コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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恋花火—ひと夏の恋—
日時: 2017/08/30 02:10
名前: Aika (ID: 0otapX/G)

*:+;-prologue-;+:*




パッと咲いて
切なく、 鳴り響く花火の音。



隣には。



愛しい君がいて…
この手を離したくない。
そう思っていた、のに———。










その願いは叶わなかった。






***恋花火—ひと夏の恋—***



更新start→2016.6.11
更新end →


<<目次>>

登場人物紹介>>1

@1:止まった時間
第1話>>2 第2話>>3 第3話>>4 第4話>>5
第5話>>6 第6話>>7 第7話>>8 第8話>>9
第9話>>10第10話>>11 第11話>>12 第12話>>13
第13話>>16 第14話>>17 第15話>>18 第16話>>19
第17話>>20 第18話>>21

@2:絡み合う想い。
第19話>>22第20話>>23第21話>>24第22話>>25
第23話>>26第24話>>27第25話>>28第26話>>29

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Re: 恋花火—ひと夏の恋— ( No.10 )
日時: 2016/08/03 17:54
名前: Aika (ID: qMXr7W56)

Episode9:海里の想い。




夏の夜空に大輪の花火が咲くなかで
君は、 そっとわたしの耳元で呟いた——。


『好きだ』


突然のことに
わたしは、何も言葉が出てこなくって…
ただ、海里の真剣な瞳を見つめるばかりだった。

海里の顔は少しだけ赤く染まっていて。
照れ臭そうな感じがすごく伝わってきた——。

「俺…本気だから」

震える海里の声。
緊張…してるのかな。
そりゃそうか。告白、だもんね。



——『告白、してみようかな』


そのとき。不意に七夏のそんな言葉が
頭の中に響いた。

バカだな——。わたし、何を忘れてるんだろう。
七夏は海里が…好きで今日告白するつもりなのに。
なのに。




——あれ?でも、海里はわたしに告白しているってことは…海里は七夏のことを何とも思っていないってこと、だよね。





じゃあ…七夏は、 このまま告白したら失恋してしまうってこと———??





「空…??…また、ボーッとしてる」

我に返ると、そこには海里の顔。
ち…近いんだけど。

わたしは、慌てて海里から顔をそむけた。

「だっ…だいじょーぶ。少し考え事を」
「七夏のこと?」

予想外の…海里の言葉に。
わたしは耳を疑った。

「知ってるの??…七夏の気持ち」

そう聞くと。
海里は優しい表情で頷いた。

「俺さ…アイツと中学の時に付き合ってたんだ」

——え…??

付き合ってた——??海里と…七夏が??
そんなの、七夏は一言も話してなかった。

驚くわたしを置き去りにして
海里は話を続けた。

「それで…高1で俺から別れを切り出した」
「なっ…なんで!??」
「お前と…空と出会ったから」

夏の風が。
二人の間にそっと流れる。

海里の細い黒髪がなびいていた。
わたしはなぜか、真っ直ぐに視線を向けてくる
海里の顔を直視することができなくて。

下を向いてしまった。

「空は…いつも自分のことより友達のこと優先で…周りを思いやってるだろ??なんかそういうところが放っておけなくて…守ってあげたくなるんだよな」

明るく笑う、海里——。

その表情がなぜか、蛍と重なって見えて。
胸の奥が切なく、痛む。

「あと、みんなと笑ってるとき…時々見せる寂しそうな顔が俺…すごく気になっててさ」

そんなところまで。
海里は…見てくれてたんだ、わたしのこと。

きっと、それは。
蛍を…想っているときだ。

「もしかして、さ。寂しい顔してる時って好きなやつのこと、考えてるの??」

わたしは、優しく微笑んでから。
顔を小さく縦にふった。

「うん…今でも大好きで…忘れられない人」

涙が自然とこぼれた。
何の…涙なのか自分にもわからなかった。
蛍への叶わない想い?
海里への答えられない気持ちに対して?
七夏への申し訳無さ?

頭の中がぐちゃぐちゃで…
よく分からない。



海里はそれ以上は何も聞かず
わたしをそっと優しく抱き寄せて。
泣き止むまでずっと、そばにいてくれた——。

Re: 恋花火—ひと夏の恋— ( No.11 )
日時: 2016/08/17 17:00
名前: Aika (ID: OSct4JfX)

Episode10:3年ぶりの再会。




3年ぶりに再会した貴方は、とても大人びていて。
知らない男の人みたいだった———。



■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □


「ありがと…海里。…もう、大丈夫だから」

花火の音が鳴り響くなか。
泣きじゃくるわたしを、ずっと抱き締めてくれていた海里。
わたしは、か細い声で海里にそう言った。
すると、海里はそっと抱き締めていた手を離して静かに口を開く。

「…そっか。なら、良かった。なんか悩んでたら言えよ?」

その言葉に、また泣きそうになる。
どうして…海里はそんなに優しいの———??

わたしには、貴方に優しくされる資格なんか何もないのに。


「ありがと。…でも、ごめん」

わたしは、海里の顔を真っ直ぐに見れなくて。
うつむきながら言う。

「……今は、 一人でいたい」

海里に『好きだ』って、言われて。
嫌じゃなかった。本音を言えば、すごく嬉しかった。
でも。


このことを、七夏が知ったら…どう思うだろう。


私達…もう、友達じゃいられなくなるの?
そんなの、嫌だよ。…もう、蛍みたいに
大事な人を失いたくない。


だからこそ、一人で考える時間がほしい。


「少し…気持ちの整理をさせてほしいの。後で絶対にみんなのところに戻るから」

そう言うと。
海里はかすれた声で小さく呟いた。

「……分かった。ごめんな、お前のこと困らせて」

わたしは、何も言わず首を横に振る。
違う。海里は…何も悪くない———。
悪いのは、 過去にとらわれてる…わたしだ。

「ただ、止まらなくってさ。悲しそうな空を見てたら…幸せにしてぇなぁって思っちゃって———」

———海里。

そう言って、海里はわたしの頭をそっと撫でて
優しい瞳で言う。

「俺はいつでも待ってるから」

そう言い残して。海里はわたしの横をすっと通りすぎて
屋台の方の賑わいのなかに姿を消していった。



わたしは、力なくその場にしゃがみこんで。
こらえていた涙を流した。


あんなにも、真剣に。海里はわたしをずっと想っていてくれていた。
なのに、わたしは。




自分の気持ちがはっきりできなくって。
嫌になる。





わたしは、 今でも、 蛍のことが好きなの———??




そう心のなかで問いかけた瞬間。
———ガサッ

木の小枝を踏むような音がして。
とっさに振り返ると。そこにいたのは———。


「嘘…」


3年越しに見た、 愛しいあの人———。


夏の夜の幻かと思った瞬間。
目の前の貴方は小さく呟いた。



「空…??」


ずっと、 呼んでほしかったわたしの名前を。
3年ぶりに再会した貴方は。
背が高くなっていて、声も低くなっていて。
大人びていて———。

わたしは、凍りついたように目の前にいる貴方から目を離せずにいた——。

Re: 恋花火—ひと夏の恋— ( No.12 )
日時: 2016/08/20 15:07
名前: Aika (ID: qVn3SWv8)

Episode11:戻れない。




夏の夜空。
大輪の花火が咲く中。

わたし達は3年ぶりに再会をした———。



「ほ…ほた、 る———??」



かすれた声で愛しい人の名前を口にする。
ずっとずっと…願っても、 会えなかった。
貴方がすぐそばにいる。

それがまだ、信じられなくって。
頭の中はすごく混乱してた。


「久しぶり、だな。空」


黙っていた蛍がまた、口を開いた。
でも…さっきから蛍はちっとも目を合わせてくれなくて———。

そのことがすこしだけ悲しかった。

もう、蛍はわたしのこと…好きじゃないの??

「帰ってきたんだ…」

違うのに。本当はこんなことを言いたいわけじゃない。
他に言いたかったこと…もっと、あるはずなのに。
なぜか、 わたしは…そんなことしか言えなかった。

「まぁな…俺、また8月からこっちで住むことになった」

蛍のその言葉に。
目が見開いた。

嘘。…じゃあ、また蛍と一緒にいられるの———??

「高校、 どこ??」
「山岸高校」
「…いっしょじゃん」
「じゃあ、新学期からよろしくな」

喜んでいいのかな…。
と、いうか蛍ってこんな性格だったっけ??
こんなに素っ気なかったっけ??

でも。 3年もたってるもんね。

そりゃあ、性格だって変わる、よね。





なんてことを心の中でもやもやしながら考えていると。
不意に蛍がこんなことを言い出した。




「そういえば、3年前…俺ら、ここで約束…したんだよな」



花火を見上げる蛍の横顔を、 わたしはじっと見つめてた。
そうだよ。 ここで約束した。



「絶対東京に帰ってくるから…待っててってやつでしょ?」



覚えてるに決まってんじゃん。
だってわたしはあの時…蛍と離れてしまった時からずっと…
貴方の事しか考えてないんだから。



「———悪いけど…あの約束、 なかったことにしてほしい」


予想外の…蛍の言葉に。
わたしはうつむいていた顔をばっと勢いよく上げた。
何で…そんな事、 言うの??




「ごめん。…けど、俺じゃあ空を幸せにできない」



わたしは真剣な表情でそう告げる蛍に何も言い返せなくって。
ただ、呆然とその場に立ち尽くしていた。

蛍は、 わたしとは目も合わせないまま…
わたしの横をすっと横切ってどこかへ行ってしまった。




本当は追いかけたい。
追いかけて、 すぐにでも貴方に抱き着きたい。
好きだって言いたい。
もう一度、 つき合ってって言いたい。




なのに。








「っ…ック……」






蛍の言葉を聞いて。
わたしは、 何もできず…






その場で泣くばかりだった———。

Re: 恋花火—ひと夏の恋— ( No.13 )
日時: 2016/11/13 15:51
名前: Aika (ID: U7zErvcm)

Episode12:瞳に映らない。




.;:*海里side*;:.




——『うん。今でも大好きで、 忘れられない人』



そう言ったアイツの顔はとても辛そうでただ、 泣きじゃくるばかりで———。


俺はなんて言葉をかけるのが正解なのか
分からなくて…何も言えなかった。




髪をぐしゃっとかきむしりながら
俺はうなだれる。



「分かってた…アイツに好きな奴がいることぐらい」

それが誰なのかなんて分からないけど
最初から知ってた。
アイツにアイツに…空に想い人がいて
その視線の先が俺じゃないことなんか分かってたんだ。

それでも、 好きっていう想いは止まらなかった。
空のことを知れば知るほど好きになっていって———。



こんな気持ちになるのは生まれて初めてだった。




「俺じゃ…駄目なんだな、 空」

夏の夜空に大輪の花が咲く中で
俺は一人…そう呟いた。

その時だった。



「海里」



ふと名前を呼ばれた気がして
横に視線を向けると。

そこには、 少し息の上がった様子の七夏の姿があった。
髪も少しだけ乱れていた。



「どこ行ってたの…?探したんだよ」



心配そうな七夏を俺は無視する。
正直、今は誰とも話したくない。そんな気分だった。



「一人になりたかったから…わりぃけど、今日はもう帰る。みんなに言っといて」

そう言って、その場から去ろうとすると。

「待ってッ…!!」

後ろから思いっきり抱きしめられた。
突然のことに思考回路が停止して俺は何も言葉が出てこなかった。
そのまま、黙ったままでいると七夏が震える声で言う。

「好き、 なの」

それは人混みの喧騒にも消えそうな
か細い声だったのに。

なぜか、 俺の耳には痛いほどに響いてきて———。

「まだ…海里が好き」

抱きしめられていた手を振りほどき後ろを振り返ると。
涙でにじんだ七夏の顔があった。

その顔に胸が痛む。

七夏の気持ちに関しては見て見ぬふりをしてきた。
まだ俺に気があることも知ってた。
でも…俺にはもう…七夏をそんな風に見ることはできなかった。
だから自然と七夏が俺を諦めてくれたらいいのにっていう都合の良い事ばかり考えていた。

でも、 現実はそんなに単純になんかまわってくれなくって。








「———ごめん。 俺にはもう七夏をそんな風に見れないから」



七夏、 ごめん。
俺は最低な奴だからこんな言い方しかできない。
七夏は少しだけ間を開けた後。



「やっぱり…空が好きなんだね」




そう言って優しく笑った。
七夏は…気づいてたんだな。俺の気持ち———。
驚いた気持ちを隠せないでいると七夏が笑いながら茶化したように言う。


「気づいてないとでも思った??バレバレだしっ」
「……ごめん、 ごめんな。七夏」
「謝らないでよ、余計にむなしくなるじゃん」

謝らないで、か。
確かに七夏からしたらこれはウザいよな。
でも、他になんて言ったらいいのか分からないんだよ。
俺が困った様子でいると、七夏が優しい顔で言う。



「応援してるからさ、 頑張りなよ。わたしももう海里のことはこれで忘れるから。じゃあねっ!!」

そう言い残して七夏は背を向けて走り去っていった。
応援してる、 か。
その言葉にズキズキと心が痛む。
俺ももうフラれたんだけどな。






満開の花火が咲き誇る中。
俺は一人思う。






どうして、 恋愛は。

















誰かを傷つけてしまうんだろう。

Re: 恋花火—ひと夏の恋— ( No.14 )
日時: 2016/11/13 18:00
名前: てるてる522 ◆9dE6w2yW3o (ID: VNP3BWQA)
参照: http://From iPad@

ふぉぉぉおおおぉぉお!!!!

……たまらないです。←←
たまらんですよ!←←

こんにちは!
いきなり失礼しましたm(*_ _)m

作者様の小説を今日初めて拝見しました。
恋愛もの大好きなので、ワクワクしながら読み始めたらそのワクワクを超える作品で……こんなにキュンキュンして切なくなったのは久しぶりです/////

空ちゃんの蛍くんへの思いとか、それを見る海里くんのことをまだ好きな七夏ちゃん、それに青葉くんや輝くん……私は海里が好きです←

3年ぶりの再会……たまらんです()
蛍くんのこの3年間になにがあったのか気になります(o´艸`)


もうなんと言いますか、素敵な作品をありがとうございます!w
これからの展開楽しみです!w

また来ます!

陰ながら応援してます。
頑張ってください!

byてるてる522


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