コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- 【完結】四年二組のシンデレラ!? 魔法のカボチャと弱虫王子
- 日時: 2016/05/07 20:13
- 名前: ヨミ (ID: Nt.wHtNX)
ヨミと申します、初投稿です。
小学生向けっぽい小説を書いてみたのですが周りに小学生がいないのでこちらに投稿することにしました。
もちろん中学生以上の方のコメントも大歓迎です!
もともとワードで書いた小説をコピペして投稿するので書式が乱れるかもしれません。その時はごめんなさい。
こちらのサイトは初めて使うので(というより小説投稿サイトというものが初めてなので)間違ったことをしてしまうかもしれませんが、その時にはご指摘ください。
==小説について==
こちらの小説は既に完結したものを投稿するので、よっぽどのことが無い限り物語が途中で終わるようなことはないと思います。
ただ30000字ちょっとある作品なのでゆっくりちまちまと投稿していきます。
30000字というと文庫本の1/3冊ぐらいでしょうか
まぁまぁ長いですね
内容はコメディーとファンタジーとちょっぴり恋愛です
キャラクターもストーリーも全てオリジナルとなっています
笑ったり胸キュンしたりしてもらえたら嬉しいです。
- Re: 四年二組のシンデレラ!? その1 ( No.1 )
- 日時: 2016/03/27 02:51
- 名前: ヨミ (ID: Nt.wHtNX)
1
「それでは帰りの会を終わります。日直、号令」
——きりーつ、きをつけ、れーい。ありがとうございました。
キーンコーンカーンコーン、とチャイムが鳴った。
吉野美春がランドセルに教科書をつめこんで帰り仕度を始めると、いつも通り小河カナエが机の前にやってきた。
「みはー、いっしょに帰ろぉー!」
カナエは何だかそわそわしている。話しているあいだもずっと足踏みしていて、黄色い通学帽子からはみ出た二つしばりの髪の毛がゆさゆさとゆれている。カナエの動きが身軽すぎて背負ったランドセルには何も入ってないんじゃないかと美春はうたがってしまったほどだ。
「うん、いいよ。今日はいつも以上に元気だね、何かあったの?」
「よくぞきいてくれました! 聞いておどろけ、あたしはこれからプリンセスになるのです!」
「プリン……セス?」
「そう! 舞踏会に行くためのカボチャの馬車を見つけたの」
カナエは胸をはってじまんげに言った。
急におとぎ話みたいなことを言い出したカナエに美春はおどろいた。
「カボチャの馬車って、あのシンデレラの?」
「うん!」
「カボチャの馬車なんておとぎ話の中だけしかないんだよ?」
「本当にあったの! この目でちゃんと見たんだから」
言われたまま信じられないけれど、美春にはカナエがじょうだんを言っているようにもうそをついているようにも見えなかった。
「だから、今日の帰りにみはとカボチャを見に行こうかと思ったの」
「うん、いいよ」
「本当? よかったぁ、みはってこういうのキョーミないのかと思った」
「別にそんなことはないけど……」
美春は体が小さいせいで幼く見られがちだけど、もう立派な小学四年生だ。もう白馬の王子様も魔法も信じる年ごろじゃない。でも、近所にカボチャの馬車があるとなったら話は別だ。本当にそんなものがあるのか、それともカナエが何と見まちがえたのか、美春は気になった。
「そんじゃ決まり! さっそく出発」
スキップで教室を出て行ったカナエを追いかけようと、美春は真っ赤なランドセルをしょって走り出した。
「ここから先は通学路から外れるよ」
美春はカナエについて行く。
いくら近所だとはいえ、通学路じゃない道で帰ることは三年間まじめに通学路しか通らなかった美春にとっては大冒険に感じる。
美春とカナエが歩いてるのは田んぼと畑にかこまれた細い道だ。人通りも全く無い。
「ほら、あれだよ!」
それはすぐに見つかった。オレンジ色で丸々太った大きなカボチャだ。
「本当だ、大きい」
「もっと近づいてみようよ」
カナエに手を引かれて美春はカボチャの前までやってきた。
近くで見てみると思った以上に大きい。美春の身長とほとんど変わらないぐらいの大きさで、両手を広げても持つことはできない。
美春はカボチャにさわってみた。かたくて、つめたい。本物のカボチャみたいだ。
「ね、ね? すごいでしょ?」
カナエはカボチャをペタペタとたたいた。
「すごい……けど、馬車ではないよね? 入口も無いし、馬もいないし……」
美春はカボチャの周りをぐるりと一周見たけれど、どう見てもただのでっかいカボチャだった。
「そっ、それはこれから加工するんだよぉ〜」
カナエはごまかすように空を見た。
「それじゃあカボチャの馬車だって分からないじゃない」
「いや、絶対に馬車の材料だよ。だってこんな大きいカボチャなんてスーパーに売ってないでしょ? きっとこれからトヨタの工場で馬車に生まれ変わるんだよ!」
「カボチャの馬車ってトヨタ製なんだ……」
「なにはともあれ、このカボチャをずっと調べれば王子様とお近づきになれるかもしれないよ!」
カナエは目をきらきらとかがやかせた。
「カナエちゃんは何でそこまで王子様にこだわるの?」
美春がきくと、カナエの顔が赤くなる。
「それはもちろん、タマノコシだからだよ〜」
「タマノコシ?」
「うん、王子様と結婚したらお姫様になれるんだよ。働かなくても生きてけるよ」
「おとぎ話をそういう風にとらえるなんてカナちゃんも心がよごれたね」
「王子様がダメなら医者か弁護士がいい」
「きいてないよ」
妄想にふけっているカナエのことはほっといて、美春はカボチャを良く見てみた。確かにスーパーで売るには大きすぎるカボチャだ。それに色だっておいしそうな緑色をしていない。絵本に出てくるようなあざやかなオレンジ色だ。持ち運ぶにしても人一人では重たくて運べないだろう。一体だれがこんなものを欲しがるんだろう……。
「ねぇ、だれかにきいてみる?」
美春が肩をたたくとカナエは妄想の世界から帰ってきた。
「だれかって? 大人の人とか?」
先生にきいてみようかと美春は考えたけれど、それはダメだとすぐに気づいた。先生に大きなカボチャのことを話したら、通学路ではない道を通って帰ったことがバレてしまう。
「うーん、大人はダメだからタクミ君は? 頭が良くて物知りだし」
「あいつかぁ……まぁ確かに知ってそうだね。よし、決定。じゃあ明日タクミを連れてこよう。これが馬車の材料だってショーメイしてやる!」
カナエは両手でバンザイして気合いアピールをした。
- Re: 四年二組のシンデレラ!? その2 ( No.2 )
- 日時: 2016/03/28 01:27
- 名前: ヨミ (ID: Nt.wHtNX)
2
次の日の放課後、美春とカナエはタクミの机の前にやってきた。
「二人してめずらしいね、どうしたの?」
タクミは色白で細い少年だ。休み時間には外へ行かずに学級文庫を読んだり図書室に行ったりすることが多い。そのせいで二組の中では一番物知りだ。
「あたしカボチャの馬車を見つけたの!」
「え?」
タクミは首をかしげた。
気持ちが高ぶっているカナエの代わりに美春が改めて説明し直した。
「馬車とは決まってないけど、すごく大きなカボチャがあったの。何に使うか分からないからいっしょに見に来てくれないかな?」
「そういうことか。面白そうだね、ぼくも見にいくよ」
「面白そうって何が面白そうなんだ?」
三人の話にわりこんできたのは健太だった。健太はタクミとは反対でいつも外で遊んでいる活発な子だ。スポーツも得意で剣道の大会でも大活躍している。そんな性格が真逆なタクミと健太だが、幼稚園のころからずっと友達同士だ。
「カナちゃんが大きなカボチャを見つけたんだよ」
「本当か吉野? おれもついてくぜ。小河、いいか?」
「いいよ。……だけどわたしと王子様のロマンスのジャマだけはしないでね!」
「王子様?」
「健太君気にしないで。カナちゃんが魔法のカボチャだって思いこんでるだけだから」
「おっ……おう」
健太はかわいそうな人を見る目つきでカナエを見た。
「カボチャの正体は分からないでしょ? みんな、行くよ!」
カナエ、美春、タクミ、健太の四人は教室を出てめずらしくみんなで帰ることになった。
「これだよ、これ!」
カナエがじまんげにカボチャをたたく。
「デカいな」
健太が持ち上げようと抱きかかえるが、ちっとも持ち上がりそうもない。
「どう? タクミ君」
美春がたずねるとタクミは首をかしげた。
「たしかに大きなカボチャだね。でもやっぱり魔法のカボチャではないと思う」
「何でよ!」
カナエはタクミの肩をゆさぶった。
「このカボチャはたぶん観賞用だよ。ほら、ハロウィンになるとよく大きなカボチャがかざってあるニュースが流れるよね? そういう時に大きなカボチャをくり抜いてちょうちんを作るんだよ」
「じ……じゃあ、大きなカボチャって世の中にはたくさんあるものなの?」
「うん。外国とかだともっとたくさんあるみたいだよ」
「うっ……うそ……」
ショックのあまりカナエは畑の上でたおれた。
カナエの上をカラスがアホーアホーと言いながら飛んでいる。
「まぁ元気出しなよ、カナちゃんにはきっといい人が見つかるから」
美春がはげましてもカナエはただ遠くを見つめるだけだ。
「でもこんなデカいカボチャを見れただけでもオレは満足だな。吉野、小河、さそってくれてサンキュー」
「うん、こちらこそありがとう」
美春と健太が手を振り合って、健太は学校に戻るように道を歩いていった。
「あれ?」
「健太は通学路が真逆だからね。僕もちょっと遠回りだけど」
タクミが苦笑いして、畑から出た。
「そんなわけで僕も帰るよ。女の子二人も気を付けてね」
「うん、ばいばい」
美春はタクミに手を振った。
「あとは……」
美春は下を見た。カナエがまだ寝転がりながらカボチャをさわっている。
「私たちも帰ろう?」
「あ……あう」
カナエはふらふらと立ち上がってゆっくりと歩き出す。
「カナちゃん! そっちは逆方向!」
「あ……」
カナエの動きはなんだかふらふらしている。
その後カナエは何とかして家に帰ったが、カナエ自身どうやって家に帰ってこれたのかは全く覚えていない。
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