コメディ・ライト小説(新)
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- 恋の病〜体心痛〜
- 日時: 2020/02/01 13:55
- 名前: 夜桜 (ID: 6k7YX5tj)
- 参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=12060
「異性の誰かを好きになるってことは恋という名の病気なんだよ」
どこかで聞いたことあるようなセリフ。
じゃあこの世界には恋の病にかかった人が何人もいるんでしょ?
私はそんな人達とは違うと思う。
普通痛むのは心だけ。
心以外にも痛むところがあるとしたら…?
恋なんてしなければ良かったと、私を思い込ませる…
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-登場人物-
【笠神 波姫】
·色素が薄くハーフのような容姿を持つ
·海の幼馴染み
·しっかり者
【成塚 海】
·整った容姿を持ち、異性同性問わず人気者
·波姫の幼馴染み
【桜ノ宮 優杏】
·転校生
·天使のような容姿を持つ為、異性からの人気は校内一
【大原 雷樹】
·美しい瞳を持ち、異性からの人気がある
·誰にでもフレンドリー
【宇佐 優太】
·学年一の秀才
·穏やかな性格で周囲から慕われている
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-大切なお客様-
一葉千羽 様
てるてる522 様
藍 様
他のお客様もいつも閲覧頂き本当に有難う御座います!
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この作品は閲覧者の皆様に「読みやすい」の声を、
沢山頂けるように意識したものになっていますので
このような作品が苦手な方は申し訳ありません。
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不定期更新ですが見てくれる皆様の為に
日々精進していきますので、
これからも「恋の病〜体心痛~」
を宜しくお願い致します<(_ _)>
- Re: 恋の病〜体心痛〜 ( No.17 )
- 日時: 2019/10/04 19:16
- 名前: 夜桜 (ID: .AVF6R.l)
朝早くの通学路を1人で歩く。
寝れなくてできたくまを隠しながら。
恥ずかしさが苛立ちに変わっているのは自分でも分かっていた。
私の好きな人を奪われた上に大切な友達も奪われてしまった。
何もせずとも好かれるあなたはいいよね。
いいよね。本当に……………
自然と涙がこぼれてきた。
拭っても拭ってもボタボタと………
「うぐっ………うう………」
すると大きな影が見えてきた。
誰かに泣いているところを見られてしまった。
「………傘神さん?」
宇佐くんだった。
とても優しい声だ。
今まで流れていた涙がピタッととまった。
「ごめんなさい、気にしないで。
何でもないからね。」
私は無理に笑ってみせた。
「何でもなかったら泣いたりしないよ。
俺でよかったら聞かせてくれないかな。」
言う気は全くなかったのに宇佐くんに言われたら口が勝手に開いていた。
「…何で私はこんなに上手くいかないのかな?
人を好きになっちゃいけないのかな?」
宇佐くんはニコッと笑ってみせた。
「上手くいかないのは当たり前だよ。
人を好きになるのはいい事だから。」
私は顔を伏せて言った。
「そうだよね。ごめんね。変な事聞いて。」
そのままその場後にしようとすると、
「ねぇ、傘神さん。
もしかしてだけどそれは成塚くんのこと?」
「えっ」
びっくりした。
宇佐くんには見透かされてるのかな。
否定しようとしたのに出来なかった。
「やっぱりそうなんだね。
ごめん、俺も同じ立場だから傘神さんの表情とかで全部分かっちゃって。」
宇佐くんはあはは、っとおどけてみせた。
「宇佐くんも……?」
私は歩きながら宇佐くんの横に行く。
「うん、俺にも好きな人がいて。」
宇佐くんは悲しそうな顔をして言った。
「そっか……どんな人なの?」
宇佐くんは手を出して指をおって言う。
「とっても笑顔が素敵で、優しくて、可愛くて、後は_____涙が素敵で。」
こっちを向いてニコッと笑った。
「えっ?」
「____俺はね傘神さんが好きだよ。」
心臓が高鳴る。私は今告白されてる!?!?
口をモゴモゴさせていると宇佐くんは笑った。
「ごめんね、今しかないと思って………………
傘神さんがずっと気づいてくれないから。」
恥ずかしそうに俯く彼に私は安心感を感じた。
「ううん。伝えてくれてありがとう。
私、もう誰にも好かれないのかと思ってたから嬉しかったよ。」
宇佐くんは目をきらきらさせながら言った。
「本当に!?これからちょっとずつ話していけたら嬉しいな。」
「私こそ。友達からよろしくね。」
初めての宇佐くんとの登校は優しくて何だか穏やかな気持ちになった。
でも、私の気持ちはどこに向かっているのだろう。
- Re: 恋の病〜体心痛〜 ( No.18 )
- 日時: 2019/07/25 18:00
- 名前: 夜桜 (ID: .AVF6R.l)
いつも登校するのは早いけど、
最近はもっと早く家を出てきてしまう。
どこかに海と桜ノ宮さんや雷樹に会いたくないという気持ちがあるのだろう。
ガラッ
そんなことを考えながら私は教室の戸を開ける。
「おはよう、傘神さん。」
今日もいつもの柔らかい笑顔で彼は言う。
宇佐くんだった。
「おはよう、宇佐くん。」
最近は朝早くに登校する私より早く登校してくる宇佐くんを当たり前のように感じていた。
これが、私達の日常となっていた。
朝の静かな教室で誰かと二人っきりなんて本当は嫌だが彼は何故かそのような気持ちを感じることがない。
むしろ、安心する。
「ねぇ、傘神さん?ここ、見せてくれない?」
宇佐くんは課題をパッと広げて私にみせてくる。
彼とは他の男の人と違って告白された後も気まづくならずに他愛もない話をする。
「うん、いいよ。どうぞ。」
本当に、最近は彼に救われているのだ。
「ありがとう!」
私達は微笑み合い、いつものように色んな話をする。
海と話す機会も一気に少なくなり、
私の海への気持ちは分からなくなるばかりだった。
- Re: 恋の病〜体心痛〜 ( No.19 )
- 日時: 2019/07/25 18:37
- 名前: 夜桜 (ID: .AVF6R.l)
1日を終えた私は荷物をリュックに入れ、帰ろうと教室の戸を開ける。
ドンッ
「っ……たぁ」
私は戸を開けた瞬間に誰かとぶつかってしまった。
背が高くて顔が見えない。
「ごめん、大丈夫………ん?なみき?」
ぶつかったのは海だった。
床には海が持っていた書類が散らばっていた。
「……あっ…ごめん、拾うね。」
海は床に落ちた書類を拾う私の手を掴んだ。
「いや、いいよ。俺が教室に入ろうとしたから。」
海は1人で書類を拾いだした。
流石に悪いと思い、私も拾った。
海は拾いだした私を見て「いいっていったのに」といいながら笑った。でも止めはしなかった海の優しさを改めて感じた。
「ねぇ、そんなに急いで私のクラスに何の用があったの?」
私は久しぶりに海と話せるこの時間を無駄にしたくなくて話題を作る。
「あ、あぁ…この書類を教卓に置きに来たのと…」
何故かその続きを言うのを躊躇う海。
「…………と?」
書類を拾い終えた海は立ち上がり、言った。
「お前に話があって。」
真剣な顔で私を見つめる。
固まってしまった。すぐに我に返ったが久しぶりの真剣な眼差しに恥ずかしくなり俯きながら返す。
「…なに?」
こんなドキドキ久しぶりだ。
心臓がきゅーっと締め付けられるような気がした。
「___俺、桜ノ宮と別れた。」
海はいつの間に低くなってしまったその声で、
そう、言った。
きっと心の隅の方には少なからず喜びがあっただろう。
だが、彼の複雑そうな顔に私は喜びを上回る悲しみがあった。
「…………ごめん、理由って聞いていいの?」
海は少し間をあけて静かに頷いた。
「____俺、病気なんだ。
きっとこのままゆずと一緒にいたら迷惑かけると思って別れた。」
一度に色んなことを聞かされて頭が追いつかない。
海が…病気?
「桜ノ宮さんにはなんて言ったの?」
「好きな人ができたって、伝えたよ。」
そういう海の顔はどこか寂しげだった。
まだ、桜ノ宮さんのこと好きなんだろう。
見ているだけでもわかった。
「病気ってこと伝えないと桜ノ宮さんきっと悲しむよ。後悔する前に伝えたらどうかな。」
桜ノ宮さんより先に私に病気のことを伝えてくれたことに対して小さな喜びを感じながらも偽りの優しさで思ってもいないことを海に返す私に苛立ちを覚える。
海が病気だというのに汚い感情がこんな時にまで溢れ出してしまい、自分で自分が嫌になる。
「それはわかってるけど病気のこと伝えても悲しむゆずは目に見えてるんだ。俺もゆずに病気だなんて言えない。」
桜ノ宮さんに一生勘違いしてもらえれば私は海と一緒にいられるかもしれない。
やめて。違う。
海が望むのは桜ノ宮さんとの生活だ。
でも………
私は沢山の幸せを桜ノ宮さんに奪われた。
これくらい、いいんじゃないのかな。
違う!違うって!!!
私が自分の気持ちと葛藤していると、
「なみき?大丈夫かよ。顔、真っ赤だぞ。」
海が私の顔を覗き込む。
「……だ、だいじ…………」意識が遠のく。
いつの間にか私はその場に倒れてしまっていた。
- Re: 恋の病〜体心痛〜 ( No.20 )
- 日時: 2019/08/05 18:13
- 名前: 夜桜 (ID: .AVF6R.l)
私は重い瞼を開ける。
「…ん…」
すると目の前にいたのは海だった。
「…なみき!大丈夫か?!」
海は私の手を勢いよく掴んで言った。
私は顔を真っ赤にしながらも落ち着いて返す。
「大丈夫。私、倒れてたの?」
海は小さく頷き、私を保健室まで連れてきたことを伝える。
「ごめんね。迷惑かけちゃって………」
海は大きく首を振り、言った。
「そんなことねぇよ、無事で良かった。
いきなり倒れるから俺心配したよ。」
本当に海は優しいな。
私はこの瞬間に海への気持ちを再確認出来た気がした。
「ありがとう。」
海はニコッと笑う。
安心したと同時に倒れる前の記憶が蘇る。
またなんだか頭が痛くなってきちゃった。
海はそんな私の様子を見て何かを察したようだ。
「ごめんな。本当に急な話で。俺、この病気がいつ治るのか、もはや治るかどうかも分からないんだ。」
私は黙って俯き、すっかり長くなった髪を耳にかける。
この髪もロングがタイプな海の為に伸ばしたものだったな。
「ううん。伝えてくれてありがとう。
私ね、お願いがあるの。」
海は首を傾げる。
「桜ノ宮さんに病気の事が言えるまで、私と一緒にいてくれないかな………。」
海は目を丸くした。
「あっ、…ごめんね、あの、色々不便だと思うし、私を頼って欲しいなって意味で……」
私はアワアワと口を動かす。
「うん、いいよ。俺も一緒にいたい。」
そういって笑う海に私は胸を締め付けられた。
ずっと一緒にいられたらいいのにな。
___この気持ちを伝えられたら、いいのに。
- Re: 恋の病〜体心痛〜 ( No.21 )
- 日時: 2019/08/05 19:12
- 名前: 夜桜 (ID: .AVF6R.l)
私は家に帰り、ベッドに倒れ込み携帯を手にする。
すると、海からのLINEがきていた。
"なみき"
"久しぶりに一緒に登校しない?"
"良かったらでいいけど"
海と一緒に登校……!?
もうこんな日がくるなんて思ってもいなかった。
……でも……
桜ノ宮さんは、いいのかな。
海はどうおもってるんだろう。
"私は、大歓迎だよ"
"でも、桜ノ宮さんは大丈夫なの?"
そう返信すると、すぐに既読がつく。
"今は、お前と一緒にいたい"
"ごめん、ゆずを好きな気持ちは変わらないけどこういう時に頼れるのはお前なんだ"
"都合いいよな、俺"
海が好きなのは桜ノ宮さんだとしても私は桜ノ宮さんには務まらない海の特別な存在でいれることに大きな喜びを感じた。
"頼ってって言ったのは私だし都合良くなんてないよ"
"明日、7時にうちで待ってるね"
海が病気だとしても海と一緒にいられる事が嬉しかった。