コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- そんな君に、ずっと好きだと叫びたい。
- 日時: 2016/04/03 00:00
- 名前: スプリング (ID: P.nd5.WZ)
初めまして、スプリングと申します。
これから長編小説を執筆させていただきます。ジャンルは恋愛。高校生が繰り広げる物語で、王道の青春を目指しています。
はっきり言って筆者には文才がありませんので、それでも読んでくださるという方は心構えのほどよろしくお願いします。
▼注意事項
・本作は、初心者が書いた駄作です。
・更新は亀さんペースです。
・所々、誤字脱字があります。
・感想やアドバイスは大歓迎です。
・荒らしやなりすましはお断りです。
▼目次
プロローグ >>1
#1 >>5 >>8-15 >>18-26
▼お客様
こん様
てるてる522様
あかり様
では、スタートです。
- Re: そんな君に、ずっと好きだと叫びたい。 ( No.17 )
- 日時: 2016/03/17 22:25
- 名前: スプリング (ID: .wPT1L2r)
>>16
あかり様
コメント、ありがとうございます。読んで、感想まで頂けて幸いです。
上から、と言っても私にはあまりある褒め言葉の数々に、大変恐縮いたします。
文章も未熟な上、キャラクターの設定もまだまだ不安定です。小説も筆者も見苦しいかもしれないのに、こういった励ましのメッセージを貰えるなんて、筆者は幸せ者ですね。
せっかくのご声援を裏切ることのないよう、これからも更新、がんばらせていただきます。
- Re: そんな君に、ずっと好きだと叫びたい。 ( No.18 )
- 日時: 2016/03/17 23:40
- 名前: スプリング (ID: .wPT1L2r)
「おいお前! なんて名前なんだよ!」
キレながら人の名前を聞く……、新たな親睦の深め方だろうか。
いや、違う。ショーちゃんは、男の子は自分の名前を知っているであろうと考え、それなのに自分は男の子の名前を知らない──。それは不公平、不利ではないかと思ったのではなかろうか。
口論をする上で、相手の名を知っておくことは大切だ。相手を呼ぶときや、バカにしたりあだ名をつける場合にも役立つ。名前さえ分かれば、呪うことだって容易にできる。
一見したところ単細胞のショーちゃんはそう考えたのだと、私にはすぐに分かった。
──いや、私だけでなく、彼の幼なじみである澪はおろか、上記のセリフを聞けば誰だって悟れるだろう。
それくらい、隙間や穴だらけのショーちゃんの思考はだだ漏れなのだ。
「……久倉龍(ひさくら りゅう)だけど」
男の子──久倉くんは、ショーちゃんの強引な質問に逆らうことなく、素直に名前を明かした。
ブレザーの胸元につけた名前札も見せてくれる。
「久倉、龍……」
初めて聞く名前を、ショーちゃんは噛み締めるように口にした。
同時に、どんなあだ名にしようか、どういじろうか、とショーちゃんは考えているようだった。
「ひ、ひさ……りゅ、りゅーう……りゅう、龍!」
結局、下の名前を呼び捨てにする、という結論に至ったらしい。
おもしろみのかけらもないけれど、久倉くんのことを考えるとそれが一番いいあだ名だろう。
「よろしくね、龍!」
澪はショーちゃんの親睦らしき久倉くんへの絡みに乗っかって、彼と交流しようとする。
その様子は、女子がませているとかそういう類のものではなくて、ただただ友達になろうとしているように見受けられた。
──そう、私に親しくしてくれたときみたいに。
「ほら、葉子も挨拶しなきゃ!」
悪く言えば、なれなれしい。けれど、澪は人懐っこいのだと私は思う。
人一倍、人が好きで、人一倍、人と接するのが好き。
澪はきっと、そんな子だ。
- Re: そんな君に、ずっと好きだと叫びたい。 ( No.19 )
- 日時: 2016/03/18 22:44
- 名前: スプリング (ID: .wPT1L2r)
「えっ、えー……えっと──」
澪からの突然の振りに、私は驚いて困惑する。慌てふためく、とまではいかないけれど、内心慌てたし焦った。
なにを言えばいいんだろう──。
「……よろしく」
結局、大したことは言えなかった。
なにを言うか一応考えはしたけれど、気の利いたことが一つも頭に浮かばなかったのだ。
「なにそれー、つまんなーい」
間延びして言われて、私は気分が沈んだ。いかにもめんどくさい、と言いたげな口ぶりだった。
がっかりさせちゃったんだ……。
久倉くんにどう思われたかより、澪に見限られたのではないかという方が不安で心配だった。
高校で初めてできた友達を、できて直後に失いたくない。その気持ちが根強く私に植えつけられていた。
しかし、余計な心配などする必要はなかった。
澪は悪気があってああ言ったのではなく、場の雰囲気を考えて、むしろ私がそれ以上変にツッコまれないよう先に口を出してくれたようだった。
その証拠に。
「でさでさ、龍はどこ中なのー? 遅刻して、走ってきたってことはこの辺に住んでるの?」
澪はもう話題を変えている。
今は久倉くんのプライベートなことに興味津々のようだ。
と、思いきや。澪は刹那、私を見て瞳を光らせた。なにか思いついたようである。
「葉子は? 家はどこにあるの? 近所? 遠くはない? そういえば聞いてないよね!」
クールな久倉くんは置いておいて、澪は私に質問攻めをしてきた。
その質問を一つ言うごとに、澪は自分の机から身を乗り出していた。
興奮しすぎでしょ……。
私は、ひとまず落ち着いて、と椅子に座るよう澪を促す。
澪は渋々席に座り直したけれどまだ興奮覚めやらぬ感じで、瞳に希望の光を溜めていた。
そんな澪に失笑しつつも、私は質問にちゃんと答えた。
「近所だよ。走れば数分で来られるくらい」
寝坊しても、必死で走ったらぎりぎり遅刻はしないと思う。
……まあ、私は寝坊しなくても遅刻したのだけれど。
「そーなんだー! ちなみに私とショーちゃんはね、バス通だよ! 案外遠いんだー」
にこにこ、無心に笑う澪はまるで幼児だ。もちろん、今始まったことではない。
そして、一瞬にしてその顔をぱっと久倉くんに向けた澪は、またあの質問をする。
「で? 龍はー?」
机にひじをついて、満面の笑みで久倉くんに目を向ける澪。
その積極さがうらやましいよ……、と私は心中でつぶやく。
今日出会って、初めて話す人に対して、こうも軽く親しげに接することが、私にできようか。しかも、相手を呼び捨てにして、だ。
──できない。
私には無理だ。とてもまねできない。
これは澪の長所であり、特技であり、自慢である。
それと同時に短所でもある、と私は思った。
「……あんたウザい。俺、電車だし」
だって、一部の人にはこう拒絶されてしまうのだから……。
澪のフランクでフレンドリーなその性格は、いいところもあるし悪いところもある。
- Re: そんな君に、ずっと好きだと叫びたい。 ( No.20 )
- 日時: 2016/03/21 15:32
- 名前: スプリング (ID: P.nd5.WZ)
一人静かにしばらく黙り込んでいたショーちゃんは、なにか結論が出たように口を開いた。
「龍、仲よくしようぜ」
急な態度の豹変に、私も澪も驚きが隠せない。問題の久倉くんはというと相変わらずの冷めた顔で、動じた様子はなかった。
「ど、どしたの? ショーちゃん」
目を点にした澪が、恐る恐る質問する。
それに対してショーちゃんは「ん?」と眉をぴくりと動かして反応する。そしてこう答えた。
「まあ……、相性よさそうだし?」
……はい?
相性よさそう、ですと?
そんな不確かで曖昧な理由を信じて、溢れんばかりの怒りまで沈められるの?
しかも、なにを根拠に相性がいいなんて言えるの? さっきまで彼に憤っていたではないか。
一体どういう風の吹き回しだ。
「どゆこと?」
私と同じように澪も口をぽかんと開けて、疑問をぶつける。
「昨日の夢に、龍が出てきたんだよ」
夢? 夢、って……寝ているときに見る夢?
ショーちゃんが夢で、会ったことも見たこともない久倉くんを見たというの?
「あ、龍って『竜』の方の龍な」
龍……、竜……。
そっちかい!
「ものすごくでっけーのが出てきて、俺を背中に乗せてってくれたんだよっ!」
思いっきり気持ちいい空の旅ができた、とショーちゃんは鼻息を荒くして言う。
澪も私も、はたからも見て取れるくらい呆れ返っていた。本当に、ショーちゃんはわけが分からない。頭がおかしい。……と。
だってつまり、その夢が原因で態度を変えたわけでしょ? 仲よくしなさい、という予知夢かもしれないと思ったわけでしょ?
夢に左右されるなんて、見た目と違ってショーちゃんは案外メルへンだ。
「そういうことだから、よろしくな!」
ショーちゃん久倉くんと強制的に握手すると、満足げに自分の席についた。
完全に自己完結、自己満足である。
久倉くんは顔色一つ変えずにいるけれど、その心情は定かではない。
私が久倉くんだったら、若干失礼なショーちゃんに憤慨する以前に、絶対この展開にはついていけない。冷静でいられる自信がない。
その点、久倉くんはある意味すごいのだと思う。
- Re: そんな君に、ずっと好きだと叫びたい。 ( No.21 )
- 日時: 2016/03/22 22:36
- 名前: スプリング (ID: P.nd5.WZ)
窓際の、一番後ろの席が澪。その隣がショーちゃん。その前の席が久倉くん。そしてその左隣が、私だ。
私たち四人は、特別仲がいいわけじゃないけれど、ほとんど初対面にしては、もうすっかり四人だけの世界ができていた。
四人だけの、他の人が入る余地などない空間が──。
「あーっ! ちょっとショーちゃん、私の机汚した?!」
「はあ?! 意味分かんねー、俺がんなことするわけねーだろ! つかショーちゃんって呼ぶな!」
「こういうことする人はショーちゃんしかいないでしょ!」
「だから違うって! その呼び方も!」
絶対ショーちゃんが犯人だーっ、と駄々をこねる子供みたいに澪は拳を振る。それに対して、まめに反応してまめに返すショーちゃん。
相変わらず二人は、お似合いのコンビだ。言い合いが絶え間なく続く。
私はそんな二人を二人のお母さんにみたいな気持ちで、椅子は動かさず体だけ後ろ向きに座って椅子の背もたれにひじをついて見物する。
見飽きることのない、二人の口げんかの模様──。
目を細めて穏やかに眺めているのは、恐らく私だけであろう。
「……ん」
小さな物音がして横を見ると、久倉くんがのんびりとあくびをしてまた眠る体勢に入ろうとしていた。自分から話題が遠ざかって、もう解放されたと悟ったのだろう。もしかしたら、関わること自体めんどくさかったのかもしれない。
机に顔を伏せた久倉くんからは話しかけるなオーラがむんむん出ている。
「ねえ! 葉子もそう思うよね?!」
「えっ」
いきなり澪がこちらを顧みたので、なんの心構えもしていなかった私はびっくりする。
澪は同意を求めてくるけれど、久倉くんに集中していた私は澪とショーちゃんがどんなことで口論していたのか分からず、なんと答えていいものかと返事に苦しんでいた。
──そのとき。
「お静かに!」
教室中に、よく通る怒声がとどろいた。言葉遣いは上品だけれど、声量や言い方には迫力がある。
威圧感に満ちたその声を発した人物は。
「いいですか、皆さん。よーく聞きなさい……」
黒板の前の教壇に手をついて、教室内を威嚇するように見渡す薄黒いロングヘアーの女性──。
「私は、これからこの一年A組の担任をする、笹木麗子(ささき れいこ)です」
その人は、担任だった。
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