コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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四季達の恋模様
日時: 2016/06/17 20:50
名前: 桧 譜出子 (ID: DjQ11j/o)

皆さんこんにちは♪
桧譜出子と申します。
小説好きな普通の学生です。

コメント、大歓迎です\(^o^)/
よろしくお願いいたします。

追伸
SS小説も投稿しました!
応援してくださってありがとうございます!

<プロローグ>
拝啓
初蝶の舞い踊る季節になりましたが、いかがお過ごしでしょうか。こちらでは桜の雨が降っています。そちらは別れ霜が立って大変でしょう。
藍里ちゃんも、もうすぐで一歳になりますね。

さて今日は華の十周忌の案内の為に、筆を持ちました。
高校であの子と出逢ってもう十二年になると思うと、恐ろしいです。

湿っぽいのが苦手だった華だから、笑顔で会いましょう。

紅葉も、柚姫も、鈴華も、そして私も、早く春日に会いたいです。

敬具

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Re: 四季達の恋模様 ( No.24 )
日時: 2016/06/01 16:09
名前: 桧 譜出子 (ID: DjQ11j/o)

春日は、ある男子の家の前で立ち尽くしていた。
古縁の家の前である。
本当なら大人が人に謝る時に使う菓子折りでも持っていきたい所なのだが、
さすがにそれは憚られたので、お見舞いの品を持ってきた。
なんせ、相手は病人だ。菓子折りを持って行った所で食べられない。
機嫌を悪くさせるだけだ。

そもそもの発端は私が連絡を怠った事である。
しっかりと、メールの一つでもしていれば、こんなことにはならなかった。

恐る恐る、春日はインターホンを鳴らした。
[ピンポーン]
[…はい]ひどくかすれた声がする。
[すみません、]
[春日?]彼氏の彼女レーダー恐るべしである。声で分かるのか。
[うん。]
[…マジか。嬉しい。入って。]
そんな!嬉しいなんて…
古縁は、やっぱり優しい。
春日は感動した。
ガチャガチャと鍵の開く音がした。

Re: 四季達の恋模様 ( No.25 )
日時: 2016/07/02 08:46
名前: 桧 譜出子 (ID: DjQ11j/o)

「本当にありがとう。春日。こんなにプリン持ってきてくれて。」
春日は唖然としていた。
古縁が あの病気の古縁が、がつがつとプリンを食べている。
同時に怒りが湧いて来た。烈火復活である。
深呼吸をし、怒れる自分を静めた。

もしかしたら、今まで寝ていてお腹が空いていたのかもしれない。
もしかしたら、本当に具合が悪かったのかもしれない。
さっきだって先入観で誤解して反省したではないか。
きっときっと──。
「なんか色々考えているみたいだけど、今日はズル休みだよ。」

そんな!
「何でズル休みなんてするの!すんごい心配したんだよ!そうじゃなきゃ、お見舞いなんて来ないよ!もう!それくらい考えて──。」
怒れる春日の言葉を遮って、古縁はこう言った。
「春日、今日って何日?」
「10月の28日だけど?そんなの今は関係な──。」
今日、私の誕生日だ!
「こうでもしないと二人きりになれないでしょ?」
照れた声で古縁は言う。
胸が高鳴る。春日は泣きそうになった。
─ みんなは、彼を毒舌だと言うけれど、彼は世界一私を喜ばせる天才なんですよ。
だから私が彼の一番の理解者になることを誓います。もしかしたらそれはどんな難題よりも難しいかもしれないけど、恋の難しさを教えてくれた君となら、どんな難題でも解ける気がする。ありがとう、古縁。──

春日は心の中でそう誓った。

.................................................皆さん、恋って嫌ですね。
昨日から明らかに鼻の下が伸びている春日を見て紅葉はそう思った。

もし、私が恋をしたら…
なんて、まだ考えなくてもいいよね。
恋がそんなに楽しいならしなくても楽しく過ごせる方法を私は考える。

その2日後にその恋について考えなければ行けないなんて、このときの紅葉は考えてもいなかったのだ。

─〈恋の難しさを教えてくれてありがとう〉 End ─

Re: 四季達の恋模様 ( No.26 )
日時: 2016/07/06 14:05
名前: 桧 譜出子 (ID: DjQ11j/o)

〈告白〉
「あっ。」
「あっ。」
紅葉はこの前会った面白い人にまた会った。

名前、なんだっけ…。

相手も察したのか、
「工藤 宙だ。失礼ながらお手前は。」
「乃山紅葉です。よろしくお願いいたします。」
…話題がない。そういえば私、この人と初対面だ。
「…ご、ご趣味は何ですかぁ〜」
急に大きな声を出した工藤君はそう言った。
クスリと来てしまった。
「急ですね。歌を歌う事です。」
「あっ、失礼、自分から言うべきだった。」
「ふふっ。」
「何が、面白いんだ?」
えっ、何で面白いんだろう?
確かに初対面の相手でこんなに話したことはないかもしれない。
「何か、自然と出ちゃいました。」

Re: 四季達の恋模様 ( No.27 )
日時: 2016/07/02 09:08
名前: 桧譜出子 (ID: DjQ11j/o)

─何か、自然と出ちゃいました。

宙は先程の紅葉の発言を思い出しつつ、渡り廊下を歩く。
こんな、思わせ振りな事を言う人に僕は会ったことはない。
何故僕は、彼女を前にすると思ったとおりの事が言えなくなってしまうのか。
体調、いたって変わり無し。
平熱、35度8分。
初めて彼女の姿を見た時からこの様子。
体があついのだ。

もし、これが世の男女が血眼になりながら、鼻の下を伸ばしながらはまって行く[恋]だとしたら。

このタイミングの波に乗らない訳に行かない。

宙は、走り出した。

─今、向かいます。乃山さん。

Re: 四季達の恋模様 ( No.28 )
日時: 2016/07/22 13:41
名前: 桧譜出子 (ID: DjQ11j/o)

─何か、自然と出ちゃいました。
よくこんな事が言えたものだ。
普段は男子に限らず、初対面の相手でさえ緊張してしまうと言うのに。

彼には、私にはあまりない「優しさ」という感情があるのかもしれない。
だとしたら羨ましい限りである。

「乃山さん!」
噂をすれば、という言葉はこのためにあるのか。
「あら、工藤君、先程はど──。」
「僕は君が好きだ。」
えっ?

ボクハキミガスキダ?
知っていて知らない振りをしていたこの言葉に紅葉は驚く。 
でも、その言葉は今まで使わずに生きて来た言葉で…。

「えっと、…時間を、…下さいませませ!」
文化部の紅葉に何故こんな瞬発力が、と紅葉自身も思うような足の速さで
紅葉は走り去る。

宙は今まで感じた事のない恥ずかしさと、胸の高揚を押さえられずに
立ち尽くしていた。

─ 〈告白〉 End ─


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