コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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そんな君に、ずっと好きだと叫びたい。
日時: 2016/04/03 00:00
名前: スプリング (ID: P.nd5.WZ)

初めまして、スプリングと申します。

これから長編小説を執筆させていただきます。ジャンルは恋愛。高校生が繰り広げる物語で、王道の青春を目指しています。

はっきり言って筆者には文才がありませんので、それでも読んでくださるという方は心構えのほどよろしくお願いします。


▼注意事項

・本作は、初心者が書いた駄作です。
・更新は亀さんペースです。
・所々、誤字脱字があります。
・感想やアドバイスは大歓迎です。
・荒らしやなりすましはお断りです。


▼目次

プロローグ >>1
#1 >>5 >>8-15 >>18-26


▼お客様

こん様
てるてる522様
あかり様


では、スタートです。

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Re: そんな君に、ずっと好きだと叫びたい。 ( No.12 )
日時: 2016/03/15 00:44
名前: スプリング (ID: .wPT1L2r)

「葉子の席はそこだよ」

澪が、目の前にあった机を指さす。
確かにその机は私の机だ。なぜなら、私の名前の書かれたプレートが置いてあるのだから。

「うん」

よかった、澪の前の席だ。逆に言えば、私の後ろの席は澪。
そして、澪の隣はショーちゃん。私の斜め後ろの席。

身近に友達がいる。心配なことはなにもない。いっぱい話ができるし、楽しみなことばかり。
私は、ひとまず今年一年の高校生活に安心した。友達ができないかも……なんて悩みは解消された。勉強面も、分からない問題があったら聞けばいい。
これで私は、独りぼっちにならなくて済む。

澪はいい子みたいだし、ショーちゃんは澪さえいればなんとかなるだろう。
いい知り合いができてよかった。

私はにこやかに椅子を引いて、指がさされた席に腰を下ろした。
──と同時に。
隣が動いた。

「……ん」

私の、左隣はベランダのある窓側で、右隣は男の子が机に突っ伏して居眠りをしていた。
だから顔は分からない。
でも、その髪には見覚えがあった。

全体のカラーはアッシュグレー。
レイヤーショートではあるけれど、後ろが少し異質な感じではねている。恐らくそれは寝癖だ。

この人って……──。

「ふぁー……」

両手を広げてゆっくりと伸びをして、大きなあくびまでかます男の子。どうやらお目覚めのようだ。
目に涙を溜めてこちらを向いた彼の顔は──。

「あ、ど……ども」

入学式に、私と一緒に遅刻していった人だった。

Re: そんな君に、ずっと好きだと叫びたい。 ( No.13 )
日時: 2016/03/15 22:23
名前: スプリング (ID: .wPT1L2r)

気まずいながらも、私は挨拶をした。初対面ではないのだから、「初めまして」はおかしいだろうと思い、「どうも」を選んだ。
そんな私を、男の子はじっと見つめる。

な、なんか私、変なこと言った……?

それとも、私の顔になにかついているのか。
見つめられれば見つめられるほど不安が募る。私は自分が気になって、そわそわし始める。

「んー?」

急に様子が変わった私を、後ろの澪は不思議に思ったようだった。
澪は、私の隣を見た途端、はっとした。

「入学式に葉子と遅れてきた人だ!」

澪は気づいた。彼が私と同類の人物であることに。

しかし男の子は澪に目を向けられた瞬間、私を見つめるのをやめた。
恐らく、私に見覚えがなかったのだろう。
つまり彼にとって、私とは初対面のようなものだということだ。
この教室内にいる誰しもと同じ程度ということ──。

私が誰だか分からないから、会話する必要もないと踏んだようだ。
再び机に頭を預けた男の子は、すぐに寝息を立て始めた。

無視されたような気になって、私はちょっと寂しさを感じた。

というか、澪の興味がこちらに向くなんて……、この流れは危険な気がする。

「すごい! 入学式に遅刻したコンビが同じクラスで、しかも席が隣同士だなんて……っ!」

澪は瞳をきらきらさせて私たち二人を見るけれど、ショーちゃんは違う。
またあのいたずらな笑みを浮かべて、私たち二人をいやらしい目で見る。

「お前らなに? つき合ってんのか!」

そう言ったショーちゃんに、澪はびっくりしたように聞く。

「え!? 二人って今日初めましてじゃないの?」

そうだよ、そうなんだけど……。あー、ショーちゃんのせいでややこしくなる!

「この人とは、今朝校門で初めて会った。遅刻したもの同士、一緒に行くはめになっただけ。知り合いでなければ、彼氏でもない!」

通常のときよりなるべく声を上げて、澪とショーちゃんに言い聞かせるように私は断言した。

Re: そんな君に、ずっと好きだと叫びたい。 ( No.14 )
日時: 2016/03/16 00:39
名前: スプリング (ID: .wPT1L2r)

「なんかそれって運命みたい!」

私の話を聞いて、澪はつぶらな瞳を輝かせて言う。
希望に満ちたその目を、私はある意味尊敬する。
現実はそんな甘いものではないのだよ……。夢物語みたいなことが私には全く想像できないし、この世に存在するとも思えない。

一方──。

「ちぇっ。なんだよ、つまんねーな」

心の奥底からつまらなさそうに、舌打ちまでして吐き捨てるようにショーちゃんは言った。
冷やかしがしたくてカップルを追い求める……。まるで小学生みたいだ。

「高校生になってもまだそんなだとねぇ、彼女なんてできっこないよ」

私は少し哀れみを交えて、そう言い放つ。
ショーちゃんはモテない男の象徴だ、と。

「あちゃー、今会ったばっかの子にずばっと言われちゃったねー、ショーちゃん」

澪もまた、小学生みたいにショーちゃんをいじる。
本性見抜かれちゃったね! となぜか嬉しそうだ。
きっと、今まで好き勝手言われ続けて、うまく言い返せなかった分の恨みつらみが溜まっていたのだろう。

「うっせー、黙れっ。あとショーちゃんって呼ぶな!」

思いも寄らぬ相手からの思いも寄らぬ攻撃に、ショーちゃんは興奮した様子で必死に反抗する。

無様だ……。
実に無様である。

ショーちゃんの荒れ狂うその姿はまるでヒーローからものの見事にやっつけられた悪者で、無様としか言いようがないくらい「ざまあみろ」な光景だった。

「あっはは! やったね、澪」

「うん! すっきりしたー。ありがと、葉子!」

口が悪い子はすぐ滅びるのよ──。

膝を折り曲げて木の床につけ、黒髪が生えた頭を抱えて撃沈したショーちゃんを前に、私と澪は二人で手を取り合って喜んだ。

Re: そんな君に、ずっと好きだと叫びたい。 ( No.15 )
日時: 2016/03/17 17:14
名前: スプリング (ID: .wPT1L2r)

「……さっきからうるさいんだけど」

突然のハスキーボイスに、私も澪もショーちゃんも驚く。
誰だ? と声が聞こえた方をたどって、三人は私の右側を見た。
すると。

──男の子が起きていた。

机に頬杖をついて、私たち三人をいかにも迷惑だというように眉をひそめて眺めている、隣の席の男の子。
先ほどまで机上に据えた腕に顔をうずめて、すーすーと安定した寝息が聞こえていると思っていたのに……。

「えっと……、私たち?」

どうやら彼は、私と澪とショーちゃんが騒いでいることに対して、「うるさい」と注意しているらしい。
その目が、私たちの姿を確ととらえて、強く訴えている。

「……ごめんなさーい」

首をすくめて、私と澪は謝った。
──けれど。

「知るかよ。んなとこで寝てる方が悪いんだろ」

敵意をむき出しにして、ショーちゃんは男の子に牙を剥ける。
漆黒の瞳が鋭く男の子を射抜いている。
男の子の方もまた、ショーちゃんを見据えていた。冷ややかで、その目からはなんの感情も汲み取れない。

「……なんだよ。なんか文句あんのかよ!」

ショーちゃんは逆上して、完全に自分を見失っていた。
澪がこれ以上男の子に迷惑をかけまいと、ショーちゃんを落ち着かせて止めようとするけれど、興奮したショーちゃんはまるで聞く耳を持たない。

「言いたいことがあるんならはっきり言えよ!」

男らしくねえぞ! とついには説教までし始めた。
こりゃだめだ……、と私は額に手を当てる。澪はむだな制止を諦めて、すっかり呆れ返っていた。

男の子の方はなにも言わずに、ただただ冷淡な目でショーちゃんを見つめている。それがむしろショーちゃんの怒りに火をつけているので、どうにかしてほしいのだけれど……。
人間味を感じられないその表情は、淡い希望の芥子粒さえも粉々に打ち砕く。

Re: そんな君に、ずっと好きだと叫びたい。 ( No.16 )
日時: 2016/03/17 00:22
名前: あかり (ID: .wPT1L2r)

読みました。
どんな背景かが理解できます。普通に描写ができていて、ちゃんと小説になっていると思います。……上から目線ですみません。
ヒロインと澪ちゃんとショーちゃんの会話がおもしろいです。それぞれキャラクターが生きていて、一人一人の性格がよくわかります。
まだまだスタートしたばかりのようですが、おもしろいと感じました。
更新、頑張ってください。応援させていただきます。


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