コメディ・ライト小説(新)
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- 君は今、幸せですか。
- 日時: 2018/12/25 21:23
- 名前: いろは (ID: YhGf139Z)
君は今、幸せですか————?
☆彡
初めまして、いろはと申します。
初投稿です。更新が遅れることもあると思いますが、温かく見守ってくださるとうれしいです。
感想、アドバイスなど、大歓迎です!
- Re: 君は今、幸せですか。 ( No.20 )
- 日時: 2019/03/25 02:16
- 名前: いろは (ID: YFfwNhg/)
☆千尋side
悪魔って…空想上の人物だと思ってたけど。
「悪魔は神と争っている者のことなのですが、この者にあなたがたのことが知れてしまうと、二人は悪魔に悪用されかねないのです。」
「悪用って……」
「二人を人質にし、神を殺すのでしょう。そして最終的には、あなたがたも。」
悪寒が走る。
「まあ取り合えずばれなきゃいいんですよね。」
相変わらず楽観的な夏帆。
「あ、はい。そうなりますね。」
カイトは夏帆の考えに驚いたようだったがすぐに家臣に命令する。
「二人を部屋まで案内して。終わったら僕に報告するように。」
「承知いたしました。」
一瞬で兵士が二人、私たちの横にぴったりつく。
「絶対にお守りせよ。」
「御意。」
私たちはまるで連行される囚人のように兵士たちに付き添われ、エレベーターまで歩いていく。
エレベーター内に入ると、また音もなく床が上昇した。
「これ、どこに行くんですか?」
兵士が真正面を向いて言う。
「金の塔、最上階です。」
「えーと…何でこっちを見てくれないんですか?」
「王の命令です。」
要するに、カイトの命令により兵士たちは私たちと目を合わせることができないらしい。
王に従順な家臣だなあ。
「最上階に到着いたしました。」
兵士の一人がそう言い、私たちに道をあけてくれる。
カードをかざして中に入ると、そこにはここで暮らしていくために必要な用具一式が揃っていた。
「では、お食事の際にまたお呼びいたしますので。」
ばたん、と大きな音を立てて戸が閉まった。
これからどうしよう。
能力って何?
神の娘って?
悪魔に殺される?
不安は募っていくばかりだった。
- Re: 君は今、幸せですか。 ( No.21 )
- 日時: 2019/03/25 02:27
- 名前: 友桃 ◆NsLg9LxcnY (ID: E616B4Au)
たびたび失礼します、友桃です。
悪魔が気になります!
どんな姿をしてるんでしょう? 人なのかな、人の姿じゃないのかな……。
なんかところどころ面白くてつい笑っちゃいます。
兵士がこっち向いてくれないとことか笑
千尋ちゃんの聞き方とか、兵士が真正面向いてるとことか想像したら笑っちゃいました笑
更新がんばってください^^
- Re: 君は今、幸せですか。 ( No.22 )
- 日時: 2019/03/25 11:47
- 名前: いろは (ID: YFfwNhg/)
友桃さんまたしてもコメントありがとうございます!
悪魔……いずれ登場させるつもりです^^
更新遅くなるかもしれないですが頑張りますね~
- Re: 君は今、幸せですか。 ( No.23 )
- 日時: 2019/03/25 12:13
- 名前: いろは (ID: YFfwNhg/)
☆夏帆side
金の塔の最上階。千尋と私は退屈な時を過ごしていた——
「何にもすることないーっ!」
私はそう叫んでベッドにダイブ。
「…さっきからずっとそれやってない?」
千尋があきれたように私を見つめた。
「千尋もやれば? 楽しいよ案外。」
「…結構です。」
千尋が窓から外を眺める。
「やっぱり違う次元なんだね、ここって。」
千尋がぽつりとつぶやいた。
確かにここは未来都市で、違う次元にある。しかも、ここでの私たちは神の娘と呼ばれている。ちょっとおかしいよね。
ドアがノックされ、兵士たちがまたもや入ってきた。
「お食事の時間です。」
「はい、わかりましたー!」
とにかく退屈だったから外に出ることがうれしくてしょうがない。
またあのエレベーターに乗って、食堂へと向かう。
何かこれじゃあ運動能力が無くなる気がするんだけども。
「こちらです。」
そう言われて入った部屋には、豪華で鮮やかに彩られたたくさんの料理が整然と並んでいた。
大きな七面鳥に、最高の味付けがされているであろうミネストローネ。フレンチサラダや真っ白でふわふわなパン。デザートにはケーキ10種類、フルーツゼリー、フルーツ盛り合わせ。
どれも、一生食べられないだろうと思い続けてきたものばかりだ。
「バイキング形式でございます。私共がとってきますので、何なりとお申し付けくださいませ。」
完璧な特別対応。
「あのー…」
千尋が気まずそうに手を挙げる。
「こんな特別対応すると、感づかれると思うんですが……悪魔とやらに。私たちってメイド設定ですよね。メイドさんはこんなに豪勢なものをいつも食べられるんですか?」
その場にいる全員がびくりと体を震わせた。もちろん私も。殺されるなんて嫌だもん。
「だから、みんなで食べませんか? そのほうが楽しいと思うんですが。」
「いや…それは……」
家臣たちが言葉を濁す。
「いえ、そうして頂けると有難い、です。」
千尋がにっこりと優しく、いや、ちょっと恐怖を感じるぐらいにっこりと笑った。分かってるよ、千尋。この場の雰囲気が嫌なんだね……。
「で、ではそう…させて、い、ただきます……」
少し怖気づいているのが分かった。
くすりと笑ってしまう。
「ではいただきましょう!」
千尋と私は顔を見合わせて笑みを浮かべた。
- Re: 君は今、幸せですか。 ( No.24 )
- 日時: 2019/04/04 01:39
- 名前: いろは (ID: MUXHOSgg)
☆千尋side
延々と続く長い食事会、が終わり、また私たちは金の塔最上階に取り残されていた。
「千尋ーっ」
夏帆が私を呼ぶ。
「何?」
「これ何だろ。」
じろり、とそちらに目をやると……夏帆の手には一冊の本が握られていた。
「この部屋の本棚にあったの。一冊だけ入ってたから気づかなかったけど。」
私は背の高い本棚に目をやる。
確かにここに一冊だけ入っていたら気がつかないだろう。本はダークブラウンの本棚と保護色だし。
夏帆が私にその本をさしだした。
「あけて。」
「……なんでよ。」
「怖いから。」
私だって怖い。いやいやながらもそれを手に取り、背表紙をあけようとした。
「……ん?」
開かない。重い、というわけでもない。
本を開く部分に目をやった。
「鍵がついてる?」
南京錠のような、硬そうな銀色の鍵がついていた。
夏帆なら合鍵作ってあけられそうだけど。
「無理だよ、私そんな技術力ないもん。」
「そうだよねえ……。」
こうなってしまったからには気になる。私はじっとそれの背表紙を見つめていた。
と――――しゃらり、と小さな鈴の音のような音がした。
思わず顔をあげる。
「白猫……?」
夏帆がつぶやいた。
あまり見ない、白猫。本当に真っ白で雪のようだ。目はエメラルドのような緑色で光を放っている。
「なんで部屋の中にいるの?!」
この完全防備された場内には猫どころか、蟻一匹、侵入できないはず。
そう気づいたときには遅かった。
目の前が真っ白な光に包まれて、意識が遠のいていった――――