コメディ・ライト小説(新)
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- 恋の病〜体心痛〜
- 日時: 2020/02/01 13:55
- 名前: 夜桜 (ID: 6k7YX5tj)
- 参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=12060
「異性の誰かを好きになるってことは恋という名の病気なんだよ」
どこかで聞いたことあるようなセリフ。
じゃあこの世界には恋の病にかかった人が何人もいるんでしょ?
私はそんな人達とは違うと思う。
普通痛むのは心だけ。
心以外にも痛むところがあるとしたら…?
恋なんてしなければ良かったと、私を思い込ませる…
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-登場人物-
【笠神 波姫】
·色素が薄くハーフのような容姿を持つ
·海の幼馴染み
·しっかり者
【成塚 海】
·整った容姿を持ち、異性同性問わず人気者
·波姫の幼馴染み
【桜ノ宮 優杏】
·転校生
·天使のような容姿を持つ為、異性からの人気は校内一
【大原 雷樹】
·美しい瞳を持ち、異性からの人気がある
·誰にでもフレンドリー
【宇佐 優太】
·学年一の秀才
·穏やかな性格で周囲から慕われている
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-大切なお客様-
一葉千羽 様
てるてる522 様
藍 様
他のお客様もいつも閲覧頂き本当に有難う御座います!
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この作品は閲覧者の皆様に「読みやすい」の声を、
沢山頂けるように意識したものになっていますので
このような作品が苦手な方は申し訳ありません。
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不定期更新ですが見てくれる皆様の為に
日々精進していきますので、
これからも「恋の病〜体心痛~」
を宜しくお願い致します<(_ _)>
- Re: 恋の病〜体心痛〜 ( No.22 )
- 日時: 2019/08/05 19:34
- 名前: 夜桜 (ID: .AVF6R.l)
ピンポーン
久しぶりの海との登校。
はりきって早くに起きちゃった。
ガチャ
「おう、なみき。おはよ!」
サンサンと降り注ぐ太陽と海の笑顔は私には眩しすぎる。
「うん、おはよ。」
私は小さく微笑んだ。
「ねぇ海?こうして登校するの凄く、久しぶりじゃない?」
海はコクコクと頷いて言った。
「だよな?!凄い懐かしい。嬉しいよ、また登校できて。」
嬉しいだなんて……また勘違いしちゃうじゃん。
そんなことを考えていると隣のクラスの女の子達が後ろからコソコソと何かを言い始めた。
「…ねぇねぇ、あれ笠神さんと成塚くんじゃない?」
「ほんとだ!あれ、成塚くん桜ノ宮さんと付き合ってるよね?」
「え~別れたらしいよ?最近」
「うそ!もう乗り換え!?」
「そうだよ~私成塚くん狙ってたのにぃ~」
私は横目で海を見る。
海は気まづそうな顔をしていた。
そしてどこか悲しげな。
声をかけようとしたが、
「………っ痛!!」
腕に激痛が走る。
「なみき!?!?どうした!?」
海が物凄く心配してる。やめて、とまってよ…
雷樹の言葉を思い出す。
「____恋の病だよ。」
海の前で倒れたのも、この腕の痛みも全部そう。私の恋なんて叶ってはいない…………。
海の切ない顔を見る度に私の痛みは増していくばかりだった。
誰か、助けて…
「なみき、こっち」
そう言って、海は私を抱きしめた。
凄く力強く。
そして気づいたら私の腕の痛みはなくなっていた。
「………海?……後ろの子達見てるよ…?」
それでも黙って私を抱きしめる。
「なみき、俺。お前を見てるとほっとけなくて。」
海は耳を真っ赤にしながら言う。
「………よくわかんねぇけど抱きしめたくなった」
私の頭をぽんと叩き、もう心配かけんなよと言って先に行ってしまった。
ちょっと待ってよ……それって……
______私のこと好きってこと?
- Re: 恋の病〜体心痛〜 ( No.23 )
- 日時: 2019/08/05 19:48
- 名前: 夜桜 (ID: .AVF6R.l)
学校に着くと、海は言う。
「ごめん、ビックリさせて。」
私は首を大きく振る。
「ううん、大丈夫。海のおかげで痛みも落ち着いたみたいだし。」
海は微笑んだ。
「そっか、よかった。じゃあまたな。」
「うん、またね!」
本当は全然心の整理がつかないけど……
海の腕の中はびっくりするほど温かくて
心地良かった。
ガラッ
教室の戸を開けると、
「笠神さん今朝成塚くんとハグしてたらしいよ」
「えっ、やばくない?」
「私の成塚くんが~」
「桜ノ宮さんはどうしたのよ」
もう噂が広がってる……どうしよ。
席に座ると、いつもは明るく話しかけてくれる宇佐くんが話しかけてこない。
「……宇佐くん…えっと…おはよ!」
私は笑ってみせた。
「…あぁ…笠神さん、おはよう。」
宇佐くんは何か言いたげな顔をして、
おどおどしていた。
「あの、笠神さん…今日放課後話せないかな?」
「…あっ、うん。大丈夫だよ。」
キーンコーンカーンコーン………
チャイムがなってしまったのでお互い前を向く。
大変なことをしてしまった…………
- Re: 恋の病〜体心痛〜 ( No.24 )
- 日時: 2019/08/06 15:55
- 名前: 夜桜 (ID: .AVF6R.l)
ついに授業も終わり、終礼後、人の数はどんどん減りついに私と宇佐くんだけになってしまった。
あんな事があったから、気まづいな……
「笠神さん」
「はっ、はい!」
急に呼ばれて変な声が出てしまう。
うわあ…恥ずかしい。
「あはは、そんなに緊張しないでよ。」
宇佐くんはあのくしゃっ、とした可愛い笑顔で笑った。
良かった、いつもの宇佐くんだ。
宇佐くんは私の隣の隣の席に座り、
こちらを向いた。
隣の席じゃないところが宇佐くんらしくて好きだな。。
「俺も…噂で聞いちゃったんだけど……」
とても言いにくそうなので、
「もしかして、海のこと?」
私から先に言ってしまった。
「………そう。成塚くんとはいつからハグする仲だったの?」
やっぱり。噂は皆に広がっちゃってる。
「違うの。そんな仲じゃない。」
「じゃあ、どういうことなの?」
彼は少し怒っているようにも見えた。
「海は、桜ノ宮さんとは別れたけど私に乗り換えした訳じゃない。海はまだ桜ノ宮さんのことが好きだよ。別れた理由は言えないけど海もきっと寂しかったんじゃないかな……。」
こんなこと言っても信じてもらえないだろう。
私でもまだ海に抱き締められた理由はよく分からないし………。
「そっか。そうだよね。あの二人、あんなに仲良かったもんね。分かった、理由は気かないよ。成塚くんにも色々あるんだよね。」
分かってくれた……!?なんていい人なんだろう。
「信じてもらえるなんて思ってもなかった…宇佐くん、話聞いてくれてありがとね。」
宇佐は首を振りニコッ、と笑う。
「じゃあ、私帰るね、また………」
私がバッグを持ち帰ろうとすると、
後ろから宇佐くんがぎゅっ、と抱き締めてきた。
「俺は、笠神さんが好きだから抱き締めたいと思った。まだ、俺にもチャンスはあるよね……?」
宇佐くんの背は意外と高くて、手はおっきくて、凄くあったかくて……
なんだかドキドキしちゃうよ。
でも……………
その時、
ガラッ
「まだ誰かいんのか?電気消すぞ……っ?!」
現れたのは雷樹だった。
「なみきちゃん…お前何やってんだよ。」
待って、違うの、全部、違うの………………
私は宇佐くんの手を優しく振り払い、言った。
「違うの、話、聞いて、本当に違うの……」
私の目からは涙が流れる。やめてよ、雷樹、そんなに怖い顔しないでよ………。
「知らない間に桜ノ宮から成塚を無理矢理奪い取って、イチャイチャしやがって…あんなに桜ノ宮泣かせて楽しいのかよ!?…しかもその次は宇佐か?……おいおいいつからそんななみきちゃんになっちまったんだよ………」
雷樹も目を真っ赤にして頭を抱えた。
全部全部勘違いされている。もう嫌だよ。どうすればいいの。違うのに。違うのに。
「___おい、やめろって!!!!!」
声をあげたのは宇佐くんだった。
「大原くん、なみきちゃんの事なんにも知らずにそんなこと言うなよ!桜ノ宮さんをフッたのは成塚くんだよ。成塚くんにも彼なりの考えがあるんだ。桜ノ宮さんを泣かせたのは笠神さんじゃないし、笠神さんを抱きしめたのは俺だよ!!!」
宇佐くんがこんなに感情的になったところを初めて見た。
しかも、私の言いたい事を全部言ってくれた。
「宇佐くん。ありがとう。
後は私から言わせてほしい。」
すると、宇佐くんはニコッと笑ってまた明日ね、と言って席を外してくれた。
「なみきちゃん、酷いこと言っちゃってごめん。俺の勘違いだったみたいだ。」
雷樹は深く頭を下げた。
「やめてよ、顔、上げて。
勘違いされるようなことした私もごめんね。」
雷樹はブルブルと首を大きく振って否定した。
「違う、俺のせいだ。なみきちゃんのこと分かってあげられなくてごめん。」
根は優しい雷樹のままで安心した。
「話せなくて、寂しかった。また仲良くして欲しいな。」
「俺からもよろしくねなみきちゃん。」
雷樹は優しく微笑み私の手を握った。
そして、雷樹はまっすぐ私を見つめた。
「___俺、なみきちゃんに言わなくちゃいけないことがある。」
- Re: 恋の病〜体心痛〜 ( No.25 )
- 日時: 2019/08/23 12:32
- 名前: 夜桜 (ID: .AVF6R.l)
「………なに?」
いつにも増して真剣そうな雷樹に息が止まりそうだ。
「俺が桜ノ宮を好きって言うのは……」
雷樹は一瞬目をそらして、
きまりが悪そうに口を閉じたが、
すぐに大きく息を吸ってから言った。
「_____嘘、なんだ。」
嘘、……?
「………えっ…?それってどういうこと?」
雷樹は頭をポリポリとかいた。
「なみきちゃんにあんなこと聞かれて俺、恥ずかしくなって。とにかく誤魔化したかったんだ。ごめん。」
それって…それって…
「雷樹、じゃああなたの好きな人って…」
雷樹は私の手を優しく握って言った。
「____なみきちゃん、だよ。」
雷樹は恥ずかしそうに顔を赤く染めた。
耳まで真っ赤だ。
「叶わない恋だって分かってる。
だけど、なみきちゃんと初めて話す前から密かに気になってた。」
雷樹の正直な気持ち、本当に温かいな……
私は、1人なんかじゃなかった。
「………雷樹、私は今でも海が好きだよ。
だから雷樹の気持ちには答えられない、
でも……雷樹ともっと一緒にいたい。」
雷樹は顔をパッ、と明るくさせて
私を強く抱きしめた。
「なみきちゃん、大好きー!」
「ちょっと雷樹、苦しいって。」
「だって一緒にいたいんでしょ?」
「そういうことじゃなくてー!」
____体心痛の本当の辛さを、この時はまだ知らなかった。
- Re: 恋の病〜体心痛〜 ( No.26 )
- 日時: 2019/08/27 15:22
- 名前: 夜桜 (ID: .AVF6R.l)
なにもかも解決したんじゃないかな
そう、思ってた。
でも、私は間違ってた。
「なみき」
すっかり静かになったこの教室に、海が迎えに来てくれるのは既に当たり前になりつつあった。
病気の相談にのりつつ、一緒に帰ることが私の日常の一部となっていることに私は喜びを隠しきれずにいた。
海が病気であることにはかわりないのにな。
私には今しか見えてない、のかな。
「どうした?なみき」
海は目を丸くして言った。
「あっ、なんでもない。
あのさ、今日日直だから色々しなくちゃいけなくて。今日は、先に帰っててくれる?」
海は少し、寂しそうな顔をして小さく頷いた。
「1人で、平気?今日の体調とか大丈夫?」
海は笑った。
「大丈夫だよ、日直頑張れ。じゃあな。」
無理してるように見えて、心配になった。
私は残った仕事を片付ける。
今になって海を1人で行かせたことを後悔し始める。
早く終わらせて追いかけよう………
「終わった!!早く行かなくちゃ…」
ガラッ
私は戸を開け階段をかけ下りる。
すると、
「笠神さんっ!」
後ろから私を呼ぶ声が聞こえた。
「…………桜ノ宮さん」
ドキッとした。
「桜ノ宮をあんなに泣かせて……」
雷樹の言葉を思い出す。
桜ノ宮さんは、泣いた。
私のせいで、泣いたんだ。
逃げたい。逃げ出したい。
「笠神さん、そんな怖い顔してどうしたの?
あの、これ。」
桜ノ宮さんは、私のバッグを差し出す。
「え、あ……」
「教室に、置いてあったから…まだいるかもしれないと思って下駄箱見に行こうと思ったら、いたから。」
桜ノ宮さんはただ私の忘れたバッグを届けにきてくれただけだった。
馬鹿みたいに怯えてしまった私が恥ずかしくなった。
「ごめんなさい!わざわざ。ありがとう。
じゃあ、私、行くね!」
私はバッグを受け取り、階段に足をかけると、
ガシッ
後ろから、強く腕を掴まれた。
「逃げるの?笠神さん。」
全身に鳥肌が立ったのが分かった。
「に、逃げ、逃げる…って…?」
無理でもそういうしかなかった。
私の体は震えていた。
でも、
桜ノ宮さんの体はもっと震えていた。
「…っっとぼけないでよ!!!!」
時々私に見せる、裏の顔とはまた違う。
彼女は、本気だった。
「初めて…初めてだったの…あんなに好きになった人は…ねぇ…わかってよ…わかってよ!!!」
桜ノ宮さんはその場で泣き崩れた。
でも、私は謝りたくなかった。
私だって、
____海への気持ちはずっと本気だった。
「やめてよ、やめてよ!!」
私は今まで溜めていたものをぶつける。
「あなたが海を知るずっと前から私は海が大好きだった!!!それでも、私は何も言えずあなたと海をずっと見てきた!!ねぇ。この辛さあなたに分かるっていうの!?なんとか言いなさいよ!ねぇ!!!!」
涙が次々にこぼれ落ちる。
自分でも怒りなのか悲しみなのか、分からなくなっていた。
溢れる涙を拭い、普段の綺麗な瞳ではなく、誰も見たことのないような瞳を私に向ける。
「……他の男とイチャついてるくせに海が本当に好きだと言えるの?簡単に大好きなんて言わないで……1度でも気持ちが揺らいだことがあるのなら、もう海に近づかないで……」
桜ノ宮さんのその言葉に、私は何も言えなかった。
気持ちが分からなくなったことは…
何度もあった。
都合がいいのは私だったんだ…………
私は黙ってその場を走り去ってしまった。