コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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そんな君に、ずっと好きだと叫びたい。
日時: 2016/04/03 00:00
名前: スプリング (ID: P.nd5.WZ)

初めまして、スプリングと申します。

これから長編小説を執筆させていただきます。ジャンルは恋愛。高校生が繰り広げる物語で、王道の青春を目指しています。

はっきり言って筆者には文才がありませんので、それでも読んでくださるという方は心構えのほどよろしくお願いします。


▼注意事項

・本作は、初心者が書いた駄作です。
・更新は亀さんペースです。
・所々、誤字脱字があります。
・感想やアドバイスは大歓迎です。
・荒らしやなりすましはお断りです。


▼目次

プロローグ >>1
#1 >>5 >>8-15 >>18-26


▼お客様

こん様
てるてる522様
あかり様


では、スタートです。

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Re: そんな君に、ずっと好きだと叫びたい。 ( No.7 )
日時: 2016/03/06 22:32
名前: スプリング (ID: .wPT1L2r)

>>6
てるてる522様

初めまして。コメント、ありがとうございます。
愚作なのに、そんなに絶賛していただいていいのやら……。恐れ多いです。

やはり、主人公一人で入学式は無理がありましたでしょうか。
貴重なご指摘、感謝申し上げます。

てるてる522様は小説をたくさん手がけていらっしゃる方なのですね。
そのような方に読んでもらったなんて、恐れ入ります。

ご期待に添えるよう、これからも精いっぱい更新がんばります。

Re: そんな君に、ずっと好きだと叫びたい。 ( No.8 )
日時: 2016/03/07 17:10
名前: スプリング (ID: .wPT1L2r)

私が入学する高校は、電車もバスも自転車も使わずに、家から徒歩で行けるくらいの距離のところにあった。

昔から地元の子たちはその高校を目指していて、私も物心がついた頃にはそこに通うんだと意気込んでいた。
しかし、意外にその高校は難関で、進路相談のときに私の実力ではぎりぎり到達しないレベルだと知った。
それでも今、こうして入学までたどり着けているのは、紛れもなく自分の実力で、本当は幻なんじゃないかと思った。

けれど、幻なんかじゃない。

現実なんだ──と実感したのは、その高校を実際にこの目で見たからだ。

「すごい──」

私今、夢だったあの高校にいる。
これから毎日、通うんだ。

いかめしい校門の前に『入学式』と達筆に書かれた看板が置かれていて、まるで私を歓迎してくれているように思える。
厳格そうな校門の隣に植えられたやわらかな印象を与える桜は満開で、周囲を優しく包み込んでいた。

やっぱり桜はいいな。

一人でじんわり和んでいると、奥に見える巨大な建物が目に留まった。

──校舎だ。

外壁は全体が真っ白に塗装されていて、少しでも汚れたら目立ってしまいそうだ。
かわいげのない、あるのは清潔感だけのその高校は、いかにも“学校”だった。

これが、私の目指していた高校──。

たどり着いたんだ。
これ以上ない達成感に、口元がほころぶ。
この校門をゴールテープとして、私は今、そのゴールテープを切ろうとしている。

さあ、ゴールだ──。

石造りの校門をくぐり抜けて、両手を広げる。天に向かって伸ばした腕を、ゆっくりと胸の前でガッツポーズに変えたとき──。

「はい君、大幅遅刻だよ」

ごま塩頭の、職員らしき老人に残酷な現実を告げられた。

Re: そんな君に、ずっと好きだと叫びたい。 ( No.9 )
日時: 2016/03/11 21:41
名前: スプリング (ID: .wPT1L2r)

「君も、遅刻ね」

現実を思い知らされた私が絶望的な気持ちでうなだれていると、横でまたおじいさんの声がした。
なんとなく目を向けてみたら、真新しい制服に身を包んだ、自分と同じ新入生とおぼしき男の子が遅刻宣告を受けていた。

その男の子は気だるげで、眠たそうにあくびまでしていた。遅刻したことに対して、全く反省の色が見られない。

しかしまあ、同士がいるだけ、その分心が救われる。

思ったけれど、男の子の保護者らしき人の影が見えなかった。先に体育館に行っているのかもしれないし、もしかしたら私みたいに来ないのかもしれない。

「早く行きなさい」

新入生も保護者も在校生代表も、もうすでに体育館に集まっているらしい。
なんとか折れかけた心を持ち直して、お年寄りの職員から体育館の場所を教わり、初対面の男の子とともに体育館に直行した。

入学式の日に遅刻するなんて、まるで漫画だ。

迷うことなく無事体育館に到着すると、私はおずおずと中に入った。一方男の子はものおじした感じはなく、堂々たるその姿勢には尊敬しかない。
入り口に立っていた先生に声をかけて、自分たちの席に案内してもらう。

若干目立っていたけど。なにごとかとひそひそささやかれていたけど。
その方向は見ないようにして、空席だった椅子に座った。

──あーあ、初日からやっちゃった。

最後まで沈んだ気分でいたため、式の内容はほとんど覚えていない。
ただただ自分に嫌けがさして、親のことをとやかく言える立場ではないことに気づいた。

そうやって自らを責めていると、一緒にここまで来た男の子の座った後ろ姿が目に留まった。ちょうどこの席からは、彼の全身がよく見える。

なんか……もったいないなぁ。

彼を眺めていて、そう思った。
まず、いかにも「寝起き」という感じの髪。アッシュグレーがきれいなのに、後ろ髪が一か所ちょこんとはねている。

──そう、彼は美しいのだ。

それなのに、その美しさをむだにしている。有効利用できていない。
寝癖のついた髪も、曲がった姿勢も、やる気のなさそうな表情や態度も、何もかも。正しさえすれば、きっと活用できるのに。

さっき機会があって正面から見た、やや薄い色の瞳、長いまつ毛、純白の肌、整った顔立ち……。垣間見える彼の美貌は今、野放しにされている。

Re: そんな君に、ずっと好きだと叫びたい。 ( No.10 )
日時: 2016/03/11 22:12
名前: スプリング (ID: .wPT1L2r)

入学式が終わって、新入生にクラス分けが発表された。これから自分たちの教室に行き、担任の先生からホームルーム指導があるという。

一年生は四つクラスがあって、私はA組だった。
中学校までは数字で分けられて一組や二組だったため、アルファベットで分けられるのは新鮮だ。

一年A組。
私は心の中で何度もそうつぶやいた。

教室に着くと、同じ制服を身にまとった男女がたくさん集まっていた。これからをともに協力し合いながら過ごす仲間──クラスメートなのだ。
身だしなみを整えて、私は教室内に足を踏み入れる。

全ての席に、それぞれ自分の名前の書かれたプレートが置かれていた。そのプレートは、後々ブレザーにつけて名前札になる。
私も自分の席を探した。月影葉子、と書かれたプレートがあった。そのプレートの載っている机が、この先私のパートナーとなる机だ。

「私の席……!」

憧れの高校に、私の席がある。
ずっと夢見ていた高校に、生徒として私がいる。
喜びに満ち溢れている胸を両手で押さえて、ゆっくりとその席に近づいた。

──そのとき。

「あーっ! 入学式に遅刻してきた人だ!」

突然、ボリュームもキーも高い声がした。耳をつんざくほどのその声に驚き、私は首をすくめる。
一体なにごとだろう、と思って振り返ると、恐らく大声を出した主であろう女の子が好奇心旺盛な瞳でこちらを見ていた。

こっち……?

私も女の子が見つめる方向に目を向ける。しかし、その方向にはただ窓があるだけで、人っ子一人いなかった。
そこでもう一度女の子を見ると、やはりこちらを見つめている。
誰もいない方向と女の子を交互に見返して、はっとした。

まさか……。

「……私?」

女の子は私に対して甲高い声を上げていたのか。
確かに、「入学式に遅刻してきた人」は私だ。

「そうだよ」

当たり前のように言われて、私はがっくりする。
遅刻って、罪だ。ものすごい代償がついてくる。
こんなに悪目立ちしたことなんて、今までに一度もなかった。

恥ずかしい。

女の子は自分の席に座っていて、無邪気な笑顔を浮かべていた。お花の髪飾りがついたヘアゴムで髪を一つに束ねていて、それが余計に幼く見えた。
そんな女の子の隣に座る男の子も、私を見て笑っていた。しかし、男の子は女の子のように愛らしい笑顔ではなく、いたずらな笑顔をしていた。

──こんな仕打ち、ある?

Re: そんな君に、ずっと好きだと叫びたい。 ( No.11 )
日時: 2016/03/15 00:46
名前: スプリング (ID: .wPT1L2r)

「私、結城澪(ゆうき みお)」

女の子──結城さんが、そう言って白い歯を見せて笑った。
高い位置に結われたその髪型は、言うところのポニーテールだ。
ポニーテールは、結城さんにとてつもなく似合っていて、今まで私が見た中では一番顔とマッチしていた。
ポニーテールがあってこその、この結城さんだろう、と私は思った。

結城さんの隣の席の男の子は、まだ笑っていた。あの意地悪そうな笑顔が憎たらしい。きっと性格も意地汚い人なのだろう。
ふんわりとしたマッシュショートが印象を柔らかくしてくれているのに、残念だ。

「俺は、成瀬祥太郎(なるせ しょうたろう)。遅刻ってウケ狙いかと思った」

そう言うと、肩を震わせてまた笑う男の子──成瀬くん。
内心むかっとするけれど、髪を染めていないところや自己紹介したところを考えて、そこまで悪い人ではないかもしれない、と思った。

「……私は、月影葉子っていいます」

雰囲気に流されて、恐る恐るだけれど口を開いた。
そんな私の自己紹介に、結城さんは心底嬉しそうにうなずいた。男の子も、承知したというように片手を挙げてくれた。

なんか、仲よくなれるかも……!

「私のことは、澪って呼び捨てで呼んで! この人はねー、ショーちゃんだよ」

「おいっ、お前バカか!」

澪……。いきなり呼び捨てでいいのだろうか。
まあ、本人がいいって言ってるわけだし、そう呼ばせていただこう。

それにしても、ショーちゃん……。
祥太郎だからショーちゃん、というのは理解できるのだけれど、なぜ澪は彼をこうもなれなれしく呼ぶのだろう。

「もしかして、二人って知り合い?」

むしろ、知り合いでなければおかしい。ショーちゃん、なんて……。

「うん。知り合いっていうか、幼なじみだよ。幼稚園のときから腐れ縁みたいにずっと一緒なんだ。ねー、ショーちゃん」

「ふざけんな、俺はお前が幼なじみなんて思いたくもないね」

「でも幼なじみなんだよー、一応」

二人のそんなやり取りを見て、仲いいんだ……と思う。
ショーちゃんの方は一見澪を嫌っている風だけれど、なんだかんだ言って結構仲がいい。いちゃいちゃしているようにも見える。

「あっ、じゃあ月影さんのことはどう呼べばいい?」

ショーちゃんとじゃれ合うみたいに言い合っていた澪は、突然思い出したように私に問うた。
月影さん、という呼び方は若干よそよそしく思える。自分のことは、いきなり「呼び捨てで呼んで」と言ったというのに。

「私も、葉子って呼び捨てでいいよ」

少しばかりむきになって、私はそう返したのだけれど。

「ほんと!? やった!」

澪の、まるで子供みたいなその喜び方に胸を突かれた。

そんなに喜んでくれるなんて……。

刹那、先ほどまでのすねたような気持ちがまるでなくなって、すっきり晴れ晴れとした気分になった。
澪は罪な性格をしている。相手の心中を自在に操る。実際にはそんなつもり、本人にはないのだと思うけれど、こちらにとっては操られたようなものだ。

「これからよろしくね、葉子!」

だって、こんなにも嬉しいのだもの──。

うん! と、「よろしく」の代わりにはじけんばかりの笑顔で私はうなずいた。
澪、ショーちゃん……、早速入学式初日に新しい友達が二人もできちゃった!


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