コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- TRUMP
- 日時: 2016/03/20 16:00
- 名前: 鈴 (ID: bUOIFFcu)
彼女は、唐突に私の目の前に現れた。
「よし決めた!君を魔法少女として歓迎するっ!」
...魔法少女なんて幻想が、現実になりました。
***
初めましての方は初めまして。
そうでない方も一応初めまして←
鈴と申します。
今回はファンタジーものになっております。
ただ、何しろ書いたことがないので拙いものになるかと思います。それでも最後までお付き合いいただけたら幸いです。
それでは。
- Re: TRUMP ( No.1 )
- 日時: 2016/03/20 16:13
- 名前: 鈴 (ID: bUOIFFcu)
prologue 少女は夢を見たかった
神様…と言うと、どのような姿を思い浮かべる?
ゼウスみたいな全知全能?
白い髭と髪を伸ばしてフォッフォッフォッとか言ってる馬鹿でかいやつ?
美しくて純白な女神?
何でもいいけど、とにかく神様は人間より凄くて、神様は人間とは違う何かを持ってる、そんな風に考えるよね?
——では、人間がもし、努力次第で神様になれるのだとしたら?
これは、神様になりたいと願った、魔法少女のお話。
***
「んじゃあ、今日はここまでな」
「えー!もっと読んでよ、おじいちゃん!」
「まあまあ、明日も未帆がバイオリン頑張ってたら、続きちゃんと読んでやるから。頑張るんだぞ」
「うー...。...うん、わかった、頑張る」
「よしよし、未帆はいい子だな。それじゃおやすみ」
「おやすみ〜」
...............。
あの絵本も。
おじいちゃんも。
絵本に夢を見たわたしも。
一体何処に行ってしまったんだろう?
どうしてわたしばっかり。
どうして、よりにもよってわたしの周りばっかり———。
神様なんて信じたくない、いるわけない。
神様は誰にでも平等にチャンスをくれるんでしょ?
だったら、今のわたしの状況こそおかしいんだから、いるわけない。
なのに。
なのに。
...なのに、
「ああ、君のおじいちゃんが死んじゃったことについては、その専門の神に聞いてみないとわかんないな」
神様っていうのは、ちゃんと、存在したらしい。
- Re: TRUMP ( No.2 )
- 日時: 2016/02/14 15:55
- 名前: 鈴 (ID: bUOIFFcu)
episode.1 魔法世界へは突然に
「じゃあ、来週からのテスト、頑張るように」
先生の言葉が右の耳から入って左の耳から抜けていく。
ああ、来週ってテストだったっけ…なんてぼんやり考える間も無く、学級委員の号令で起立と礼をした。金曜日の帰りの会が終わったわけである。
ぼんやりしながら帰りの支度をしていると、親友の七果が話し掛けてきた。
「未帆〜、土日どうする?勉強する?」
ぼんやりしたまま、七果の質問に答える。
「んー…どうしよ。七果は?」
「あはは、あたし勉強なんかしないよ。絶望的に出来ないし」
「そっか…じゃあ、わたしもしない」
「え、マジ?珍しいね、未帆?」
「うん…」
「…未帆?」
ただなんとなく、七果の話に答えていたら、七果が がばっとわたしの顔を覗き込んできた。
「ねえ、未帆?どした?」
「え…あ、ごめんっ!で、えっと、なんだっけ?」
なんとか取り繕おうとしても、七果はそれを見逃してくれない。
「未帆、どしたの?なんかぼーっとしてるし、なんかあった?ていうか、ここ最近ずっとそんなんじゃん」
七果の言葉に俯いてしまう。
1週間前、うちのおじいちゃんが死んだ。わたしは実業家でお金持ちだったおじいちゃんの援助のおかげでバイオリンをずっとやってきた。バイオリン自体特に好きでもなかったけど、おじいちゃんは大好きだったから頑張ったのに…頑張る理由がなくなってしまって、どうしようもなくなって。バイオリン…やめちゃおうかな、と考えていたのだった。
七果は、わたしと一緒にずっとバイオリンをやってきた。わたしなんかより七果の方がずっと上手で、わたしはその後ろを追い掛けていっていたわけだ。一度だって追いつけやしなかったけど。
「未帆?」
「ううん。何でもない、ごめんね」
「何でもなくないでしょ。最近なんかおかしいのに、何でもなくないよね」
そういえば最近ずっとこんな感じだった気がする。ぼーっとして、ふわふわして、どうしようもない倦怠感にずっと包まれてる感じ。
おじいちゃんが死んだのは、わたしにとってそれくらいに大きなことだった。
- Re: TRUMP ( No.3 )
- 日時: 2016/02/14 15:57
- 名前: 鈴 (ID: bUOIFFcu)
昔からずっとおじいちゃんが大好きで、おじいちゃんとの思い出がたくさんあって、大切な「あの」記憶があって…少なくとも誰かにやすやすとは話せないほどの思いがあって。
「未帆。あたしのこと信用してないの?親友じゃないの?それとも何か後ろめたいことなの?ねえってば」
語気を強める七果。
少しだけ苛立っているのがわかる。
バイオリンをやめよう、なんて…七果に話せば反対されるに決まってる。
「親友の七果にだってわかんないことは、あるよ」
「…それどういう意味?話してよ」
「七果…もうやめて、お願い…ひとりにして」
「無理だよ。親友が悩んでるのに、そんなの」
七果に肩を掴まれて、真っ直ぐから見据えられる。
「………っ」
「ちょ、ちょっと未帆!?」
責めるような視線に耐えられなくて、気がつけば私は、七果を振り切って走り出していた。
既に支度を終えていた荷物を持って、校舎内を一気に駆け抜ける。
頬には涙が流れていた。
泣くつもりなんてないのに、涙が止まらなくて、顔をぐしゃぐしゃにしながら全力で疾走する。
どうして。
どうして!
どうして死んじゃったの!
わたし、おじいちゃんがいないと何も出来ないのに!
わたし、おじいちゃんのおかげで、これまで頑張ってきたのに!
どうして!!
校門を抜けて、何処へ行くとも知れずに、ただただわたしは走り続けたのだった。
***
「...ここどこだろ」
- Re: TRUMP ( No.4 )
- 日時: 2016/02/14 22:41
- 名前: 鈴 (ID: bUOIFFcu)
気づけば、あたりは陽が落ちかけて結構暗くなっていた。
走り出してから少しして、わたしはいつの間にか走るのをやめ、泣きながらどことも知れない道を歩いていた。そして時間など気にせず歩いた結果がコレである。
とりあえずスマホを取り出すと、七果とお母さんからの着信が凄いことになっていた。七果からは、言わずもがな今日のことについて。お母さんからは、早く帰って来なさいという催促の文章。見ているだけで頭が痛くなる。
…ああ、もう…どうでもいいや…。
いっそこのまま、ここで朽ち果ててしまいたいとすら思う。
わたしの生きる意味だったおじいちゃんが死んだら、わたしに取って生きる意味など無いも同然だ。じゃあもう死んでもいいか…なんて考えて、ガクッと膝を折ったその時。
「やあ」
…!?
- Re: TRUMP ( No.5 )
- 日時: 2016/02/18 17:13
- 名前: 鈴 (ID: bUOIFFcu)
目の前に誰かがいた。
視線は下に落ちていたから、足だけが視界に入る。反射的に顔を上げると、女の人が立っていた。
女の人…というより、少女?
身長は私と大して変わらなさそうだけど、顔が幼い。すごく童顔だ。
だけど、なんか纏う雰囲気が大人のそれなので、よくわかんない少女だ、なんて思う。
その少女、アイドルみたいなフリッフリ衣装を着ていた。さらにその服、アイドルもびっくりするくらい至る所にハートマークがついている。おおよそ、普通に出掛けてきた人とは思えなかった。
それにこの少女、顔を見ると、頬のところにまたハートマークがついている。
いや、頬だけじゃなくて…目も?
カラーコンタクトの類いなのか、目にハートマークが入っていた。
夕方にこんな格好して外を出歩くとは…なかなかイタい人だな…と思ったが、言えるはずもない。
不自然にどもってしまっていると、その少女から喋り出した。
「…君、泣いたの?」
あ…。
あまりに目の前の少女の格好が突飛すぎて忘れていたが、おそらく今の私の顔は涙でぐしゃぐしゃだろう。
いくら知らない人とはいえ…いや、知らない人だからこそ、見られたくなくて俯いてしまう。
「下向いてないで、これで涙拭きなよ」
さっと目の前に差し出されるハンカチ。これもまたフリフリレースとハートマークがあしらってあった。徹底してるなぁと最早感心しつつ、「ありがとうございます…」と受け取った。
すると、少女は少し嬉しそうにして話し出す。
「おお、今、『ありがとう』って言った?」
「え…言いましたけど」
「じゃあ、多少は僕に恩義を感じてくれてるのかな?」
僕?
え…女…だよね?
いわゆる僕っ娘ってやつなのだろうか?ますますイタい…。
ただ、少女が何も気にする様子がないので一応言及はしないでおく。
「はい、まあ」
「おおー、そっかそっか!じゃあひとつ…こう言ってはなんだけど、お願いを聞いてはくれないか?」
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