コメディ・ライト小説(新)
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- 君は今、幸せですか。
- 日時: 2018/12/25 21:23
- 名前: いろは (ID: YhGf139Z)
君は今、幸せですか————?
☆彡
初めまして、いろはと申します。
初投稿です。更新が遅れることもあると思いますが、温かく見守ってくださるとうれしいです。
感想、アドバイスなど、大歓迎です!
- Re: 君は今、幸せですか。 ( No.5 )
- 日時: 2018/12/31 16:08
- 名前: いろは (ID: j4gPq5EO)
「千尋ちゃん、夏帆ちゃん、ごはん持ってきたよ。」
最近仲良くなった、ホームレスのおじさん。
苗字しかわからないけど、黒川さんっていうの。
「ありがと、黒川さん。」
この豪華な食べ物はこのおじさんのどこから出てくるのだろうか……。
夏帆が、食べ物を口に含みながら言う。
「おじさん、今日はなんできたの?」
「実は、いい話を持ってきたんだ。」
おじさんが笑って取り出したのは、一枚の紙。
「じゃーん、見てこれ。」
その紙には、建物の写真が印刷されている。
ログハウスかな?
「ホームレスのために作られた施設で、ここに無料で住めるんだって。行ってみようよ、3人で。」
おじさんの言葉に期待が膨らんだ。
「行こう、行こうよ! おじさんとだったら行ける気がするもん!」
夏帆が目を輝かせて言った。
「おじさん、これどこから応募できるの?」
「パソコンのサイトから。」
「おじさん、パソコンなんか持ってるの?」
「うん。」
黒川さんってなんか変。
ホームレスのくせにお金持ち。
「行こ行こ!」
夏帆の声に慌てて準備する。まあ、準備するって言っても、食べ物と水ぐらいだけど。
おじさんについて行っても大丈夫かな?
「千尋、早く!」
もし、もし変なところに連れていかれたら、絶対夏帆を守ろう。
私はそう決心して家のドアを閉める。
「行ってきます。」
- Re: 君は今、幸せですか。 ( No.6 )
- 日時: 2019/01/26 11:07
- 名前: 夜桜 (ID: 6ARtc3ZP)
読ませて頂きました。
今にない感じの物語でとても続きが気になりました。いろはさん、応援しています。頑張ってください。
- Re: 君は今、幸せですか。 ( No.7 )
- 日時: 2019/02/21 23:25
- 名前: いろは (ID: /PgFxqMH)
夜桜さんありがとうございます。
なかなか書かなくなってしまったんですが、がんばろうと思います!
- Re: 君は今、幸せですか。 ( No.8 )
- 日時: 2019/02/21 23:48
- 名前: いろは (ID: /PgFxqMH)
☆千尋side
歩き始めて2時間。黒川さんの話ではそろそろ大きな町にでるらしいのだけど…
「まだつかないの?」
そろそろ疲れてきた。運動神経が悪い夏帆なんて息も絶え絶えだ。
いつまでも変わらない農村の景色にも飽きてきたし。
「ほら見えてきたよ。」
黒川さんが前方を指差した。その先には市場のようににぎやかな町が見える。
「わーい!」
夏帆ははねながらそちらに飛んでいく。
町の中には出店もあるようで、カラフルな色に目を奪われた。町の中では魔法が飛び交い、そこらじゅうが輝いている。
言い忘れてたけど、この世界では全ての人が魔法が使える。勉強したり訓練を重ねるうちに強い魔法が使えるようになるんだ。私が今使えるのは空を飛ぶくらい。
「おじさんこれからどうするの?」
「これからは行商人のふりをして、ログハウスを目指すよ。」
行商人?
「そう。商人だったらどんな町でも身分証明書なしで通れるからね。」
この世界では商人は特別だ。
この世界を作ったとされる神が、元・商人だという噂があるからだろう。
「だからこれから荷馬車を買って、馬を買って、食料調達をして、先へ進むよ。」
「お金、大丈夫なの?」
「うん。ここ物価が安いしね。」
そこまで安くはないはず。私はさっき見た値札を思い出す。
やっぱり黒川さんは変な人。
「千尋ちゃん、夏帆ちゃん、ここで荷馬車と馬を買うよー!」
馬がとってもかわいい。栗色の毛並みに力強い脚、つぶらな瞳。
「あれ、その馬気に入った?」
「うん。」
「じゃ、それ買おっか。」
その馬は「くり」って名前にした。栗(、)色の毛並みだし、くりくりの瞳だしね!
気づいたら警戒心なんて消えて、楽しくなってきていた。
夏帆も楽しそうで嬉しい。
外に出られなかったからなあ、今まで。今は長めのローブをかぶっているから指名手配犯の千尋と夏帆ってことはばれない。
あとは、いろいろな食べ物を買った。パンに肉、リンゴ、水、野菜類とか。
「じゃあ行こうか。」
黒川さんの言葉で、私たちは新品の荷馬車の中に乗り込んだ。
リンゴのおかげでとてもいいにおいがする。
「じゃあ出発だ!」
今度は脚も疲れない。
警戒もあまりしていない。
つかまる心配もない。
本当の冒険が始まった気がした。
- Re: 君は今、幸せですか。 ( No.9 )
- 日時: 2019/02/22 19:11
- 名前: いろは (ID: /PgFxqMH)
☆夏帆side
荷馬車に揺られている、私と千尋と黒川さん。
「くり、リンゴいる~?」
そうたずねると、くりはヒヒーンと勢いよくいなないた。
「いるんだね、はい、あげる。」
くりは嬉しそうだ。
この馬の名前は千尋が付けた。かわいいよね。
千尋のほうに目を向けると、私のことを笑いながら見ていることに気がついた。
「どうしたの千尋?」
「い、いや……頭!」
頭? 頭に手をやる、と……
「ギャーーッ、なんでここにリンゴの芯がのってるのよっ!!」
おじさんと千尋が腹を抱えて笑っている。
千尋がこんなに楽しそうなの何年ぶりだろう。私は楽観的でのんきだからぜんぜん楽しく暮らせてたんだけど、千尋は冷静沈着だからなにか考えることがあるみたい。
私はなにも考えずに飛び出してきちゃったけど、よく考えたらこのログハウス、嘘かもしれないもんね……。
「次の町がそろそろ見えてくると思うけど。」
「じゃあローブかぶっとく!」
町に到着!
もう夜になっていて、ふくろうが鳴いていた。
今度は静かで落ち着いた雰囲気。だけど道端にはやくざが!!!!
「こわ……」
思わずつぶやいて口をつぐんだ。
ばれたら殴られちゃう!
「ここが今日泊まる宿だよ~。」
おじさんはそんな私の気持ちも知らず、のんきに宿を紹介している。
白い壁に赤い丸屋根。かわいらしい外観だ。
「さ、入ろう。」
宿に入るとほっとしてふう、と一息ついた。
「この部屋だよ~。」
通されたのは少し暗めの狭い部屋。
「ごめんねおじさんお金ないからさ~。」
そりゃあそうだ。おじさんはホームレスなんだもん。
「じゃあもう遅いから寝よう!」
3人でベッドにもぐりこむ。
幸せだ。今までは千尋と二人だけだった。お父さんと寝ているみたいな安心した気分に浸りながら、私は深い眠りについた。
「……帆! 夏帆!」
はっとして目を覚ます。
「ここは…?」
「私たち捕まっちゃったみたい。」
「は?」
千尋の言葉にぞっとして、あたりを見回す。
何もない白い部屋。窓はなく、ドアにも鍵がかかっていた。
「誰に捕まったの?」
そう尋ねると、はあ、とため息をつきながら千尋は答えた。
「おじさん。」