物は?だってまだ荷造りとか何もしてねぇだろ?」
「引っ越し屋さんに全部任せちゃった〜」
「任せちゃったの!?」
「うむ。俺達は明日、車で引っ越し先に行くだけだ」
トントン拍子に話が進む。マジかよコイツ等。オレが友達に別れの挨拶をする事とか何も考えてねぇよ。
うーん。まぁ、決まっちまったモノは仕方無いのか。今更どうこう言っても何も変わらない訳だしな。ポジティブに行こうや。
「そ、そうだ」
オレは焼きジャケを一口囓り、咀嚼して飲み込んでから、
「引っ越し先ってどこなんだ?」
その問いに、親父は珍しく口角を少し上げながらこう言ったのだった。

「喜べ。北海道だ」




夕食も終わり、部屋に戻ったオレはベッドに腰掛けて頭を抱えていた。
何だよ北海道って。ここ神奈川県だぜ?どんだけ遠くに引っ越すんだよ。大体、北海道に引っ越して喜べる所って何だ?美味しいモノがいっぱいある。雪が見れる。搾りたて牛乳飲み放題。
あれ、なんか某国民的コミックス並みにワクワクしてきたぞ。良い所じゃん北海道。

閑話休題。

何はともあれ、世話になった友達には連絡しないといけないよな。
世話になったと言えば・・・奏衣(かなえ)か。ガキの頃から一緒だったし。
最近はあまり遊んだりはしてねぇけど、まぁ電話くらいはしておくか。
スマホをシュンシュンやって、コール。
『・・・もしもし?この番号は、亨哉?』
「悪りぃな、いきなり」
『うん、別に良いけど・・・。それよりも、電話代もったいないから今から行くよ』
気軽にオレの家に行くと言う。
まぁ、家が隣だから仕方ねぇのか。
異性の幼なじみがいて、しかも家が隣で親同士の交流もあるという、アホみたいなーー昨今の日本ではあまり見られないような環境がリアルにあるのだ。
小さい頃から奏衣は、オレが悪さをすると意地でも止めて、オレが危ない事をしようとすると意地でも止める奴だった。・・・ヤバいなコイツどんだけ意地になってんだよ。
冗談はさておき、世話になったのは紛れもない事実だ。
そうこうしている内に、奏衣が来たらしい。母さんの驚いた声がここまで聞こえてくる。

それにしても、母親が他人と話す時って何であんなに声高くなるんだろうな。


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